玄関に、上のお子さんが去年まで履いていたスパイクが1足。まだ形は残っているし、汚れを落とせば十分使えそうに見える——。「これ、下の子にそのまま履かせちゃダメなのかな。ご近所からもらったお下がりもあるし、わざわざ新品を買うのはもったいない気もする」。サッカー未経験のパパ・ママなら、一度は玄関先でこの計算をしたことがあるはず。結論を先に言うと、お下がり・中古は「アリな場面」と「絶対にやめたほうがいい場面」がハッキリ分かれます。この記事を読み終えるころには、その線引きと、手元の1足を「履かせていいか/新品に替えるべきか」を自分で判断できるようになります。
お下がり・中古は「サイズが今の足に合っている」かつ「靴底のスタッド(突起)と踵の内側がすり減っていない」なら、条件つきでアリ。逆に、前の持ち主のクセがついた靴・踵の内側が片減りした靴・スタッドが丸くなった靴は、コスパよりケガのほうが高くつきます。判断のカギは値段ではなく「踵」と「靴底」の2か所。
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この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。現場でよく見るのが、兄弟のお下がりを履いてきた低学年の子が、練習中に何度も踵を気にして立ち止まる場面。先日も、お兄ちゃんのスパイクを履いた1年生の子が「かかとが痛い」と半泣きになっていて、脱がせてみたら踵の内側のクッションが完全につぶれて、片側だけ0.5cmほど沈んでいたことがありました。前の持ち主が数か月かけて作った「踵の当たり方のクセ」は、足の形が違う下の子には合わないんです。サイズが同じでも、靴は「その子専用に馴染んだ道具」だと考えてください。
01お下がり・中古はアリ?「踵と靴底」で決まる
まず結論から。お下がり・中古のスパイクは、状態しだいで「アリ」です。成長期の子どもはすぐサイズアウトするので、まだきれいな1足を回して使うのは、家計にも環境にもいい判断。頭ごなしに「中古はダメ」ということはありません。
ただし、判断の基準は見た目のきれいさではなく、2か所の消耗です。ひとつは靴底のスタッド(=地面をつかむための突起。スパイクなら硬い突起、トレシューならゴムの凹凸)。もうひとつは踵の内側のクッション。この2か所がヘタっていなければ、外側が多少汚れていても実用上は問題ありません。逆に、ここがすり減った靴は、いくら見た目がきれいでも「もう寿命」だと思ってください。
02スパイクが「その子専用」になる理由(履きグセ・型崩れ)
「同じサイズなら、そのまま履けるでしょ?」——気持ちは分かります。でも靴は、履いているうちにその子の足の形・走り方・蹴りグセに合わせて少しずつ変形していきます。これが「履きグセ」です。
上の子が外側に体重をかけて走るクセがあれば、踵は外側だけがすり減ります。この片減りした靴を、走り方の違う下の子が履くと、足がまっすぐ乗らず、無意識に妙な踏ん張り方をするクセがつくことも。成長期の足は骨も柔らかいので、合わない靴の影響を受けやすいんです。「サイズは合っているのに、なぜか痛がる・すぐ脱ぎたがる」——その多くは、この履きグセと型崩れが原因です。
もうひとつ、意外な落とし穴が型崩れ。何か月も履いた靴は、甲の部分やサイド(横)が伸びて、新品のときの「足を包む力」が落ちています。とくに横方向がゆるくなった靴は、切り返しのときに足が中で滑り、これも踵の痛みや靴ずれの原因になります。見た目がきれいでも、中身は別人の足に合わせて伸びている——ここがお下がりの一番のリスクです。
03使っていいケース/やめたほうがいいケース
線引きをハッキリさせます。手元の1足がどちらに当てはまるか、当てはめてみてください。
- 使っていいケース:数か月しか履いていない/サイズが今の足にピッタリ(つま先の余り5〜10mm)/踵の内側がつぶれていない/靴底のスタッドが丸くなっていない/週1〜2回の練習メインで使う
- できれば避けたいケース:1シーズン以上ガッツリ履き込まれた/踵やサイドが目に見えて片減り・型崩れしている/サイズが微妙に大きい(「そのうち足が追いつく」で我慢させる)
- 絶対にやめたほうがいいケース:踵の内側のクッションがつぶれている/靴底のスタッドが削れて丸い/すでに前の子が「痛い」と言っていた靴/試合に多く出る中〜高学年で、踏ん張り・切り返しが激しい子に回す
ポイントは、「もったいない」より「痛くないか」を優先すること。合わない靴を我慢して履くと、走り方が崩れたり、足や膝を痛めたりして、結果的に新品より高くつきます。
04受け取る前に見る3つのチェックポイント
ご近所や兄弟からお下がりをもらうとき、その場で30秒でできる確認です。もらってから「使えなかった」とならないように、受け取る前にチェックしましょう。
①靴底のスタッドを触る。 スパイクの突起、トレシューのゴムの凹凸が、角が取れて丸くなっていないか。角がしっかり残っていればOK。丸ければ、雨の日やターン時に滑りやすく、寿命のサインです。
②踵の内側に指を入れる。 かかとを包むクッション部分を指で押して、片側だけ沈んでいないか・つぶれていないかを確かめます。ここがヘタっていると、どんなにサイズが合っても踵が痛くなります。現場で一番よく見るトラブルがこれです。
③甲とサイドを軽く握る。 新品のようなハリが残っているか、それともクタッと伸びきっているか。横がゆるゆるに伸びていたら、切り返しで足が中で滑る可能性が高いです。
この3つが全部クリアなら、お下がりは十分「戦力」になります。ひとつでも引っかかったら、無理に使わず新品を検討してください。
05「安全に使うなら新品」でいい価格帯もある
「お下がりは状態が不安。でも高いのは買いたくない」——そんなときに知っておいてほしいのが、そもそもジュニアの練習用スパイクは、新品でも手頃な価格帯が主戦場だということ。無理に状態の悪いお下がりを使うより、3,000〜4,000円台の新品を選んだほうが、結果的に安心でコスパもいい場面は多いです。
とくに、これからはじめての一足という低学年の子には、お下がりより新品のトレシュー(TF)をおすすめします。理由はシンプルで、最初の靴で「痛い・気持ち悪い」を経験すると、サッカーそのものが嫌いになってしまうことがあるから。先日も、履きグセのついたお下がりで足を痛めた子が、新品のやわらかいトレシューに替えたら、その日のうちに笑顔で走り出した——そんな場面を何度も見てきました。
もし下の子が幅広・甲高で、上の子の細めのお下がりが横できつそうなら、無理に履かせないでください。足型が違えば同じサイズでも合いません。幅広の子には、最初からワイド設計の一足を選ぶのが近道です。
06いつ新品に替えるべきか(買い替えのサイン)
お下がりで使い始めても、どこかで新品に切り替えるタイミングが来ます。「まだ履けそう」と親が思っても、子どもの足は先に限界が来ている——これを覚えておいてください。
次のどれかが出たら、お下がりの卒業どきです。
・つま先の余りが5mm未満になった(指でつまむと分かる)/・子どもが「かかとが痛い」「脱ぎたい」と言い出した/・靴底のスタッドが丸くすり減った/・踵やサイドが片減り・型崩れしてきた。
サイズアウトの見極めは半年に1回のペースで。成長期は半年で0.5cmほど伸びることもあります。
とくに試合出場が増えてくる中〜高学年は、踏ん張りや切り返しが激しくなるぶん、状態の落ちたお下がりでは足元が不安定になりがち。この時期は、標準的な足型に合わせやすい定番の新品を、その子専用に用意してあげるのが安心です。
コスパと足の健康は、どちらか一方をあきらめるものではありません。状態のいいお下がりは賢く使い、限界が来たら迷わず新品。この切り替えができれば、ムダなく、子どもの足も守れます。
なお、「そろそろサイズアウトかな?」の見極めや予算配分は サッカースパイクの選び方 でも詳しくまとめています。
「兄のお下がりをそのまま履かせたら『かかとが痛い』と毎回グズグズ。よく見たら踵の内側がつぶれていて、新品に替えたら一発で解決しました」
「ご近所からもらった中古、見た目はきれいだったのに靴底のイボがツルツル。雨の日に滑って転んで、結局買い直しました」
「お下がりで十分と思っていたけど、下の子は幅広で横がきつそう。足型が違うと同じサイズでも合わないんだと初めて知りました」
「上の子の靴を回すつもりが、試合が増えた5年生には踏ん張りが効かず断念。中高学年は専用の一足がいるみたいです」
よくある質問
サッカースパイクのお下がり・中古は履かせても大丈夫ですか?
状態しだいで大丈夫です。判断のカギは値段や見た目のきれいさではなく『靴底のスタッド(突起)』と『踵の内側のクッション』の2か所。どちらもすり減っていなくて、サイズが今の足に合っていれば、条件つきでアリです。逆にこの2か所がヘタっている靴は、いくらきれいでも寿命だと考えてください。
サイズが同じなら、そのまま履かせても問題ないですか?
サイズが同じでも要注意です。靴は履いているうちに前の持ち主の足の形・走り方・蹴りグセに合わせて変形します(履きグセ・型崩れ)。とくに踵が片減りした靴を走り方の違う子が履くと、足がまっすぐ乗らず、変な踏ん張り方のクセがつくことも。サイズだけでなく、踵とサイドの状態も必ず確認しましょう。
お下がりをもらうとき、どこを見ればいいですか?
受け取る前に3か所を30秒でチェックしてください。①靴底のスタッド(突起・凹凸)の角が丸くなっていないか、②踵の内側のクッションが片側だけ沈んでいないか・つぶれていないか、③甲とサイドが伸びきってゆるくなっていないか。この3つが全部クリアなら戦力になります。ひとつでも引っかかったら新品を検討しましょう。
幅広・甲高の子に、細めのお下がりを履かせるのはどうですか?
おすすめできません。足型(幅・甲の高さ)が違うと、同じサイズでも横がきつくて痛みや靴ずれの原因になります。無理に履かせると足の成長にも影響しかねません。幅広・甲高の子には、最初からワイド設計の一足を選ぶほうが快適で、結果的に長く気持ちよく使えます。
お下がりから新品に替えるサインはありますか?
次のどれかが出たら替えどきです。つま先の余りが5mm未満になった/子どもが『かかとが痛い』『脱ぎたい』と言い出した/靴底のスタッドが丸くすり減った/踵やサイドが片減り・型崩れしてきた。成長期は半年で0.5cmほど伸びることもあるので、半年に1回はサイズと状態を見直してください。とくに試合が増える中〜高学年は専用の一足が安心です。
もったいなさで迷う時間より、踵と靴底をチェックする30秒。手元のお下がりが使えるか不安な方も、学年・足型・予算からピッタリの新品を比べたい方も、比較ページが近道です。
予算の賢い使い方は 安いサッカースパイクは大丈夫? で、選び方の全体像は サッカースパイクの選び方 で解説しています。
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。
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