試合を見ていて、「うちの子、ボールを持っていないときは何もしていないように見えるな」と感じたことはありませんか。ボールに触るのは1試合でほんの数分。残りの大半は「ボールを持っていない時間」です。じつは、うまい選手とそうでない選手の差は、このボールがないときの動き(オフザボール)に出ます。でも大丈夫。これは家でも考え方を教えられます。この記事を読み終えるころには、「ボールがないとき何をすればいいか」を、お子さんに伝えられるようになります。
ボールがないときにやることは、たった2つ。①味方がパスを出せる場所に動く(顔を出す) ②相手のいないスペースへ走る。低学年は「止まって待つ」子が多いですが、動いて受けるだけで見違えます。まずは「止まらない・顔を出す」を合言葉に。
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この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。現場で強く感じるのは、ボールを持っていないときに動ける子は、コーチから見て一目でわかるということ。技術は普通でも、いいタイミングで顔を出す子、スペースに走り込む子は、自然とチャンスに絡みます。逆に、うまいのにボールがないと止まってしまう子は、持ち味を出せません。オフザボールは、技術がなくても今日から意識できる——いちばんコスパのいい上達ポイントなんです。
01試合の大半は「ボールを持っていない時間」
まず、意外な事実から。1試合の中で、1人の子が実際にボールに触っている時間は、合計してもほんの数分しかありません。残りのほとんどは、ボールを持っていない時間です。
つまり、サッカーがうまくなるとは、この「ボールを持っていない大半の時間に、何をするか」を覚えること。ボール扱いの練習ももちろん大事ですが、それだけでは試合で活躍しきれません。動き出しの良い子は、味方がボールを持った瞬間に「もらえる場所」に動いているから、自然とボールが集まってくるんです。
02低学年に多い「止まって待つ」問題
低学年でいちばん多いのが、「ボールが来るのを、その場で立って待つ」こと。手を挙げて「パスちょうだい!」と言いながら、足は止まっている——よく見る光景です。
でも、止まって待つ子には、なかなかパスは通りません。なぜなら、止まっている子の前には、たいてい相手が立っているから。パスを出す味方から見ると、「出したいけど、間に相手がいて出せない」状態です。だから大事なのは、「止まらずに動いて、相手のいない場所で受ける」こと。「待つ」から「動く」へ——これだけで、パスが届く回数がぐっと増えます。
「そこで待ってなさい」と教えると、止まって待つクセがつきます。かけるなら『動いてもらおう』『相手のいないところへ』。ボールをもらうのは、待つことではなく“動くこと”だと、早いうちに教えてあげましょう。
03やることは2つ|顔を出す・走り込む
ボールがないときにやることを、シンプルに2つに絞ります。これだけ覚えれば十分です。
- 顔を出す(サポート):ボールを持った味方が「出しやすい場所」に動く。相手に隠れず、味方から見える角度に。近すぎず遠すぎずの距離で「ここにいるよ」と顔を出す。
- スペースへ走り込む:相手のいない空いた場所(スペース)へ走る。とくに相手ディフェンダーの背中側は狙い目。パスが出る前に動き出すのがコツ。
では、この2つを育てる遊びを紹介します。ボール1つあればできます。
04パスをもらう鬼ごっこ
親がボールを持ち、子は『パスをもらえる場所』に動き続ける。親(鬼役の相手をイメージ)から見える位置に、止まらず動いて顔を出す。いい場所に動けたら親がパスを出す。
このあそびの目的は、「もらえる場所に動く」感覚を体で覚えること。止まっているとパスが来ない、動くと来る——これを何度も経験すると、子どもは自然と動いて受けるようになります。「止まらない・隠れない」を合言葉にしてください。
05スペースへ走り込む
親が『ヨーイ、ドン』でボールを前のスペースに出し、子がそこへ走り込んで受ける。止まって待つのではなく、動いてボールに合わせる感覚を養う。慣れたら相手役を置いて背中側を狙う。
このドリルは、スペースへ走り込む「抜け出し」の練習。とくに点を取る動きにつながります。ポイントは、パスが出てから動くのではなく、出る前に動き出すこと。「止まって待つ」の逆を体で覚えさせましょう。
06試合で伝えたい声かけ
オフザボールは、試合中の声かけで伸ばせます。ただし「走れ!」「動け!」と抽象的に叫ぶだけでは、子どもは何をすればいいか分かりません。
具体的に、「顔出して」「空いてるとこ行こう」「相手のいないところ」など、行き先が分かる短い言葉が効果的。そして、ボールに触っていなくてもいい動きをしたら、その場で「今の動き最高!」とほめること。多くの親は点やドリブルだけをほめますが、「ボールがないときの動き」をほめられる子は、確実に伸びます。
「『止まって待つ』クセがあったけど、『動いてもらおう』に変えたらパスが増えて、本人も楽しそう」
「ボールがないときの動きをほめるようにしたら、走る量が増えてコーチにも評価された」
「スペースに走り込む練習をしたら、抜け出してゴールする場面が出てきた。動き出しって大事」
「『顔出して』の一言で、味方から見える位置に動けるように。声かけひとつで変わるんだと実感」
07よくある質問
オフザボールって、低学年から教えて大丈夫ですか?
難しい戦術は不要ですが、『止まらず動いてもらう』『相手のいないところへ』くらいはこの時期から十分伝わります。むしろ低学年で『止まって待つ』クセがつくと、あとで直すのが大変です。遊びの中で『動くとパスが来る』を体験させるのが、いちばん自然な教え方です。
『動け』と言っても、ただ走り回るだけです。
『動け』だけだと、目的なく走ってしまいます。『味方から見える場所に』『相手のいないスペースへ』と、行き先を具体的に伝えてあげてください。家の遊びで『もらえる場所に動く』を体で覚えると、試合でも意味のある動きになります。やみくもに走るのと、狙って動くのは別物です。
ボールを持っていないと、やる気がなさそうに見えます。
多くは『何をすればいいか分からない』だけです。やる気がないのではなく、ボールがないときのタスクを知らない状態。『顔を出す』『スペースに走る』という“やること”を教えると、動き出します。そしていい動きをほめてあげると、ボールがないときも積極的になります。
パスをもらえず、ふてくされてしまいます。
『もらえないのは、止まっているからかも』と気づかせるのが第一歩です。責めるのではなく、家の遊びで『動くとパスが来る』を体験させましょう。もらえたときの喜びを積み重ねると、自分から動くようになります。味方にパスを促す声を出すことも、もらう工夫だと教えてあげてください。
家でオフザボールの練習はできますか?
できます。『パスをもらう鬼ごっこ』や『スペースへ走り込む』は、ボール1つと広めの場所があれば親子で十分。実際にボールを持たずに『どこに動けばもらえるか』を一緒に考えるだけでも効果があります。試合の動画を見ながら『今どこに動けばいい?』と問いかけるのもおすすめです。
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少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。
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