試合で浮いたボールが飛んできた瞬間、目をつぶって顔をそむける——。「うちの子、ヘディングを怖がるな…」と気づいたパパ・ママは多いはずです。でも、それはごく自然なこと。ヘディングは、正しい当て方と順番を知らないまま「頭で返しなさい」と言われると、痛くて怖い技術です。逆に言えば、当てる場所と体の使い方さえ覚えれば、痛くないし怖くない。この記事では、サッカー未経験の親でも家でできる、「怖がる子」から始める安全なヘディング練習を、順番どおりに紹介します。
ヘディングで大事なのは、①おでこの真ん中で当てる ②首を固める(あごを引く) ③軽くて怖くないボールから始めるの3つ。頭のてっぺんや顔で当たると痛いので、まずは風船やスポンジボールで「おでこに当てる感覚」だけを覚えます。痛い経験を一度もさせないのが、上達の最短ルートです。→ 足元から安定させる用品もチェック(30秒)
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。断言できるのは、ヘディングを怖がる子は、運動神経が悪いのではなく「痛い記憶」があるだけだということ。実際、私のチームでも、最初は全員がボールを避けていました。でも、風船からスタートして「おでこで当てる」を2週間続けた子は、1か月後には試合で競り合えるように。怖さは、正しい順番でしか消えません。急がず、痛くない経験を積み重ねることが何より大切です。
01怖がるのは当たり前。原因は「痛い記憶」
まず知っておいてほしいのは、ヘディングを怖がるのは、悪いことでも弱いことでもないということです。むしろ「危ないものを避ける」のは、体が正しく反応している証拠。問題は「痛い記憶」です。一度でも頭のてっぺんや顔面でボールを受けて「痛い!」と感じると、脳が「ボール=痛い」と覚えてしまい、次から反射的に目をつぶって避けるようになります。
だから、直し方はシンプル。「痛くないヘディング」だけを、くり返し体験させること。無理に硬いボールで練習させると、逆に怖さが強くなってしまいます。順番を守れば、どんな子でも必ず慣れます。
02痛くない当て方=おでこ+首を固める
痛くないヘディングには、2つの鉄則があります。
① 頭のてっぺんや顔で当てる(骨がかたく、衝撃が大きい)
② 首がぐらぐらのまま当てる(首を痛めやすい)
③ 目をつぶって当てる(当たる場所がズレて危ない)
正解は、①おでこの、髪の生えぎわの少し下(いちばん平らな骨)で当てる ②あごを引いて首をキュッと固める。おでこの平らな部分は、当てても痛くありません。そして「あごを引く」と首が安定して、ボールをしっかり弾き返せます。「おでこで、あてる。あごを、ひく」——この2つだけ、合言葉のように覚えさせてください。
03風船でおでこタッチ
風船をふくらませ、親がふわっと投げます。子は手を使わず、おでこの真ん中でポンと返すだけ。まずは『おでこに当てる場所』を覚えるのが目的です。
このステップの目的は、「おでこのどこに当てるか」を痛みゼロで体に覚えさせること。風船は当たっても痛くないので、子どもは目をつぶらずにボールを見続けられます。この「目を開けたまま当てる」経験が、怖さを消す最初の一歩です。
04やわらかいボールで座って当てる
スポンジボールやふわふわのボールを用意。子は床に座り、親が下から軽くトス。座ったまま、おでこであごを引いて返します。座っているのでジャンプの怖さがありません。
座って行うのは、ジャンプや動きの不安をなくして、当て方だけに集中させるため。ここで「あごを引く」感覚をつかみます。うまく返せたら、少しずつトスを高くしていきましょう。
風船・スポンジで慣れたら、次は本物の4号ボール(小学生用の公式サイズ)へ。試合と同じボールで「痛くない当て方」を確認できると、自信につながります。家に1つあれば、ヘディングだけでなくパスやトラップの練習にも毎日使えます。
05立って・軽くジャンプして
立った状態で、親が軽く上に投げたボールを、小さくジャンプしておでこで返します。ここで初めて『試合に近い形』になります。柔らかいボールのままでOK。
ここまで来たら、あとはボールを少しずつ本物の重さに近づけていくだけ。3号→4号と段階を踏み、「痛くない」を確認しながら進めます。焦らないことが、結局いちばんの近道です。
ちなみに、ヘディングの競り合いはジャンプの踏み切りと着地が大切。足元がすべると、思い切ってジャンプできませんし、着地でひねって危険なこともあります。もし今の靴で「踏ん張れずにすべる」ことが多いなら、グリップの効くシューズを検討する価値があります(あくまで、すべりが気になる場合の話です)。
△ここだけ注意:スパイクは低学年やまだ慣れていない子には早いことがあります。学年と足型に迷ったら、比較ページで確認するのが安心です。→ 学年・足型からピッタリを選ぶ
06安全のための注意点
ヘディングは、正しくやれば怖くありませんが、年齢が低いうちは無理をさせないのが大前提です。海外では、育成年代のヘディング練習の量に配慮する動きもあります。少年サッカーでは「痛くない範囲で、少しずつ」を守れば十分。硬いボールでの連続ヘディングや、強く投げたボールを何度も当てるような練習は避けましょう。
頭や首は大事な部分です。やわらかいボールから始め、痛みや違和感が出たらすぐ中止を。頭を打ったあとに、気持ち悪さ・ぼんやりする様子があれば、練習を続けず休ませてください。成長やケガの心配は個人差が大きいので、気になることがあれば専門家に相談を。
「風船から始めるなんて思いつかなかった。目をつぶらなくなって、そこから一気に慣れた」
「『あごを引く』を教えたら、痛がらなくなった。言い方一つでこんなに違うのかと驚いた」
「無理にやらせて泣かせた過去があったので反省。座る練習に戻したら笑顔でできるように」
「親子で風船ラリーみたいになって盛り上がる。遊びの延長でうまくなっていて驚いた」
よくある質問
ヘディングを怖がります。何から始めれば?
風船やスポンジボールなど、当たっても絶対に痛くないものから始めてください。怖がる原因は「痛い記憶」なので、痛くない経験を積むのが最優先です。おでこの真ん中で当てる感覚を覚え、あごを引く(首を固める)ができるようになってから、少しずつボールを本物の重さに近づけます。
低学年でヘディングをやらせて大丈夫ですか?
やわらかいボールで、痛くない範囲なら問題ありません。ただし硬いボールでの連続ヘディングや、強いボールを何度も当てる練習は避けましょう。育成年代では頭部への負担に配慮する考え方が広がっています。「少しずつ・痛くない範囲で」を守れば十分です。
おでこに当てても痛いと言います。なぜ?
当てる場所がずれている可能性が高いです。頭のてっぺんや、髪の生えぎわより上の丸い部分だと痛くなります。いちばん平らな『眉の少し上・生えぎわの下』で当てるよう、風船でゆっくり確認してください。あごを引けていないと衝撃が首に来て痛がることもあります。
目をつぶってしまいます。直せますか?
直せます。目をつぶるのは怖さの反射なので、痛くない風船で「目を開けたまま当てる」経験を増やすのが効果的です。当たる瞬間まで親が『ボール見てて』と声をかけ、開けたまま当てられたら大げさにほめると、少しずつ改善します。
家の中でも練習できますか?
風船なら室内でもできます。天井の照明や割れ物に注意し、広めのスペースで行ってください。スポンジボールも室内向きです。ジャンプして当てる段階になったら、転倒や家具にぶつからないよう、屋外や広い場所がおすすめです。
ヘディングは、ジャンプの踏み切りと着地の安定が上達のカギ。足元のグリップが合っているかどうかで、思い切りジャンプできるかが変わります。学年や足の形からお子さんに合う一足を選びたい方は、比較ページをどうぞ → 比較ランキングで学年・足型からピッタリを選ぶ
浮き球を正確に扱うには、落下点に入るトラップも大切です。あわせて → 家でできるトラップ練習/基本のキックは インサイドキックの教え方 で解説しています。
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。
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