少年サッカーチームに入ると、よく聞くのが「保護者の当番」。「当番って、具体的に何をするの?」「仕事や下の子がいて、できるか不安…」——入団前や入団直後の親が、いちばん気になるところですよね。この記事では、少年サッカーの現場を見てきた現役コーチの視点から、当番の一般的な内容と、負担を減らす現実的なコツを、あわてず準備できるようにお伝えします。
当番の中身はチームによって様々ですが、多くは①車出し・送迎 ②お茶・氷などの準備 ③審判の補助や見守り ④会場の設営・片付けあたり。「できない日は正直に伝える」「得意なことで貢献する」で、無理なく回せます。まずは自分のチームの当番表を確認しましょう。
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。保護者の当番は、チームによって内容も負担感も大きく違います。大事なのは「全部完璧にこなす」ことではなく、無理なく続けられる関わり方を見つけること。順番に見ていきましょう。
01そもそも「当番」って何をするの?
少年サッカーの「当番」とは、練習や試合の日に、保護者が交代で担当するお手伝いのこと。子どもたちが安全に、スムーズに活動できるよう、大人がサポートする役割です。
ボランティアで運営されているチームが多く、コーチだけでは手が回らない部分を保護者が支えている——というのが実情です。だからこそ「お互いさま」で成り立っています。とはいえ、負担が偏ると続かないので、仕組みで公平にすることが大切です。
02当番の一般的な内容(チーム差あり)
内容はチームによってかなり違いますが、よくあるのは次のようなものです。
- 車出し・送迎:試合会場までの送り迎え。遠征時はとくに重要。
- 飲み物・氷の準備:麦茶を作る、夏場は氷やスポーツドリンクを用意する。
- 審判の補助・見守り:低学年の試合で線審を手伝う、子どもの安全を見守る。
- 会場の設営・片付け:ゴールやコーンの運搬、ビブスの洗濯など。
- 救護・体調管理:ケガの応急手当、熱中症への気配り。
低学年の線審(旗を上げる役)を頼まれることがありますが、多くは「ボールがラインを出たら旗を上げる」程度からのスタート。いきなり主審を任されることはまずありません。ルールに自信がなくても、オフサイドの基本だけ知っておけば、気持ちがぐっとラクになります。
035つの役割を1つずつ具体的に
「何をするか」がぼんやりしているから不安になります。1つずつ、実際の中身を書きます。
● 受付・本部大会の日に、本部テントで出欠の確認、メンバー表の提出、対戦表の受け取りをします。拘束時間は長いけれど、体力は使いません。下の子を連れて行きやすい役割でもあります。求められるのは丁寧さだけで、サッカーの知識はゼロで大丈夫です。
● 審判補助(線審)低学年の試合で、旗を持ってタッチラインの外を歩きます。やることは「ボールが完全にラインを出たら旗を上げる」だけ。オフサイドの判定は求められないことがほとんどです。試合1本あたり15〜20分、その間は立ちっぱなしになります。
● 給水・お茶当番麦茶を作って持参する、氷や冷えたスポーツドリンクを用意する、ハーフタイムに配る。夏場はいちばん重要な役割です。準備が家でできる分、当日の負担は軽め。前日に麦茶を作って凍らせておくのが定番です。
● 救護擦り傷の手当て、熱中症の兆候の見守り、体調が悪い子への対応。専門知識は不要で、「気づいて大人を呼ぶ」ことが役割です。ただし応急手当の範囲を超える判断はしません。頭を打った・強くひねった・意識がはっきりしないといったときは、自己判断せず必ずコーチと保護者に引き継ぎ、医療機関の受診につなげます。
● 車出しいちばん負担感が大きい役割です。自分の子以外を乗せるので、責任も伴います。チャイルドシートの要否、任意保険の内容、ガソリン代の分担ルール——このあたりを事前に確認しておくと安心です。乗せられる人数は正直に申告してください。無理をして詰めるのがいちばん危険です。
04初めての当番の日・時間ごとの流れ
初回でいちばん不安なのは「何時に行けばいいか」「行って何をすればいいか」。典型的な試合日の流れはこうなります。
- 集合の30分前に到着。当番はチームの集合時刻より早めが基本です。分からなければ「何時に行けばいいですか」と前日に聞いておく。これが一番確実です。
- 到着したら、先に来ている当番の人に「今日はじめてです」と伝える。ここで言っておくと、全部教えてもらえます。黙って立っているのがいちばんつらいです。
- 荷物・給水の運搬、テント設営を手伝う。指示があるまで動かず、聞いてから動くほうが邪魔になりません。
- 試合中は、給水の準備と子どもの見守り。基本は待機時間です。座って見ていて問題ありません。
- ハーフタイム・試合間に給水を配る。ここがいちばん動く時間帯。
- 最後に片付けと、忘れ物チェック。ここまでが当番です。
初回で一番よくある失敗が、「気を使って動きすぎて疲れ果てる」こと。1日目から全部やる必要はありません。「今日は見て覚えます」でまったく問題ない——これは受け入れ側の本音です。
05当番の日に持っていくもの
あると格段にラクになるものだけ挙げます。
- 折りたたみイス:待機時間が長いので、これがあるかないかで疲労が全然違います。
- 帽子・日焼け止め・サングラス:グラウンドに日陰はほぼありません。
- 自分用の飲み物(多め):子ども用の給水に手をつけないためにも必須。
- ゴミ袋(大小):濡れたビブス、ゴミ、汚れた物を入れる。いちばん重宝します。
- タオル数枚:汗、水こぼし、擦り傷、全部これで対応します。
- 絆創膏・保冷剤:救護担当でなくても持っていると感謝されます。
- 雨具(カッパ):傘が使えない会場が多いです。
- 小銭:駐車場・自販機用。
冬場は使い捨てカイロと防寒を甘く見ないでください。グラウンドの寒さは想像の倍です。逆に夏場は、保冷バッグに凍らせたペットボトルを入れておくと、給水にも自分の体を冷やすのにも使えます。
06負担を減らす3つのコツ
当番がしんどくなる原因は、たいてい「負担の偏り」と「抱え込み」。次の3つで、ずいぶんラクになります。
① 当番表で「見える化」する誰がいつ担当したかが曖昧だと、気づけばいつも同じ家庭が負担しがち。LINEグループやスプレッドシートで当番表を共有し、回数が公平か見えるようにするだけで、不公平感は減ります。
② できる範囲を最初に伝える「平日は無理」「車は出せるが当番は月1まで」など、自分のできる範囲を早めに伝えておくこと。抱え込んでから限界が来るより、最初に線を引くほうが長く協力できます。
③ 得意なことで貢献する運転が得意な人、事務作業が得意な人、当日の見守りが得意な人——。全員が同じことをやる必要はありません。得意で貢献し合えば、一人あたりの負担が軽くなります。
送迎・車出しの負担については、送り迎えが大変なときの工夫でくわしく解説しています。
07共働き家庭の現実的な回し方
共働き家庭の親御さんから、いちばん多く聞かれるのがここです。実際に回っている家庭がやっていることを挙げます。
- 年度のはじめに、出られない日をまとめて出す。都度断るより、最初に1年分まとめて共有するほうが角が立ちません。当番表を作る側もそのほうが助かります。
- 「現地には行けないが、準備は家でやる」に振り替える。麦茶を作る、ビブスを洗う、名簿を作る——持ち帰り作業に置き換えられる役割は意外と多いです。
- 年に1〜2回、丸一日出る日を作る。毎回30分ずつ顔を出すより、まとまって1日入るほうが評価されるし、本人もラクです。
- 祖父母・パートナーで枠を分ける。「当番=母親」という固定観念が負担を作っています。名前を分けて登録できるチームも多いです。
- 下の子を連れて行く。禁止されているチームは少数です。事前に一言確認すればほぼOKが出ます。
実際、あるチームで共働き家庭が全体の6割という学年がありました。そこは「現地当番」と「持ち帰り当番」を最初から2種類に分けて、家庭ごとに選べるようにしていました。不公平の不満が出ず、退団も出なかった。仕組みで解けます。
08できない時の、角が立たない伝え方
仕事や下の子の都合で、どうしても当番ができない日もあります。そんなときは、我慢して抱え込まず、正直に、でも感じよく伝えるのがコツ。
✕「無理です」だけ
◯「その日は仕事で難しいのですが、翌週なら代われます」
「できない」だけでなく「代わりにできること」を添えると、角が立たず、お互いさまの空気が保てます。
大切なのは、引き受けられないことに罪悪感を持ちすぎないこと。あなたが無理して倒れるより、できる範囲で長く協力するほうが、チームにとってもプラスです。
09代わってもらうときの頼み方
断るより難しいのが、すでに割り当てられた日を代わってもらうときです。ここには順番があります。
- ①気づいた時点ですぐ言う。前日に言われるのと2週間前に言われるのでは、受ける側の負担がまったく違います。早さが最大の誠意です。
- ②全体連絡より先に、個別で当たる。グループLINEに「誰か代われませんか」と投げるのは、全員に断りづらさを配ることになります。まず1〜2人に個別で聞く。
- ③代わりの日をこちらから提示する。「◯日と△日なら代われます」と先に出す。交換になれば、頼まれた側は損をしません。
- ④終わったあとに一言お礼を返す。ここを飛ばす人が多い。次に頼めるかどうかは、ほぼこれで決まります。
やってはいけないのが、「代わってもらったことを黙っている」こと。当番表の管理者には必ず伝えてください。記録が合わなくなると、後から「あの人はやっていない」という話になります。揉め事の火種のほとんどが、記録の食い違いです。
10当番が少ないチームの見分け方
入団前に確認できれば、あとで悩まずに済みます。見学や説明会で見るポイントはここです。
- 月謝が相場より高いチームは、当番が少ない傾向。人件費や外部審判に費用をかけている分、保護者の手間が減ります。逆に月謝が安いチームは、その差を保護者の労働が埋めています。
- クラブチーム(スクール型)か、少年団(地域型)か。一般的にクラブチームのほうが当番は少なめ。少年団は保護者運営が前提のことが多いです。
- グラウンドが専用か、借用か。借用だと毎回の設営・撤収が発生します。専用グラウンドがあるチームは当日の作業が少ないです。
- コーチが有償か、ボランティアか。ボランティアコーチのチームは、その分保護者の手が必要になります。
見学で聞くべき質問は、この2つで十分です。「当番は月に何回くらいですか」「当日は何時から何時までですか」。回数と時間、この2つの数字を必ず出してもらってください。「みなさん協力的でやりやすいですよ」といった答え方しか返ってこないときは、実態が重い可能性があります。
11揉めやすいポイントと避け方
長く見てきて、当番でこじれるのはだいたい同じ3か所です。
① 回数の不公平——「あの家はいつも来ない」。記録がないと必ず起きます
② お金の曖昧さ——ガソリン代、駐車場代、備品代の立て替えが精算されない
③ やり方の押しつけ——「前からこうしてる」で新しい人が萎縮する
避け方も、それぞれ決まっています。
①には記録。誰がいつ入ったかを1枚の表にする。それだけで感情論が消えます。「見える化は、不満が出る前にやる」のがポイントです。出てからだと、犯人探しの空気になります。
②にはルールの先出し。ガソリン代を出すのか出さないのか、1回いくらか、誰が集めるか。金額の話は最初に決めておけば揉めません。走り出してから決めるのがいちばん危険です。
③には引き継ぎメモ。当番の手順を1枚にまとめて共有する。口伝えだと「知らない人が悪い」になりますが、紙があれば誰も責められません。新しく入った家庭がいちばん助かるのがこれです。
そしてもう1つ。当番の場で子どもの出場時間やコーチの采配の話をしないこと。ここが混ざると、当番の人間関係とチームの評価が絡んで、収拾がつかなくなります。当番の時間は、当番の話だけ。これが長く続けるための一番の防波堤です。
「初回に『今日はじめてです』と言っただけで、全部教えてもらえて気がラクになった」
「折りたたみイスを持っていくようにしてから、当番の日の疲れ方が全然違う」
「年度はじめに出られない日をまとめて出したら、断る気まずさがなくなった」
「見学のときに『当番は月何回ですか』と数字で聞いておいてよかった」
12よくある質問
共働きで平日の当番ができません。入団は難しいですか?
多くのチームは、共働き家庭の事情を理解しています。入団前に「平日は難しいが、土日ならできる」など、できる範囲を正直に相談してみてください。当番の負担はチームによって大きく違うので、見学や説明会のときに『当番はどのくらいの頻度・内容ですか?』と確認しておくと安心です。無理のない範囲で協力する姿勢が伝われば、多くの場合問題ありません。
審判(線審)を頼まれるのが不安です。
低学年の線審は、多くが「ボールがラインを完全に出たら旗を上げる」程度からのスタートで、いきなり主審を任されることはまずありません。ルールに不安があっても、オフサイドの基本だけ知っておけば十分対応できます。分からないときは近くのコーチや保護者に聞けば大丈夫。回を重ねれば自然と慣れていきます。
当番の負担が一部の家庭に偏っています。どうすれば?
まずは当番表を作って「見える化」するのがおすすめです。誰がいつ担当したかが分かれば、偏りが可視化され、自然と公平になっていきます。個人で改善しづらい場合は、保護者会やコーチに『負担を公平にする仕組みを作りませんか』と相談を。特定の人が抱え込む状態は、その家庭が離脱する原因にもなるため、チーム全体の課題として扱うのが健全です。
当番をきっかけに、親同士の付き合いが負担です。
無理に深く付き合う必要はありません。当番は「役割を果たす」ことが目的で、仲良くすることが義務ではないと割り切って大丈夫です。あいさつと必要な連絡だけ丁寧にしていれば、それで十分。子ども同士の関係と、親同士の関係は別と考え、自分のペースを保つのが長く続けるコツです。
当番や送迎でヘトヘトな日も、家で子どもと5分ボールにさわると、いい気分転換になります → 親子でできるおうちサッカー練習・ボールタッチ5選
親の関わり方全般については、こちらもどうぞ → 少年サッカー 親がやってはいけないこと7つ
試合で力を出せるかどうかは、気持ちだけでなく「判断」にも左右されます。
→ 試合で判断が速い子は何を見ているか
当番の中でも会計係を任されそうな方は、チームの会計係になったら|仕事内容と負担を減らすコツで具体的な仕事内容と負担を減らす工夫を確認しておくと安心です。
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
育成年代の指導3年目、延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断・認知・立ち位置を軸に「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。
用品・ルール・練習の記事は、公開前に監修コーチが内容を確認し、事実に関わる記述は一次情報にあたって整理しています。監修者について →


