試合の後半、周りの子はまだ走れているのに、わが子だけ足が止まって歩いている——「うちの子、体力がないのかな」「すぐ疲れちゃうのが心配」。応援席からその姿を見ると、切なくなりますよね。でも大丈夫。子どもの持久力や走力は、正しい取り組みで確実に伸びます。しかも、つらい長距離走をさせる必要はありません。この記事を読み終えるころには、家や公園で無理なくスタミナを伸ばす方法が分かるようになります。
子どもの持久力は、長距離走より「短いダッシュのくり返し」で伸びます。サッカーは『止まる・走る』の連続だからです。そして「すぐ疲れる」の原因は、体力だけでなく走り方のムダ・気持ちの切れ・睡眠不足のことも。まずは楽しく体を動かす習慣から。
→ 外遊びに使える足元と、比較ランキングを見る
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。現場でよく見るのは、「体力がない」と思われている子の多くが、実は走り方にムダが多いだけ、というケース。同じ運動量でも、力んで走る子はすぐバテ、力を抜いて走る子は最後まで動けます。また、低学年のうちは持久力そのものより「気持ちが切れない」ことのほうが大事なことも。つらい特訓ではなく、楽しく走る経験を積むほうが、結果的にスタミナは伸びていきます。
01「すぐ疲れる」本当の原因は4つ
「体力がない」と一括りにする前に、原因を切り分けてみましょう。じつは、次の4つのどれか(または複合)であることがほとんどです。
① 持久力そのものが未発達:単純に、走り続ける力がまだ育っていない。
② 走り方にムダが多い:力んで走り、エネルギーを浪費している。
③ 気持ちが切れている:体力より先に「もういいや」と心が止まる。
④ 睡眠・食事の不足:そもそも回復・エネルギーが足りていない。
大事なのは、②③④は体力トレーニング以外で改善できるということ。「体力がない」と決めつける前に、走り方・気持ち・生活を見直すと、意外とあっさり変わることがあります。
02サッカーの持久力は「長距離走」では伸びない
「スタミナをつけよう」と、長い距離をゆっくり走らせたくなりますが、サッカーにはあまり効率的ではありません。なぜなら、サッカーは一定ペースで走り続ける競技ではないから。
試合中の動きは、「歩く・止まる・全力ダッシュ・また歩く」のくり返しです。だから鍛えるべきは、長くゆっくり走る力より、「短い全力ダッシュを何本もくり返せる力」。これを専門的にはインターバル系の持久力と言います。つまり、短いダッシュと休みをくり返す遊びのほうが、試合の体力に直結するんです。
03インターバル鬼ごっこ
ふつうの鬼ごっこでOK。全力で追う・逃げるを30秒、そのあと30秒しっかり休む、をくり返す。休みをちゃんと取るのがポイント。親も参加すると子どもは全力を出す。
このあそびは、まさに試合と同じ「全力→休む→全力」のリズム。つらい長距離走とちがって、鬼ごっこなら子どもは夢中になって全力を出します。「トレーニング」と言わず、遊びとして誘うのが続けるコツです。
04坂・階段ダッシュ
ゆるやかな坂や階段を全力で駆け上がり、歩いて戻る。これを数本。平地より自然に力がつき、着地の衝撃が少ないので体にやさしい。
坂や階段のダッシュは、短時間で効率よく走力と脚力を育てられます。平地の全力走より着地の負担が少ないのも利点。ただし、やりすぎは禁物。「あと1本」を我慢して、物足りないくらいで終えるのが、続けるコツでありケガ予防にもなります。
05走り方のムダを減らす
同じ体力でも、走り方で疲れ方は大きく変わります。「すぐ疲れる」子は、たいてい力みすぎ。肩に力が入り、腕を振れず、体が上下に跳ねている——これでは、走るたびにエネルギーを捨てているようなものです。
家でできるチェックは3つ。①肩の力を抜く(腕をブラブラさせてから走る)、②腕をしっかり前後に振る、③目線を上げてまっすぐ前を見る。この3つを意識するだけで、同じ距離でも疲れにくくなります。「ふわっと軽く走ってごらん」と声をかけて、力の抜けた走りを一緒に探してみてください。
06睡眠と食事も“スタミナ”の一部
見落とされがちですが、持久力の土台は「回復」と「エネルギー」です。どれだけ走り込んでも、睡眠と食事が足りなければスタミナは上がりません。
寝不足だと、体力があっても後半バテやすく、集中も切れます。小学生は夜しっかり眠ることが何より大事。また、試合の日は朝ごはんと補食でエネルギーを満たしておくこと。「後半に足が止まる」の原因が、じつはエネルギー切れや寝不足だった、というのはよくある話です。くわしくは、試合前の食事や睡眠と成長の記事も参考にしてください。
「長距離を走らせても続かなかったけど、鬼ごっこにしたら夢中でやる。気づけば体力がついていた」
「『体力がない』と思っていたら、走り方が力みすぎだった。肩の力を抜いたら後半も動けるように」
「後半バテる原因が寝不足だった。早く寝かせるようにしたら、最後まで走れるようになった」
「階段ダッシュを親子で。競争にすると本気を出すし、私(親)の運動にもなって続いている」
07よくある質問
子どもに長距離を走らせて体力をつけさせるべき?
サッカーの体力には、長距離走より『短い全力ダッシュのくり返し』のほうが効率的です。サッカーは一定ペースで走り続ける競技ではなく、止まる・走るのくり返しだからです。つらい長距離は嫌いになる原因にもなるので、鬼ごっこや坂ダッシュなど楽しく全力を出せる遊びがおすすめです。
すぐ『疲れた』と言って歩いてしまいます。
体力不足だけでなく、走り方のムダ・気持ちの切れ・寝不足が原因のこともあります。まず走り方(力みすぎていないか)と睡眠を見直してみてください。また低学年は体力より『楽しくて動き続けられるか』が大切。叱るより、動けたときにほめるほうが、結果的に走れる子になります。
何歳から持久力トレーニングをしていい?
低学年から、遊びの範囲であれば問題ありません。ただし、大人のような追い込む走り込みは成長期の体に負担なので不要です。鬼ごっこ・外遊び・短いダッシュなど、楽しく体を動かすことが、この時期にはいちばんの持久力づくりになります。無理な特訓は避けましょう。
走るのが遅いのですが、速くもなりますか?
走り方の改善で、多くの子は速くなります。腕をしっかり振る・目線を上げる・力を抜くだけでもフォームが整い、走りが変わります。加えて短いダッシュのくり返しで初速も上がります。速さは生まれつきだけで決まりません。フォームと反応の練習で伸びしろは十分あります。
毎日走らせたほうがいいですか?
毎日でなくて大丈夫です。むしろ休養も体力づくりの一部で、疲れが抜けないまま続けると逆効果です。週に2〜3回、楽しく全力を出す遊びをするくらいがちょうどよいです。それより毎日の睡眠と食事を整えるほうが、持久力の土台としては大きく効きます。
しっかり走れる体は、足元の安定があってこそ。ダッシュや切り返しで足がすべると、力も出せずケガのもとにもなります。学年や足の形から一足を選びたい方は、比較ページをどうぞ。
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。
当サイトの用品・ルール・練習の記事は、公開前に監修コーチが内容を確認しています。事実に関わる記述は一次情報・公式情報にあたって整理しています。

