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親の関わり方

試合で緊張する子への声かけ|力を出すための親のサポート

PITCH NAVI 編集部|2026.07.10 更新|読了 約9

監修現役 U10・8人制サッカーコーチ指導3年目・延べ50名を指導

ナイターの試合前に緊張する子へ母親が声をかけるアイキャッチ

試合の朝になると元気がない、ガチガチに固まってふだんの動きが出ない、「行きたくない」と言い出す——。緊張で本来の力を出せないわが子を見るのは、親としてもどかしいですよね。この記事では、少年サッカーの現場を見てきた現役コーチの視点から、試合で緊張する子に、親がかけたい言葉とサポートを、今日から使える形でお伝えします。

\ 時間がない人へ・先に結論 /

緊張は「本気の証拠」で、悪いものではありません。親のNGは「緊張するな」「勝ってこい」「ミスするな」——プレッシャーを上乗せする言葉。かけたいのは「楽しんでおいで」「ミスしても大丈夫」。結果でなく、挑戦と楽しさに目を向けさせるのがコツです。

この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。緊張する子ほど、実は「うまくやりたい」という前向きな気持ちが強い子。その気持ちを、プレッシャーでなく力に変えてあげることが、親のサポートでできます。順番に見ていきましょう。

01緊張は「悪いもの」ではない

まず伝えたいのは、緊張することは、決して悪いことではないということ。緊張するのは、その試合を大事に思い、うまくやりたいと思っている証拠。まったく緊張しない子より、むしろ伸びる可能性を秘めています。

問題は緊張そのものではなく、緊張を「悪いもの」「消さなきゃいけないもの」と本人が思ってしまうこと。「緊張しちゃダメだ」と考えるほど、余計に体が固くなります。だから親の役割は、緊張をゼロにすることではなく、「緊張していい」と安心させてあげることです。

02体が勝手に準備しているだけ

子どもに説明するときは、こう言うのがいちばん伝わります。

「それ、体が『いまから走るぞ』って準備してるだけだよ」

心臓がドキドキするのは、血をたくさん送って筋肉を動かす準備。手が冷たくなるのは、血が手足の先より大きな筋肉に集まるから。息が浅くなるのは、酸素をたくさん取り込む準備。どれも、これから全力で動く体が勝手にやっていることです。壊れているわけでも、弱いわけでもありません。

この説明をしてあげると、子どもの顔が変わることがあります。ある試合前、ベンチで「気持ち悪い」と言っていた子に「それ準備できてる証拠だよ、いい状態」と伝えたら、「そうなん?」と笑いました。その日、その子はシーズンでいちばん走りました。症状は同じでも、意味づけが変われば体の使い方が変わります

ただし、これは「気持ちの持ちよう」で全部片づけるという意味ではありません。吐く・激しい腹痛・呼吸が苦しいなどが毎回続く場合は、個人差もあるので、一度小児科に相談してください。がまんさせ続けるのがいちばん良くありません。

03親がやりがちな、逆効果の声かけ

よかれと思ってかけた言葉が、かえってプレッシャーになることがあります。

⚠ 緊張を増やすNGワード

・「緊張するな」→ 意識させて逆効果
・「絶対勝ってこい」→ 結果のプレッシャー
・「ミスするなよ」→ ミスを怖がらせる
・「今日は活躍しないと」→ 期待の重圧
どれも、子どもの肩に「結果」の重さを乗せてしまいます。

とくに「勝て」「ミスするな」は、子どもの意識を「失敗しないこと」に向けてしまうのが問題。人は失敗を避けようとすると、動きが小さく守りに入り、本来の力が出せません。親の期待が重いほど、子どもは縮こまってしまうのです。

04「頑張れ」が効かない理由

いちばん自然に出てしまうのが「頑張れ」。悪気はゼロなのに、緊張している子にはあまり効きません。理由は3つあります。

    • もう頑張っているから。緊張しているということは、すでに全力を出そうとしている状態です。「頑張れ」は「今のままでは足りない」と受け取られます。
    • 何をすればいいか分からないから。「頑張れ」は具体的な行動を指していません。不安な子ほど、具体的な指示のほうが安心します。
    • 結果を期待されていると感じるから。「頑張れ=いい結果を出して」と翻訳されてしまいます。

代わりに使えるのが、「やることを1つだけ渡す」言い方です。「今日は最初の5分、思いっきり走ってきな」「1回は仕掛けてみよう」——やることが1つに絞られると、頭の中の不安が入る隙間が減ります。緊張が強い子には、これがいちばん効きます。

05試合前・試合中・試合後の声かけ

タイミングごとに、意識したい声かけをまとめます。

● 試合前 「楽しんでおいで」「ミスしても全然大丈夫」。結果でなく、楽しむこと・挑戦することに意識を向けさせます。「いつも通りでいいよ」も、力みを抜く魔法の言葉です。

● 試合中 サイドラインからの指示出しは我慢。「ナイスチャレンジ!」「よく走ってる!」と、プレーを指示せず、頑張りに反応するだけ。緊張している子にとって、静かに見守ってくれる親は一番の安心です。

● 試合後 勝敗やミスに触れる前に、まず「おつかれさま、楽しかった?」。結果より、挑戦できたことを認める。「あの場面、逃げずに向かっていったね」と、具体的な頑張りを1つ伝えると、次への自信になります。

\ 黄金の一言 /

試合前に迷ったら、これだけでOK。
「楽しんでおいで。ミスしても大丈夫だよ」
勝ち負けから子どもを解放する、いちばん効く言葉です。

06当日の朝から試合直前までの時間割

緊張が強い子ほど、「朝から試合まで何をするか」が決まっていない時間で不安がふくらみます。時間ごとに整理します。

● 起きてすぐ(試合の3〜4時間前)

ここで試合の話をしないこと。「今日勝てそう?」「相手強いんだって?」は禁物です。いつもの朝と同じ会話でいい。緊張が強い子には、朝の時点でスイッチを入れないほうが持ちます。

● 朝ごはん(試合の2〜3時間前)

食欲がなくても責めない。食べられる分だけで大丈夫です。無理に詰め込むと、かえって気持ち悪くなります。

● 家を出る前(30分前)

ここで持ち物を一緒に確認します。忘れ物の不安は、緊張を倍にします。持ち物が全部そろっている、という状態が安心の土台になります。

● 移動中(車の中)

いちばん大事な時間です。ここで戦術の話や「今日は頼むぞ」を言わない。音楽をかける、関係ない話をする——それだけで着いたときの表情が変わります。

● 試合直前(アップ後)

言うことは1つだけに絞ります。「最初の5分、走ってきな」でも「1回仕掛けよう」でも何でもいい。2つ以上言うと、どっちも忘れます

07会場に着いてからのルーティン

緊張に強い子には、必ずと言っていいほど「毎回同じ手順」があります。これは才能ではなく、作れるものです。

    • 荷物を置く場所を毎回同じにする。細かいですが、これだけで「いつもと同じ」感覚が生まれます。
    • 着替えの順番を固定する。ソックス→すね当て→スパイク、と決めておく。
    • アップ前に1人でボールを10回触る。誰かと競わない、自分だけの時間を作ります。
    • 親と最後に交わす言葉を固定する。「いってらっしゃい」だけでいい。毎回同じ言葉が、いちばんの合図になります。

ルーティンの目的は、うまくなることではなく「いつも通り」を作ること。緊張する子は、いつもと違う要素が1つ増えるだけで不安になります。だから、変えられる部分をできるだけ固定してあげる。これが親にできる、いちばん実務的なサポートです。

08トイレが近い子・お腹が痛くなる子

試合前になると何回もトイレに行く、お腹が痛くなる、気持ち悪くなる——珍しくありません。緊張で自律神経が働くと、体はそういう反応をします。

やってはいけないのが「また?」「さっき行ったでしょ」。恥ずかしさが乗ると、次から言い出せなくなり、もっと悪化します。対処はシンプルです。

    • 会場に着いたら真っ先にトイレの場所を確認する。場所が分かっているだけで不安が減ります。
    • 「行きたくなったらいつでも行っていい」と先に言っておく。許可が出ている状態が安心になります。
    • 朝ごはんを軽めにする。消化にエネルギーを使うと、余計に気持ち悪くなりやすいです。
    • 回数を数えない・指摘しない。親が気にすると、子どもはもっと気にします。

ほとんどの子は、試合が始まって最初のプレーに関わった瞬間に消えます。ただし、毎回激しい腹痛が出る・試合以外の日にも続く場合は、緊張だけが原因とは限りません。個人差があるので、続くようなら小児科で相談してください

09親の緊張は、子どもに伝染する

これは現場で何度も見てきたことですが、親が緊張していると、子どもも高い確率で緊張します。言葉に出していなくても伝わります。

伝わるのは、こういうところです。

⚠ 言葉より伝わっているもの

車の中の会話が少ない→ 子どもは「今日は特別な日だ」と察します
試合中に立ったり座ったりする→ 視界の端で親の動きは見えています
失点のときのため息→ 音が聞こえなくても、雰囲気で伝わります
試合後の第一声が出てこない→ 沈黙がいちばん重いです

対策は「緊張しないようにする」ではなく、親も自分のルーティンを作ることです。試合中は座って見る場所を決める、飲み物を持っておく、他の保護者と話す——手と口が動いていると、感情が表に出にくくなります。

そしてもう1つ。試合を「結果を見に行く場」ではなく「子どもが挑戦するのを見に行く場」だと決めてしまう。この前提が変わるだけで、親の力みは本当に抜けます。

10終わったあとの声かけ

緊張して力が出せなかった日ほど、帰りの車が勝負です。ここで何を言うかで、次の試合の緊張の強さが変わります

順番はこうです。

    • ①まず労う。「おつかれさま」。それだけ。結果の話はしない。
    • ②本人が話し出すまで待つ。10分でも20分でも。沈黙を埋めようとして親が話し出すと、そのまま説教になります。
    • ③良かった場面を1つだけ、具体的に。「後半、ちゃんと戻ってたね」。抽象的な「よかったよ」より、具体が1つのほうが残ります。
    • ④反省は、その日はしない。次の練習の前に一言でいい。

やってはいけないのが、「緊張してたね」と言うこと。よかれと思っての共感ですが、子どもにとっては「うまくいかなかった原因は緊張」とラベルを貼られることになります。次の試合の前に「また緊張したらどうしよう」が増えるだけです。触れないのが正解です

11学年が上がると変わること

緊張の中身は、学年で変わります。同じ対応を続けていると、途中でズレます。

    • 低学年(1〜2年):緊張の中身は「知らない場所・知らない人」への不安。サッカーの中身ではありません。会場に慣れる、親が見える場所にいる、これで大半は解決します。
    • 中学年(3〜4年)「ミスして怒られたくない」が中心。誰に怒られたくないのかを聞くと、たいてい親かコーチの名前が出ます。ここが親の言葉がいちばん効く時期です。
    • 高学年(5〜6年)「仲間の期待に応えられないこと」「自分の実力への不安」に変わります。ここでは励ましより、事実を渡すほうが効きます。「先週の練習であれだけできてた」と、根拠を1つ思い出させる。

高学年になると、親の言葉の効き目は下がります。その代わり、「どんな結果でも親は変わらない」という積み重ねが効いてきます。低学年のうちに何を言ったかより、6年間ずっと同じ態度でいられたかどうか。長い勝負です。

12家でできる、緊張とうまく付き合う準備

緊張に強くなる一番の土台は、「これだけやってきた」という自信です。本番で緊張しても、「家で練習したから大丈夫」と思える経験があれば、気持ちが落ち着きます。

とはいえ、難しい練習は要りません。親子で毎日5分ボールにさわる——それだけで「サッカーは楽しい」「自分はできる」という感覚が育ちます。勝ち負けのない、笑顔で終わる時間が、本番の緊張をやわらげてくれます → 親子でできるおうちサッカー練習・ボールタッチ5選

また、試合の朝に食欲がなくなる子も多いもの。無理に食べさせず、消化のいいものを少しだけ——という工夫も、緊張とうまく付き合うコツです。くわしくは試合前の食事ガイドを参考にしてください。

💬 現場で聞いた保護者の声

『緊張してるね』と言うのをやめただけで、試合の朝の表情が変わった

3年生のお子さんの保護者

車の中でサッカーの話をしないようにしたら、会場に着いたときが全然違う

4年生のお子さんの保護者

『最初の5分だけ全力で走ってきな』と1つだけ渡すようにしたら動けるように

5年生のお子さんの保護者

トイレの回数を指摘しないようにしたら、いつのまにか減っていた

2年生のお子さんの保護者
※ 監修コーチが少年サッカーの現場で実際に聞いた声です(個人が特定されない形で掲載しています)。感じ方には個人差があります。

13よくある質問

Q

試合になると、ふだんの力がまったく出せません。どうすれば?

A

緊張で体が固くなっているサインです。まず「緊張してもいい、それは本気の証拠」と伝えて安心させてあげてください。親が『勝て』『ミスするな』と結果を求めると、子どもは失敗を恐れて余計に縮こまります。試合前は『楽しんでおいで』『いつも通りでいい』と、結果でなく楽しむことに意識を向けさせるのが効果的です。家での練習で『これだけやった』という自信を積むことも、緊張への一番の対策になります。

Q

「試合に行きたくない」と言います。休ませていいですか?

A

頭ごなしに『行きなさい』と言う前に、まず理由を聞いてあげてください。緊張や不安からの一時的な言葉なら、『緊張するよね、でもミスしても大丈夫だよ』と気持ちを受け止めるだけで、行けることも多いです。ただ、毎回ひどく嫌がる・体調に出るほどなら、無理強いは禁物。プレッシャーの原因(親やコーチの期待、友だち関係など)がないか、一度ゆっくり話を聞く機会をつくりましょう。

Q

緊張しないように、試合前は何と声をかければいい?

A

『緊張するな』は逆効果です。意識させてしまい、余計に固くなります。おすすめは『楽しんでおいで』『ミスしても大丈夫』『いつも通りでいいよ』。結果や勝敗ではなく、楽しむこと・挑戦することに意識を向けさせる言葉です。緊張をゼロにしようとするのではなく、『緊張してもいい』と安心させるのがコツだと覚えておいてください。

Q

親の私のほうが緊張してしまいます。

A

親の緊張や力みは、子どもに驚くほど伝わります。まずは親自身が『勝たせたい』『活躍させたい』という気持ちを、少し手放してみてください。子どもにとって一番の力になるのは、どんな結果でも変わらず応援してくれる親の存在です。試合を『子どもの挑戦を見守る時間』ととらえ、深呼吸して、笑顔で送り出してあげましょう。それだけで、子どもはずいぶん軽くなれます。

本番の緊張をやわらげる一番の土台は、家での「できた!」の積み重ねです → 親子でできるおうちサッカー練習・ボールタッチ5選

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この記事の監修
監修現役 U10・8人制サッカーコーチ

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育成年代の指導3年目、延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断・認知・立ち位置を軸に「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。

用品・ルール・練習の記事は、公開前に監修コーチが内容を確認し、事実に関わる記述は一次情報にあたって整理しています。監修者について →

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