試合中、審判が黄色や赤のカードを出す場面。「今の、何がいけなかったの?」「うちの子がもらったらどうなる?」と、ルールが分からず不安になる親は多いはずです。カードは「危ないプレー・悪質なプレーへの警告」で、意味を知れば観戦がぐっと分かりやすくなります。この記事では、サッカー未経験のパパ・ママ向けに、イエローカードとレッドカードのルールを、少年サッカーの実情もふまえてやさしく解説します。
カードは2種類。①イエローカード=警告(危険・悪質なプレーへの注意)②レッドカード=退場(一発、またはイエロー2枚で)。レッドで退場するとその選手は交代なしで抜け、チームは1人少なくなります。ただし少年サッカーではカードは比較的少なく、まず出さずに口頭注意で済むことが多いです。→ 試合に必要な用品をチェック
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。まず安心してほしいのは、低学年の試合でカードが乱発されることはほぼないということ。育成年代では、いきなり罰するより「なぜダメか」を伝えるのが大事にされるため、審判も口頭注意を優先します。それでも意味を知っておくと、観戦の理解が深まります。
01イエローカード=警告
イエローカードは、「今のプレーは危ない・良くないよ」という警告です。もらってもすぐ退場にはなりませんが、同じ試合で2枚もらうと退場(レッドカード扱い)になります。「1回目は注意、2回目はアウト」と覚えるとわかりやすいです。
イエローは「罰」というより「線を引く合図」だと考えると、観ていて腑に落ちます。審判は、これ以上エスカレートすると誰かがケガをする、と判断した時点で線を引く。だから同じ強さの接触でも、試合が荒れてきた後半のほうがカードが出やすい、ということが起こります。判定が「その日の流れ」に見えるのは、審判が試合全体の安全を管理しているからなんです。
02レッドカード=退場
レッドカードは、退場を意味します。とくに悪質・危険なプレーは一発でレッド。また、イエロー2枚でもレッドになります。退場した選手は、その試合にもう出られず、交代もできません。つまりチームはその後ずっと1人少ない状態で戦うことになります。だからレッドは、試合を大きく左右します。
一発レッドになる代表的なものは、相手を傷つけるような乱暴な行為、後ろからの危険なタックル、決定機を手で止める行為、審判や相手への暴言です。共通しているのは「相手の安全」か「試合の公正さ」を壊したかどうか。技術のミスでレッドが出ることはありません。
03どんなプレーで出るの?
カードの対象になりやすいのは、次のようなプレーです。
① 相手を後ろから危険に倒す(足を狙ったタックルなど)
② わざと手でボールを止めて、決定的なチャンスを防ぐ
③ 暴言・乱暴なふるまい・審判への抗議
④ 何度もくり返す反則(積み重なると警告に)
ポイントは、「わざと」「危険」「くり返し」が絡むと重くなること。ボールを取りにいった結果の軽い接触は、ファウルにはなってもカードまではいかないのが普通です。
もうひとつ、大人には意外に映るのが「プレー以外の行動」でもカードが出ること。ゴールを決めたあとにユニフォームを脱いで喜ぶ、審判の許可なくピッチに入る・出る、わざと時間を使ってボールを遠くへ蹴る——このあたりは反則ではなくマナーやルール運用の違反としての警告です。少年サッカーでも「早く再開しなさい」と注意される場面は普通にあります。
04少年サッカーでの実情|低学年はほぼ出ない
大事なことなので、もう一度。低学年〜中学年の少年サッカーでは、カードはあまり出ません。審判は、いきなりカードを出すより「今のは危ないよ、気をつけて」と口頭で教えることを優先します。育成年代は、罰することより「学ぶこと」を大切にするからです。だから、わが子がカードをもらう心配で観戦がこわくなる必要はありません。
監修コーチのチームでも、1年間の公式戦・練習試合を合わせて数十試合を戦って、低学年でカードが出たのはゼロという年がありました。危ないプレーがなかったわけではありません。むしろ手で押す、シャツをつかむは毎試合あります。それでも審判は笛を吹いて止め、その場で「手は使わないよ」と言い、プレーを再開させる。止めて・伝えて・すぐ戻す。これが低学年の審判の基本姿勢なんです。
05出るとしたら何か|学年別のリアル
では、少年サッカーでカードが出るとしたら何なのか。現場感覚でいうと、学年ごとに理由がはっきり分かれます。
- 低学年(1〜2年):ほぼ出ない。危ない接触は口頭注意で処理される。出るとすれば、注意しても同じ反則をくり返したケース。
- 中学年(3〜4年):まれに出る。多いのは感情のもつれ。倒された仕返しに押し返す、ボールを相手に投げる、といった行動。
- 高学年(5〜6年):数は増える。スピードが上がって接触が強くなるぶん、遅れたスライディングや後ろからのタックルが警告になる。決定機阻止のハンドも出てくる。
つまり少年サッカーのカードは、技術ではなく気持ちのコントロールが理由になることが多いんです。監修コーチのチームでも、中学年の子が試合中に相手を押し返して警告を受けたことがあります。原因をたどると、その前の3分間で2回連続で倒され、笛が鳴らなかった。本人の中で我慢が切れた瞬間でした。カードは、その子の性格の問題ではなく「そこに至るまでの流れ」の結果であることがほとんどです。
06退場したあと、人数は減ったまま戦うのか
親からいちばんよく聞かれるのがここ。答えはそのとおりで、人数は減ったまま試合が続きます。8人制なら8人が7人に。誰かをベンチから入れて埋めることはできません。
ここでよくある勘違いを2つ。
① 「後半になればリセットされる」→ されません。退場は試合終了までずっと有効です。
② 「交代して人数を戻せる」→ 戻せません。退場は「その選手が抜ける」ではなく「チームの人数が1人減る」処分です。
ただし、8人制の少年サッカーでは大会によって「一定人数を下回ったら試合中止」という規定があります。11人制なら7人未満で成立しませんが、8人制の下限は大会ごとの決めごと。ケガの離脱と退場が重なったときの扱いも要項に書かれています。ここは地域差が大きいので、参加する大会の要項を確認してください。
GKが退場した場合も同じで、人数は戻りません。フィールドの誰かがGKの服を着てゴールに入るか、フィールドプレーヤーを1人下げてベンチのGKを入れる(この場合も総人数は減ったまま)という形になります。GKまわりの決まりは キーパーのルール にまとめています。
07警告の累積は大会でどう扱われる?
もうひとつ知っておくと安心なのが累積警告です。同じ大会・同じリーグ戦の中でイエローを何枚かためると、次の試合に出られなくなる(出場停止)という運用があります。1枚ずつは軽くても、積み重なると次の試合を丸ごと欠場することになる、という仕組みです。
ただし、この基準は大会ごとにまったく違います。よくある形はこのあたり。
- リーグ戦でイエロー累積◯枚で次節1試合の出場停止
- 一発レッドは即・次の1〜2試合の出場停止(内容が悪質なら追加処分も)
- 大会が終われば累積はリセットされる/持ち越される(ここが大会で分かれる)
- 少年サッカーの短期トーナメントでは累積制度そのものを置いていないことも多い
つまり「イエロー2枚で次の試合に出られない」と一般化はできません。わが子のカードが次にどう響くかは、その大会の要項にしか書いていないのが実際です。気になるときは、チームの指導者に「この大会は累積の扱いありますか」と一言聞くのがいちばん早くて確実です。大会そのものの仕組みは 大会・トーナメントの基本 が参考になります。
08グリーンカードとの関係
少年サッカーには、罰のカードとは逆のグリーンカードがあります。これはJFA(日本サッカー協会)が育成年代で使っている仕組みで、フェアプレーやいい行いをほめるためのカードです。倒した相手に手を差し出して起こした、自分から「今のは自分に当たりました」と申告した——そんな場面で審判が緑のカードを掲げます。
イエロー・レッドが「やってはいけないことの線引き」だとすれば、グリーンは「やってほしいことの見本」。同じ審判が、同じ試合の中で、罰と称賛の両方を出せるのが少年サッカーの面白いところです。
グリーンカードは、その子の技術とはまったく関係なく出ます。上手い子でなくても、優しい子・正直な子がもらえる。試合に出た時間が短くても、もらえます。得点と同じくらい大きな価値がある出来事なので、家で「あれ、めちゃくちゃ良かった」と言ってあげてください。子どもは驚くほど覚えています。
グリーンカードの詳しい中身と、家でどう伸ばすかは グリーンカードとは で解説しています。
09カードをもらった子への声かけ
もしわが子がカードや厳しいファウルを取られても、試合中や直後に責めないことがいちばん大切です。本人がいちばんショックを受けています。家に帰って落ち着いてから、「どうすれば防げたか」を一緒に考えるだけで十分。むしろ「取り返そうと熱くなれる気持ち」は、成長の芽でもあります。
現場で見ていると、カードをもらった子の反応はだいたい3つに分かれます。泣く・固まる・その後乱暴になる。どれも「自分が悪者になった」と感じているサインです。ここで大人が追い打ちをかけると、次の試合で球際に行けなくなる子が出ます。強く当たること自体をこわがるようになるからです。
試合直後、駐車場に向かう車の中で「なんであんなことしたの」と始めてしまう——これがいちばん多いパターンです。子どもは逃げ場がなく、黙るしかありません。その日は結論を出さない。「暑かったね」「お腹すいた?」で構いません。話すのは翌日以降、子どもが自分から試合の話を始めたときで十分間に合います。
OKの声かけは、順番が決まっています。①気持ちを先に受け止める(「くやしかったよな」)②事実だけ確認する(「あのとき何が起きてた?」)③次の行動を1つだけ決める(「押されたら手じゃなく体を入れよう」)。この3ステップなら、反省が自己否定になりません。試合後の言葉選びは 試合後にかける言葉 にもまとめています。
10親が審判に食ってかかってはいけない理由
これは、少年サッカーで最も気をつけたいところです。保護者が審判に抗議するのは、どんな理由があってもやってはいけません。感情論ではなく、はっきりした理由が3つあります。
1つめ、子どもが真似します。親がタッチラインの外で「今のファウルだろ!」と叫んだ次の試合、その子がピッチの中で審判に同じ言い方をする——現場では珍しくない光景です。抗議はカードの対象になります。親の一言が、そのままわが子の警告につながることがあるんです。
2つめ、少年サッカーの審判の多くは保護者やコーチです。専門の審判員ではなく、資格を取って持ち回りでやっている、同じ立場の親であることがほとんど。次の試合であなたが笛を持つ側になることもあります。審判の役割については 審判ライセンスと親の当番 が参考になります。
3つめ、試合が止まり、いちばん損をするのが子どもです。判定でもめている数分間、22人の子どもが立って待っています。監修コーチの現場でも、保護者の抗議で試合が5分近く中断し、その後どちらのチームもプレーがちぐはぐになった、ということがありました。子どもは大人の空気を吸い込んでプレーします。
① その場では何も言わない(拍手だけしておく)
② 試合後、チームの指導者に穏やかに聞く(審判に直接ではなく)
③ 大会運営に関わる話なら、指導者から運営に上げてもらう
保護者から審判へ直接、が唯一やってはいけないルートです。誤審だと感じたときの受け止め方は 誤審かなと思ったとき に、応援のマナー全般は 応援のマナー にまとめています。
「カードの意味を知らずに観ていたので、この記事でスッキリ。応援が楽しくなった」
「低学年ではあまり出ないと知って安心した。過度に心配していた」
「子どもがファウルを取られた日、責めずに家で話せた。関わり方の参考になった」
よくある質問
イエローカードを2枚もらうとどうなりますか?
同じ試合でイエローカードを2枚もらうと、レッドカード(退場)になります。退場した選手はその試合にもう出られず、交代もできないため、チームは1人少ない状態で戦うことになります。『1回目は警告、2回目はアウト』と覚えると分かりやすいです。
退場したら、代わりの選手を入れられますか?
入れられません。レッドカードで退場した場合、その選手の代わりを出すことはできず、チームは人数が1人減ったまま試合を続けます。これがレッドカードが試合を大きく左右する理由です。
少年サッカーでもカードは出ますか?
出ることはありますが、低学年〜中学年ではあまり多くありません。育成年代では、いきなり罰するより『なぜ危ないか』を伝えることが大切にされるため、審判は口頭での注意を優先することが多いです。過度に心配する必要はありません。
どんなプレーがカードの対象になりますか?
相手を後ろから危険に倒す、わざと手で決定的なチャンスを防ぐ、暴言や乱暴なふるまい、反則のくり返しなどが対象になりやすいです。ポイントは『わざと・危険・くり返し』が絡むと重くなること。ボールを取りにいった結果の軽い接触は、ファウルでもカードまではいかないのが普通です。
子どもがカードをもらったら、どう声をかければいい?
試合中や直後に責めないことが大切です。本人がいちばんショックを受けています。家で落ち着いてから『どうすれば防げたか』を一緒に考えるくらいで十分。熱くなれる気持ち自体は成長の芽でもあるので、頭ごなしに否定しないであげてください。
ルールが分かると観戦はぐっと楽しくなります。あわせて → ファウル・反則の基本/8人制サッカーのルール全体像 もどうぞ。
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育成年代の指導3年目、延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断・認知・立ち位置を軸に「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。
用品・ルール・練習の記事は、公開前に監修コーチが内容を確認し、事実に関わる記述は一次情報にあたって整理しています。監修者について →

