少年団の入団説明会からの帰り道、スマホで「サッカー 靴」と検索して、手が止まる——。「まず靴を買わなきゃ。でも、これってスパイク?それとも普通の運動靴でいいの?」。サッカーを自分ではやってこなかったパパ・ママにとって、最初の一足選びは本当に迷うところです。売り場に行けば行ったで、見慣れない横文字が並んでいて余計に分からなくなる。この記事を読み終えるころには、入団したばかりの1〜2年生に、何を・いくらで・どう選べばいいかが、迷わず分かるようになります。
1〜2年生の最初の一足は、いきなり本格スパイクよりトレシュー(トレーニングシューズ)か、脱ぎ履きしやすいマジックテープのモデルでOK。ゴム底で足あたりがやさしく、土でも人工芝でも使えて、転ぶ心配も少ないからです。「今すぐ1足だけ選んで」という人は、これで間違いありません。→ 学年・足型で選べる比較ランキングを見る(30秒)
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。毎シーズン、入団したての子たちを見ていて実感するのは、低学年に本格スパイクは、まだ早いことが多いということ。ポイント(裏の突起)が効きすぎて土のグラウンドで滑って転ぶ子、「どうせすぐ大きくなるから」と大きめを買ってもらって、靴の中で足が泳いで走り方がぎこちなくなっている子——実際に何人も見てきました。子どもの足は半年で0.5cmほど伸びることも珍しくありません。だからこそ、最初の一足は高さより「今の足に合っているか」なんです。
01結論:低学年は「トレシュー or マジックテープ」でOK
まず、いちばん大事な結論からお伝えします。1〜2年生の最初の一足は、いきなり高いスパイクを買う必要はありません。 ゴム底で足あたりのやさしいトレシュー(トレーニングシューズ)か、自分で脱ぎ履きしやすいマジックテープのモデル。このどちらかで、じゅうぶんです。
理由はシンプルで、低学年のうちは「上手にプレーすること」より、転ばずに走り回れて、サッカーを楽しいと感じられることのほうがずっと大切だからです。裏に大きな突起の付いた本格スパイクは、低学年には少し扱いが難しく、慣れないうちは滑ったり引っかかったりしがち。まずは安心して走れる靴から始めるのが、遠回りに見えて実は近道です。
① 最初はスパイクでなくトレシューかマジックテープのモデルから
② サイズはつま先に5〜10mmの余り(大きめ買いはNG)
③ 予算は3,000〜5,000円で十分(上位1万円超は不要)
この3つを押さえれば、最初の一足で失敗しません。
02そもそもトレシューって何?(噛み砕いて説明)
「トレシューって言われても、そもそも何?」——未経験の親なら当然の疑問です。かんたんに言うと、トレシュー(トレーニングシューズ)は「サッカー用の運動靴」だと思ってください。
いちばんの特徴は、靴の裏がゴムで、小さな凹凸が全面にたくさん付いていること。スパイクのように大きな突起がにょきっと出ているわけではないので、地面に引っかかりにくく、足への負担もやさしいのが魅力です。そのぶん、土のグラウンドでも人工芝でも、幅広く使えるのもポイント。低学年のうちは練習場所がいろいろ変わることも多いので、「どこでも使える一足」はとても心強い存在です。
売り場やネットでは「TF」という表記を見かけますが、これは「ゴム底に小さなイボイボが全面に付いたタイプ」のこと(ターフ=人工芝の頭文字です)。トレシューとほぼ同じ感覚で使えて、人工芝やアスファルトの練習に向いています。「TF」と書いてあったら、足あたりのやさしいトレシュー仲間だと考えて大丈夫です。
トレシュー(TF)=サッカー用の運動靴。裏はゴムで小さな凹凸が全面に。土でも人工芝でも使えて、足にやさしく転びにくい。低学年の最初の一足にぴったりです。
03スパイクはいつから?低学年に本格スパイクが早い理由
「じゃあ、いつからスパイクを履かせればいいの?」。目安は中学年(3〜4年生)ごろ、またはチームからOKが出たタイミングです。あわてる必要はありません。
スパイクは、裏に大きめのポイント(突起)が付いていて、踏ん張ったり、急に方向を変えたり(切り返し)するときにグッと地面をつかんでくれる靴です。この性能が活きるのは、動きが強く・速くなってくる中学年以降。逆に、まだ体の使い方が発展途上の低学年が履くと、突起が効きすぎて土のグラウンドで滑ったり、逆に引っかかって転んだりしやすいんです。実際、低学年のうちはスパイクを非推奨にしているチームもあるほどです。
どうしても早めにスパイクをという場合でも、金具(金属の突起)が付いたタイプは小学生では使いません。多くの少年サッカーの大会で使用が制限されています。買うなら、突起がゴムや樹脂でできた子ども向けのモデルを。ただ、1〜2年生のうちはトレシューかマジックテープのモデルで十分です。
大切なのは、周りが履き始めたか・チームの指示が出たかを見ながら、あせらず移行すること。「よその子がスパイクだからうちも」と急ぐより、お子さんのペースで大丈夫です。
04サイズの選び方|大きめ買いが一番危ない
最初の一足でいちばん多い失敗が、これです。「どうせすぐ大きくなるから、大きめを買っておこう」。気持ちはとてもよく分かります。決して安い買い物ではありませんから。でも、これがいちばん危ない選び方なんです。
大きすぎる靴の中では、足が前後に滑ります。すると子どもは無意識に足の指を丸めて踏ん張るようになり、まっすぐ走れない・うまく蹴れない・つまずきやすい、という悪循環に入ります。せっかくのサッカーが「なんだか走りにくい」ものになってしまう。だから、余りはつま先に5〜10mm(大人の小指の半分くらい)。大きめに買うとしても、最大1cmまでと覚えておいてください。
家やお店では、この手順で確かめてみてください。
- サッカー用の靴下を履いて試す:サッカーのソックスは厚手です。普段の薄い靴下で試すと、実際にはきつくなります。
- かかとを合わせてから、つま先を確認:かかとをトントンと合わせ、つま先に5〜10mmの余りがあるか押して確かめます。
- 両足とも試す:左右で足の大きさが違うことはよくあります。大きいほうの足に合わせましょう。
- 少し歩く・走ってみる:かかとが浮かないか、指が当たっていないかを本人に聞いてみます。
低学年(1〜2年)→ おおよそ17〜19cm/中学年(3〜4年)→ 19〜22cm/高学年(5〜6年)→ 22〜24.5cm。
あくまで目安です。同じ学年でも足の大きさは大きく違うので、必ず「今、実際に測った足のサイズ」で選び、上の学年別は買い替え時期の見当に使ってください。ネットで買うときは、サイズ交換ができるショップだと安心です。
05幅広・甲高の子は「ワイド+マジックテープ」
「サイズは合っているはずなのに、痛いと言う」「靴の横がパンパンに張っている」。その場合、原因は長さではなく幅かもしれません。日本の子どもには幅広・甲高の足が多く、標準的な細身モデルだと、長さが合っていても横がきつい、ということが起こります。
見分け方はかんたんです。靴を履いた状態で、足の幅が甲の素材を外に押し出して膨らんでいたら、幅が足りていないサイン。マジックテープを一番ゆるくしてもきつそうなら、甲の高さが合っていません。その場合は「ワイドモデル」「3E(EEE)相当」と表記されたモデルを選びましょう。主要ブランドには、日本の子どもの足に合わせたワイド設計のモデルがあります。
とくに低学年は、幅広対応かつマジックテープのモデルだと安心。横のゆとりで足が痛くなりにくく、しかも自分で脱ぎ履きできるので、朝の支度も練習前後もスムーズです。
幅広向けのワイドモデルは、細めの足の子が履くと中で足が泳いでしまいます。「みんながミズノだから」ではなく、お子さんの足の形に合うかで選ぶのが正解。可能なら一度試着を、難しければサイズ・幅交換ができるショップを選びましょう。
06予算の目安|3,000〜5,000円で十分な理由
「最初だから、ちょっといいものを買ってあげたい」。親心としては自然ですが、低学年の一足は3,000〜5,000円で十分です。上位の1万円超のモデルは、正直このタイミングでは必要ありません。
理由は、買い替えのサイクルにあります。小学生の足は半年〜1年でサイズが変わるため、どんな高級モデルでも、履ける期間は同じ。上位モデルの性能差より、「今の足にピッタリ合っていること」のほうが、低学年のプレーには圧倒的に大事なんです。高い一足を長く履かせようとして大きめを買う——これが、前に触れた「一番危ない選び方」につながってしまいます。
浮いた予算は、すね当てや練習用ボール、そして次のサイズの靴代に取っておくのが現実的。「1足に1万円」より「3,000〜5,000円を足に合わせてこまめに」が、成長期の足には優しい選択です。
07現場の声+買う前の安心チェック
最後に、監修コーチのチームで実際に聞こえてくる、保護者のリアルな声を紹介します。同じ「入団したての親」の実感なので、いちばん参考になるはずです。
「低学年のうちはマジックテープが本当にラク。自分で着けられるので朝の支度が早い」
「最初に張り切って高いのを買ったけど、半年でサイズアウト。次からは安めをこまめに替えるようにした」
「いきなりスパイクじゃなくてトレシューにして正解。転びにくくて安心して見ていられる」
「うちは幅広で、標準のを履かせたら『痛い』と。ワイドにしたら文句を言わなくなった」
こうした声からも分かるとおり、低学年の一足は「安く・扱いやすく・足に合う」で十分。あとは、ネットで買うときの不安さえ消せれば安心です。
ネット購入でいちばん怖いのは「サイズ間違い」。でも大丈夫です。楽天で「サイズ交換無料」と書いてあるショップを選べば、届いて合わなくても交換できます。届いたらまず室内で試着 → OKなら外で使いましょう(外で履くと交換できなくなります)。有名スポーツ量販店など正規の販売店を選べば、本物が届くので安心です。
よくある質問
低学年にサッカースパイクは必要ですか?
多くの場合、まだ不要です。1〜2年生の最初の一足は、ゴム底で足あたりのやさしいトレシュー(トレーニングシューズ)や、脱ぎ履きしやすいマジックテープのモデルで十分。本格的なスパイクは、踏ん張りや切り返しが増える中学年ごろ、またはチームからOKが出たタイミングで移行するのが目安です。
トレシューとスパイクの違いは何ですか?
トレシューはゴム底に小さな凹凸が全面に付いた靴で、土でも人工芝でも幅広く使え、足への負担がマイルドです。スパイクは裏に大きめのポイント(突起)が付き、踏ん張りや切り返しが効く反面、低学年には滑って転びやすいことも。まずは扱いやすいトレシューがおすすめです。
サイズは大きめを買っていいですか?
大きめ買いが一番危ないです。つま先の余りは5〜10mm、大きくても最大1cmまで。それ以上大きいと靴の中で足が滑り、走り方が崩れたり転びやすくなったりします。低学年はおおよそ17〜19cmが目安ですが、必ず今の実寸で選んでください。
いくらくらいのものを買えばいい?
3,000〜5,000円で十分です。子どもの足は半年で0.5cmほど伸びてすぐサイズアウトするため、1万円超の上位モデルでも履ける期間は同じ。高い一足より、足に合うものをこまめに替えるほうが結果的にお得で、足にもやさしい選択です。
マジックテープとひも、どっちがいい?
低学年はマジックテープがおすすめです。自分で脱ぎ履きできて練習前後がスムーズ、ひもがほどけて踏む・転ぶ心配もありません。ひも靴は、自分でしっかり結べるようになる中学年ごろのデビューで十分です。
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「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
少年サッカーの育成年代を指導する現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
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