「家でサッカーの練習を見てあげたいけど、自分は未経験で何をすればいいか分からない」「YouTubeを見せても、結局続かない」。そんなパパ・ママのための記事です。結論、家の練習はボールタッチ(ボールに慣れる練習)から始めるのが正解。この記事では、未経験の親でも今日から一緒にできる超かんたんドリルを5つ、回数の目安・コツ・親の声かけ例つきで紹介します。広い場所も、特別な道具もいりません。
なぜボールタッチから始めるのか。監修している現役U10コーチの現場では、伸びていく子に共通するのは「ボールが足に吸いつくように扱えること」だと言います。シュートやパスの上手さは、すべて「ボールを思い通りにさわれる」という土台の上に載るもの。そしてこの土台は、チーム練習よりも、家での毎日5分のほうが効率よく積み上がります。理由は単純で、チームでは1人あたりのボールタッチ回数がどうしても限られるからです。
もうひとつ大事なことを先に。家練習の目的は「上手くさせること」ではなく、「ボールにさわるのが楽しい」という状態を守ることです。ここを間違えて熱血指導になると、続きません。親の役割はコーチではなく、隣で一緒にやって、できたら一緒に喜ぶ人。技術の指導はコーチに任せて大丈夫です(この役割分担については 親がやってはいけないこと7つ で詳しく書いています)。
毎日5分・親子で楽しく。「ボールを自分の思い通りにさわれる」感覚を育てます。上手い下手より、続けることがいちばん大事です。
まずは01と02だけでOK。5つ全部やる必要はありません。1つ2つを毎日くり返すほうが、ずっと効果があります。
01ソールタッチ

足の裏でボールの上を軽くタッチ。左右の足で交互にリズムよく。ボールに触れる感覚をつかむ、いちばん最初のメニューです。
ソールタッチは地味に見えますが、「ボールがどこにあるか、見なくても分かる」感覚の入口です。試合中に顔を上げてプレーできる選手は、みんなこの感覚を持っています。親も隣で一緒にやってみてください。やってみると意外と難しくて、子どもと同じ目線で「むずかしいね!」と笑えるのが、家練習のいちばんの価値です。
02インサイドタッチ

足の内側(インサイド)で、ボールを左右に小さく転がします。両足を使うのがポイント。
インサイドは、パスにもトラップにも使う「サッカーでいちばん使う場所」。ここでボールを転がす感覚は、そのまま試合のプレーにつながります。左右両方の足を必ず使わせてあげてください。利き足だけでやりたがりますが、両足でさわれる子は、それだけで選択肢が2倍になります。
03前後ロール

足の裏でボールを前に押し出し、引き戻す。前後の動きでボールを止める力が育ちます。
「ピタッと止める」は、実は少年サッカーでいちばん差がつく技術です。試合を左右するのは派手なドリブルより、ファーストタッチでボールを置きたい場所に置けるか。前後ロールの「引き戻してピタッ」は、その一番やさしい練習になります。
04ジグザグ・ドリブル

ペットボトルや靴を目印に置いて、間をジグザグに進みます。小さなタッチで運ぶのがコツ。
道具はペットボトルで十分です。専用マーカーがなくても、靴・ぬいぐるみ・何でもOK。「今日は昨日より1個増やそうか」と、子どもと一緒にコースを作るところから遊びにするのが続くコツです。
05リフティング

足の甲でボールをポンと上げる。最初は1回できれば大成功。手で持って落として蹴る、からでOK。
リフティングだけは、少し注意が必要です。回数がはっきり出るぶん、親がつい「もっとできるでしょ」と言いたくなるメニューだからです。リフティングの回数と試合の上手さは、直結しません。「たくさんできたらすごい」ではなく「昨日の自分より1回多かったらすごい」。比べる相手は、いつでも昨日のその子自身です。
06続けるための、たった2つのコツ
ここまでの5つより、実はこの章がいちばん大事です。家練習が続かない原因は、子どものやる気ではなく、設計にあります。
- 短く、毎日。 10分より5分を毎日。「もうちょっとやりたい」で終わるのが理想です。終わりの時間を先に決めると、集中も続きます。
- できたら、すぐほめる。 「今の良かったね!」のひと言が、何よりの燃料です。技術的に正しいかどうかは、二の次でかまいません。
そしてもうひとつ、現場のコーチとして付け加えたいことがあります。「やりなさい」と言った瞬間、家練習は宿題になります。 おすすめは、親が先にボールをさわり始めること。「ちょっとパパにやらせて」「ママ、これできるかな?」と親が遊んでいると、子どもは「貸して!」と寄ってきます。誘うのではなく、釣る。これが続く家のやり方です。
NG:「練習しなさい」 → OK:「ちょっとパパとボールさわろう」
NG:「なんでできないの」 → OK:「昨日より良くなってるよ」
NG:「もっと集中して」 → OK:「あと1回だけ、いちばん上手なやつ見せて」
07あると便利な練習グッズ
必須ではありませんが、これがあると家での練習がぐっとはかどります。特に室内でやる場合、普通のボールだと音と衝撃が気になって、親が「やめて!」と言ってしまいがち。やわらかい室内用ボールがあるだけで、雨の日も夜も練習できる環境になります。

よくある質問
何歳から始められますか?
ボールを蹴って遊べる年齢なら何歳からでもOKです。低学年・幼児のうちは「練習」と考えず、ボールで一緒に遊ぶ感覚で十分。この記事のドリルは小学生を想定していますが、回数を減らせば幼児でも楽しめます。
室内でやってもいいですか?
やわらかい室内用ボールを使えば大丈夫です。通常のサッカーボールは硬く、床や家具を傷めるので屋外向き。マンション等では、音の静かなトレーニングボールを選ぶと安心です。
ボールのサイズは何号を選べばいい?
小学生は4号球です(中学生以上が5号)。家練習用も試合と同じ4号にそろえると、感覚がそのまま活きます。室内用のやわらかボールも4号サイズを選びましょう。
毎日やらないと意味がないですか?
毎日が理想ですが、週3〜4日でも十分効果があります。大事なのは「短くても続くこと」。1日サボっても責めずに、「今日はやる?」と軽く聞くくらいの距離感が長続きのコツです。
親は未経験ですが、教えて大丈夫?
「教える」必要はありません。この記事のドリルを一緒にやって、できたら一緒に喜ぶだけで十分です。技術指導はコーチに任せて、家は「ボールが楽しい場所」にするのが親のいちばんの役割です。
家練習の環境が整ったら、次は足元も。サイズの合わないシューズは、痛みやケガのもとになります。足に合う一足の選び方はこちら → ジュニアサッカースパイクの選び方【現役コーチ監修】
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
少年サッカーの育成年代を指導する現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。

