真夏の8時30分キックオフ。前半の途中で笛が鳴って、選手たちがベンチにわらわらと戻ってくる——。「え、なにか起きた? 交代?」と身を乗り出したら、みんな水筒を飲んでいるだけ。そのとき、フェンス際で「水筒、渡しに行ったほうがいいのかな」と迷ったまま動けなかった親、たぶんあなただけじゃありません。この時間には給水タイム/クーリングブレイクという名前があって、決まりごともちゃんとあります。この記事を読み終えるころには、2つの違い・何分間か・コーチの指示はOKか・親は近づいていいのかまで、迷わず判断できるようになります。
暑い日に試合を止めて水を飲む時間には2種類あります。飲水タイム=おおむね1〜2分・その場で飲むだけ。クーリングブレイク=おおむね3分程度・日陰に戻って体を冷やす。指示を出していいのはコーチだけで、保護者がピッチやベンチに入るのは基本NGです。水筒は試合前にベンチへ預けておくのが正解。暑さ対策全体は → 夏の暑さ対策を先に押さえる
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。夏場のグラウンドで毎年感じるのは、この2〜3分をうまく使えるチームと、そうでないチームの差です。ベンチに戻ってきた8人のうち、2人は水筒が見つからずウロウロ、1人はキャップが固くて開けられない。飲み終わるころには笛が鳴る。それだと、せっかくの休憩が半分しか機能しません。水筒の置き場所を決めているだけで、飲む時間が倍近く変わる——たったそれだけのことです。準備は親にもできます。
01飲水タイムとクーリングブレイクの違い
同じように見えて、この2つは目的が違います。ここを知っておくと、当日ベンチの動きを見ているだけで「今はどっちだ」が分かります。
飲水タイムは、水分をとることだけが目的の短い中断です。選手はその場、またはタッチライン際まで下がって水を飲み、すぐ再開。時間はおおむね1〜2分ほど。試合の流れが切れたところ(ボールがラインを割ったときなど)で審判が笛で知らせます。
クーリングブレイクは、体を冷やすことまで含めた休憩です。選手はベンチや日陰まで戻り、水を飲みながら、冷たいタオルで首や脇を冷やしたりします。時間はおおむね3分程度が目安。飲水タイムより長く、しっかり体温を下げるための時間です。
- 飲水タイム:1〜2分・その場で飲む・流れを切りすぎない
- クーリングブレイク:3分程度・日陰に戻る・体を冷やす
- どちらも審判の判断で入る(大会の運営が事前に決めていることも多い)
- 名前や運用は大会・地域によって違うので、要項の確認を
低学年の子で、水を飲むのが「弱いこと」だと思っている子がときどきいます。上の学年の真似をして「オレいらない」と言う。これは危ないので、家で一度、はっきり伝えておいてください。のどが渇いたと感じる前に飲むのが正しい。休憩で水を飲むのはサボりではなく、後半に走りきるための準備です。ここは大人が言葉にしないと、子どもには伝わりません。
02何分間?どのタイミングで入る?
少年サッカーでは、前半・後半それぞれの半ばあたりで入るのが一般的です。8人制で15分ハーフなら、7〜8分経過したあたり。ボールが外に出たタイミングなど、プレーが切れたところを見て審判が笛を吹きます。
時間の目安は、飲水タイムなら1〜2分、クーリングブレイクなら3分程度。この間の時間は、原則として試合時間には含めない(止めた分だけ足す)運用が多いですが、少年の大会では会場の進行を優先して、あらかじめ決められた時間で切ることもあります。
判断のもとになるのが暑さ指数(WBGT)という数字です。気温だけでなく湿度や日差しを合わせて算出するもので、これが一定の値を超えると「給水を必ず入れる」「試合を中止する」といった運用に切り替わります。大会本部が現地で測っていることも多く、「今日は何度だから2回入れます」という朝のアナウンスを聞いたことがある人もいるはずです。
03その間、コーチは指示を出していいのか
親御さんからよく聞かれるのがこれ。「あの時間って、作戦を伝えていいんですか?」。
結論、クーリングブレイクではコーチが選手に話をするのが一般的です。選手がベンチまで戻ってくるので、そこで水を飲みながら話を聞く。実際、多くのチームがここで修正を入れます。一方飲水タイムは時間が短く、ベンチまで戻らないこともあるため、細かい戦術の話には向きません。大会によっては「飲水タイム中の指示は行わない」と運営が明示していることもあります。
ただ、監修コーチのチームで大事にしているのは「詰め込まないこと」です。3分あるからと5個も6個も伝えると、小学生は全部忘れます。伝えるのは1個か2個。しかも、その1個目は必ず「よく走ってる」といったできていることの確認から入る。頭を冷やす時間に、責める言葉を浴びせても入っていきません。
フェンス越しに「右! 上がれ!」と大きな声が飛ぶことがあります。気持ちはよく分かります。でも、子どもがいちばん混乱するのは、コーチと親から違うことを言われたときです。誰の言うことを聞けばいいのか分からなくなって、判断が止まる。応援の声は最高の力になりますが、プレーの指示だけはコーチに預けてください。声かけの線引きは 応援マナー にまとめています。
04親が水筒を渡しに行っていい?現場のルール
これが、この記事でいちばん多い質問です。答えは「基本的に行かない。事前にベンチへ預けておく」。
理由は3つあります。まず、ピッチとベンチ周辺は、原則として選手とスタッフのエリアだということ。試合中に保護者が入ると、審判や運営から注意されることがあります。次に、全員分の水筒が最初からベンチにあるほうが早いこと。1〜2分しかないのに、親を探して受け取っていたら飲む時間がなくなります。そして3つ目、親が来ると子どもは親を見る。せっかくコーチの話を聞く時間なのに、意識がそっちに向いてしまいます。
① 集合時に水筒をベンチの決まった場所へ(チームのかごがあればそこ)
② 予備の1本(凍らせたもの)を保冷バッグで親が保管、ハーフタイムに補充
③ 名前は本体の側面に大きく(同じ水筒が並ぶので)
④ 冷たいタオルはチームで用意しているか事前に確認
どうしても渡す必要があるときは、ハーフタイムにコーチかスタッフに手渡すのがマナーです。
なお、凍らせすぎた水筒は飲めません。カチカチだと1〜2分では溶けず、結局のどが渇いたまま後半に入ることになります。半分だけ凍らせて、残りを冷水で満たすのが定番の方法です。水筒そのものの選び方は 水筒の選び方 にくわしく書いています。
051〜2分で飲みきるための家庭の準備
短い時間を有効に使えるかどうかは、実は家を出る前に半分決まっています。
- キャップは子どもが自分で開けられるものに(ワンタッチ式が速い)
- 容量は夏で1L以上を目安に、足りなければ予備を1本
- 2本体制にして、1本は飲む用・1本は頭や首にかける用にするチームもある
- 中身は水か麦茶が基本。汗をたくさんかく日は薄めたスポーツドリンクも選択肢
- 前の晩と朝ごはんのときにコップ1杯飲ませておく
とくに効くのが最後の1つです。試合会場に着いてから飲み始めるのでは、すでに遅い。朝の食卓で1杯飲んでいるかどうかで、前半の動きが変わる子は確かにいます。
糖分の多いジュースや炭酸だけを持たせると、飲みたがるわりに水分の補給としては効率が落ちることがあります。ベースは水か麦茶。汗の量が多い日にスポーツドリンクを薄めて足す、という組み立てが扱いやすいです。ただし体質や体調は個人差が大きい部分なので、持病がある・体調に不安があるお子さんは、かかりつけの先生に相談してから決めてください。
06止まらない試合もある|暑さ指数と中止の判断
ここは正直にお伝えしておきます。すべての大会でクーリングブレイクが入るわけではありません。会場の進行が詰まっていたり、運営の判断が違ったりで、飲水タイムだけ、あるいは入らないこともあります。
そういうときに親ができるのは、子どもの様子を見ることです。顔が真っ赤なのに汗が引いている、足取りがふらつく、いつもと明らかに反応が違う——こうしたサインがあれば、遠慮なくチームのスタッフに声をかけてください。「うちの子、様子がおかしい気がします」の一言で十分です。判断はコーチと大人がします。
熱中症は医療の領域なので、この記事で断定的なことは書きません。ただ一つだけ。「大げさかも」と思って言わなかったことのほうが、あとで後悔が大きい。これは現場でずっと言われていることです。異変を感じたら、涼しい場所へ移して、必要なら医療機関へ。判断に迷ったら受診が原則です。
「水筒がカチカチに凍っていて、給水タイムに全然飲めてなかった。半分だけ凍らせるようにしてから解決しました」
「渡しに行こうか毎回迷ってたけど、最初からベンチに置いておけばいいと知って気が楽になりました」
「同じ水筒が10本近く並ぶので、側面に大きく名前を書いたら取り違えがなくなった」
「『飲むのはサボりじゃない』と家で言ってから、自分から飲みに行くようになりました」
つまり、親の仕事は試合中に動くことではなく、試合前に準備しておくこと。ここに尽きます。
よくある質問
飲水タイムとクーリングブレイクは何が違うのですか?
目的と長さが違います。飲水タイムは水分をとることが目的の短い中断で、おおむね1〜2分。その場やタッチライン際で飲んですぐ再開します。クーリングブレイクは体を冷やすことまで含めた休憩で、おおむね3分程度。選手はベンチや日陰に戻り、水を飲みながら首などを冷やします。運用は大会や地域によって異なります。
クーリングブレイクは何分間ですか?
おおむね3分程度が目安です。飲水タイムは1〜2分ほど。少年サッカーでは前半・後半それぞれの半ばあたり、プレーが切れたタイミングで審判が笛を吹いて入ります。暑さ指数(WBGT)などをもとに大会本部が回数や有無を決めていることも多いので、当日のアナウンスを確認してください。
その時間にコーチが指示を出してもいいのですか?
クーリングブレイクではベンチに戻るため、コーチが話をするのが一般的です。飲水タイムは短いため戦術の話には向かず、大会によっては指示を行わないと明示されていることもあります。いずれにせよ小学生に伝えられるのは1〜2個まで。詰め込むと全部忘れます。
親が子どもに水筒を渡しに行ってもいいですか?
基本的には行かず、試合前にベンチの決まった場所へ預けておくのが正解です。ピッチやベンチ周辺は選手とスタッフのエリアで、保護者が入ると注意されることがあります。時間も短いので、最初から置いてあるほうが確実。どうしても必要なときはハーフタイムにスタッフへ手渡してください。
水筒は凍らせて持たせたほうがいいですか?
全部を凍らせると1〜2分では溶けず、飲めなくなります。半分だけ凍らせて残りを冷水で満たす方法が定番です。夏は1L以上を目安に、予備を1本保冷バッグで親が持っておくと安心。中身は水か麦茶を基本に、汗の多い日は薄めたスポーツドリンクを足す組み立てが扱いやすいです。
暑い日は、体力の消耗が足元にもろに出ます。サイズの合わないシューズだと、疲れた後半に足が中で滑って、まめや痛みにつながることも。夏こそ足に合った1足を → 比較ランキングで学年・足型からピッタリのシューズを選ぶ 夏の準備全体は 夏の暑さ対策 にまとめています。
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。
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