「ドリブルが上手くなってほしいけど、家で何をさせればいい?」——未経験の親ほど、練習の中身に迷いますよね。実は、ドリブルの土台は広い場所やコーチがいなくても、家や公園で十分育てられます。この記事では、少年サッカーの現場に立つ現役コーチが、親子でできるドリブル練習と、上達のコツをやさしく解説します。
ドリブル上達のカギは①ボールに何度もさわる(タッチ数)②いろんな足の場所で扱う ③顔を上げるの3つ。派手なフェイントより、まずは「思い通りにボールを運べる」感覚が土台。1回5分、狭い場所でOKです。
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。ドリブルは「才能」ではなく、ボールにさわった回数で伸びる技術。だからこそ、家での5分が効いてきます。難しいことは要りません。順番に見ていきましょう。
01ドリブルが上手くなる3つの土台
派手な抜き技の前に、まず育てたいのは次の3つです。
- タッチ数(ボールにさわる回数):ドリブルは、こまかくボールにさわれるほど自在に運べます。まずは「たくさんさわる」こと。
- いろんな足の場所で扱う:足の内側・外側・裏(足裏)。片足だけでなく両足で。使える面が増えるほど、ボールを守れます。
- 顔を上げる:足元ばかり見ずに前を見られると、相手やスペースが見えて、実戦で活きます。
この3つは、狭い場所でもコーチなしでも育てられます。だから家練習と相性がいいのです。
もう少し噛み砕きます。試合中、ひとりの子がボールにさわっている時間は、8人制でもせいぜい1〜2分です。90分の練習でも、自分のボールに触れているのは数分ということが普通にあります。つまりチーム練習だけではタッチ数が絶対に足りない。家の5分は、その足りない分を埋める時間です。逆に言えば、家でやることは複雑でなくていい。同じ動きを繰り返してさわる回数を稼ぐ、それだけで効果が出ます。
02家でできるドリブル練習メニュー
広い庭がなくても大丈夫。1〜2畳のスペースがあればできるものを選びました。
① 足裏ロール:足の裏でボールを前後・左右にコロコロ転がす(両足で)
② インアウトタッチ:足の内側→外側で、その場で細かくタッチ
③ ジグザグ運び:ペットボトルや靴を2〜3個置き、間をぬってゆっくり運ぶ
どれも「速く」より「ていねいに・たくさんさわる」を意識。
最初はゆっくりで構いません。スピードは、正しくさわれるようになってから自然についてきます。焦らず、毎日の5分を積み重ねましょう。室内でやるときは、音の出にくいやわらかいボールを選ぶと安心です。
03狭くてもできるドリブルメニュー6つ
上の3つに慣れたら、こちらへ。全部、畳2枚ぶんのスペースで成立します。コーンも相手も要りません。ペットボトル、スリッパ、丸めたタオルで代用してください。
01足裏ロール(前後・左右)
足の裏をボールの上に乗せ、前に転がして戻す、を繰り返す。20回いったら左右方向にも転がす。ボールは体の前、足1本ぶんの範囲から出さない。
02インアウトタッチ(片足)
右足だけを使い、内側でボールを右へ、外側で左へ、その場で細かく往復させる。同じことを左足でもやる。足を地面につけている時間を短く。
03Vターン(引いて押す)
足裏でボールを手前に引き、そのまま同じ足の内側で斜め前に押し出す。引く→押すでVの字を描く。引いた瞬間に一度止まるのが正解。
04ジグザグ運び(物3個)
ペットボトルなどを3歩ずつ離して3つ置き、間をジグザグに運ぶ。行きは右足だけ、帰りは左足だけ。触る回数を数えながら進む。
051畳ドリブル(枠から出ない)
ジョイントマット1枚ぶん、または新聞紙を広げた程度の四角を決め、その中だけでボールを動かし続ける。使う面は自由。枠から出たらそこで1セット終了。
06信号ドリブル(親が声だけかける)
子どもがその場でボールを触り続け、親が「ストップ」「右」「左」と声だけかける。子どもは言われた方向にボールを動かす。親は座ったままでいい。
もっと本格的なコーン練習に進みたいときはコーンドリブルのやり方、苦手な足を鍛えたいときは逆足の練習方法もどうぞ。
04家の中と外|どっちで何をやるかの使い分け
同じ「家練習」でも、室内と屋外ではやることが違います。ここを分けておくと、雨の日に「今日はできない」がなくなります。
● 室内でやること:足裏ロール、インアウトタッチ、Vターン、1畳ドリブル。ボールを地面から浮かせない・蹴らないメニューだけ。転がすのではなく「押す」感覚のものが室内向きです。
● 屋外でやること:ジグザグ運び、スピードを上げた運び、顔を上げて走りながらのドリブル。移動距離のあるものは外に回します。公園でやる場合の場所の選び方は公園でできる練習にまとめています。
この2つを紙に書いて分けておくだけで、天気に関係なく毎日メニューが決まります。雨の日にまとめてやりたいときは雨の日OK!室内サッカー練習5選も使ってください。
05音と床のキズが気になる家庭のやり方
家練習でいちばん多い相談が、これです。マンションの下の階、フローリングのキズ、家具。気になって止めてしまう家庭は本当に多い。でも、条件を整えれば室内は成立します。
- ジョイントマットを2〜4枚敷く:音と床の両方が一気に解決します。1畳ドリブルの「枠」にもなって一石二鳥。
- ボールをやわらかいものに替える:室内用のスポンジ系や小さめのトレーニングボールなら、当たっても音が響きません。
- ボールを浮かせない:室内でリフティングをさせないだけで、事故の大半は消えます。
- やる時間を決める:夜20時以降はやらない、と決めておく。近所への配慮は、続けるための条件です。
やりがちなのが、試合用の4号球をそのままリビングで転がすこと。硬い上に重いので、壁の巾木や家具の脚に当たると一発で傷が付きます。うちのチームでも「家でやったら怒られた」と言って自主練をやめてしまった子が何人もいました。止めたのは親ではなく、道具のミスマッチです。やわらかいボールとマットに替えたら、そのまま続いた子がほとんどでした。
道具を一式そろえたい場合は家練習の道具セットに、必要なものだけまとめてあります。
06続かない子は「5分×週4」で設計する
家練習が途切れる理由は、やる気ではなく設計です。毎日30分と決めた家庭ほど早く止まります。おすすめは5分×週4。
なぜ週4かというと、週3日は「やらなくていい日」を最初から作るためです。毎日と決めると、できなかった1日で「もう途切れた」となり、そこで終わります。最初から3日休みがあれば、途切れようがありません。
5分の中身は固定します。①足裏ロール1分 ②インアウトタッチ2分 ③1畳ドリブル30秒×2 ④好きなことを1分。毎回同じ順番にするのがコツで、順番が決まっていると子どもは考えずに始められます。「今日は何やろう」と迷う数十秒が、いちばんやる気を削ります。
うちの学年で、いちばん自主練が続いている子の家は、紙に5分メニューを書いて洗面所の鏡に貼っているだけでした。歯みがきの前にやる、と決めている。半年で約100日ぶん。週2回のチーム練習だけの子と比べると、ボールに触った日数が倍以上違います。この差が、4年生から5年生にかけてはっきり出てきます。
カレンダーに丸をつけるだけで十分です。5分でも丸、20分でも丸。うまくなったかは目に見えませんが、日数は目に見える。月末に「今月14日できたね」と数えてあげると、子どもは驚くほど続きます。うまさの評価は、コーチに任せてください。
07低学年と高学年でメニューはこう変える
同じメニューを学年で分けずにやらせると、低学年は飽き、高学年は物足りなくなります。変えるポイントは3つだけです。
● 低学年(1〜3年生):時間より回数、質より楽しさ。1メニュー30秒〜1分で切り替えます。数を数えながらやるのが有効で、「10回できたら次」とすると集中が保ちます。フェイントは教えなくていい。足裏ロールとインアウトタッチだけで十分です。集中が続く目安は年齢×2〜3分なので、2年生なら全体で5〜6分が上限だと考えてください。
● 中学年(3〜4年生):両足を同じ回数にします。この時期に苦手な足を放置すると、高学年で相手に体を寄せられたときにボールを失う原因になります。Vターンなど「方向を変える」動きを入れ始めるのもこの学年から。
● 高学年(5〜6年生):顔を上げる条件を足す。同じジグザグ運びでも、親が指の本数を出す・声で方向を指示する、といった条件を加えるだけで難度が上がります。ここまで来たら、顔を上げるドリブルやフェイントの技に進んでいい段階です。
08「顔を上げる」を育てる遊び
ドリブルで意外と大事なのが「顔を上げる」こと。足元だけ見ていると、実戦で相手にぶつかったり、パスコースを見逃したりします。これは遊びで楽しく育てられます。
子どもがドリブルしている間、親が指を何本か立てて「何本?」と聞く。ボールを見ずに答えるには、顔を上げるしかありません。ゲーム感覚で、自然と前を見る習慣がつきます。
この遊びのいいところは、親が正解を知っている側にいられることです。サッカー未経験でも、指を出して数を聞くだけなら誰でもできる。技術を教える必要がないので、親子で険悪になりません。慣れてきたら、指ではなく「グー・パー」にして、パーのときだけボールを止める、といったルールに変えると難度が上がります。
09「コーンに当てない」が目的になると失敗する
ここは、家練習でいちばん多い落とし穴です。ジグザグ運びをやらせると、子どもはすぐ「物に当てないこと」をゴールにします。当てないために何をするかというと、ボールを大きく蹴り出して外側を大回りする。結果、触る回数が減って、ドリブルは下手になります。
実際にありました。家でペットボトル5本のジグザグを毎日やっていた子が、試合になると必ずボールを大きく前に蹴り出してしまう。家での動きを見せてもらったら、当てないことだけを気にして、1本あたり2〜3回しか触っていませんでした。コースはきれいなのに、ボールが体から離れている。
この2つをやると、ほぼ確実に「当てない・速く」に寄ります。OKは、触った回数を数えること。「今の何回さわった?」と聞くだけでいい。同じ距離で回数が増えていれば、それが上達です。物に当たっても構いません。当たるのは、ボールを体の近くに置いている証拠のことすらあります。
数える基準がほしい場合は、3歩間隔で3個なら1本あたり8回以上さわれていれば合格にしてください。慣れてきたら「10回」に上げる。この数字を目標にするだけで、子どもの触り方が変わります。
10親が気をつけたいこと
家練習を長続きさせるコツは、「教えすぎない」こと。
● 上手さより「楽しさ」を優先 細かくダメ出しすると、子どもはボールを触るのが嫌になります。「今のいいね!」「上手にさわれてるね」と、できたところを認めるのが基本です。
● 短く、毎日 1回30分より、1回5分を毎日のほうが伸びます。飽きる前にやめる、くらいがちょうどいい距離感です。
● 親も一緒に楽しむ 「教える人」ではなく「一緒にやる人」に。親が楽しそうにしていると、子どももボールが好きになります。
もうひとつ足すなら、見すぎないことです。ずっと横で見られていると、失敗できなくなる子がいます。失敗できない場所では、苦手な足に手が出ません。家練習の最大の価値は「誰にも見られずに下手なことを試せる」点にあるので、最後の1分だけ見に行くくらいがちょうどいい距離です。
ドリブルの前段階の「ボールに慣れる」タッチ練習は、こちらもあわせてどうぞ → 親子でできるおうちサッカー練習・ボールタッチ5選
11現場の声|家でドリブルを続けた家庭のリアル
「ジョイントマットを敷いたら音を気にしなくなって、毎晩5分だけやるようになりました」
「タイムを計るのをやめて『何回さわった?』に変えたら、ボールが足から離れなくなった」
「苦手な左足だけの日を作ったところ、半年で試合中に左で運べる場面が出てきました」
「洗面所の鏡にメニューを貼っただけ。歯みがき前の習慣になって、言わなくてもやります」
道具はほとんど要りません。ボール1個と、足に合った靴だけ。ただし、サイズの合っていない靴で家練習を続けると、靴ずれや足の痛みにつながります。室内は裸足か室内シューズで構いませんが、屋外でやるならサイズは定期的に見てあげてください。痛みが続く場合は無理をせず、整形外科の受診を(症状の出方には個人差があります)。
12よくある質問
ドリブルは何歳から練習させればいいですか?
ボールを蹴って遊べる年齢なら、何歳からでもOKです。低学年・幼児のうちは「練習」と気負わず、ボールで一緒に遊ぶ感覚で十分。足裏でコロコロ転がす、追いかける——それだけでドリブルの土台になります。大切なのは上手さより、ボールにさわる楽しさを感じることです。
フェイントや抜き技を教えたほうがいいですか?
この年代では、派手なフェイントより「思い通りにボールを運べる」土台づくりが先です。タッチ数を増やし、いろんな足の面で扱えるようになると、フェイントは後から自然に身につきます。技から入ると足元ばかり見るクセがつきやすいので、まずは基本のボールタッチと『顔を上げる』を優先しましょう。
家が狭いのですが、ドリブル練習できますか?
できます。この記事のメニューは、1〜2畳のスペースがあれば十分。足裏ロールやインアウトタッチは、その場から動かずにできます。移動する『ジグザグ運び』も、廊下や部屋の対角線を使えばOK。室内では、音の出にくいやわらかいトレーニングボールを使うと、床や家具も傷めず安心です。
毎日やらないと上手くなりませんか?
毎日が理想ですが、週3〜4日でも十分効果があります。大事なのは『短くても続けること』。1回5分でも、ボールにさわる回数が積み重なれば必ず伸びます。1日サボっても責めず、楽しく続けられる距離感を保つほうが、結果的に長く伸びていきます。
ひとりで20分回せる型はこちら → ひとりでできるサッカー練習/壁が使える環境なら → 壁当て練習のやり方
ドリブルの土台になるボールタッチのメニューは、こちらでくわしく → 親子でできるおうちサッカー練習・ボールタッチ5選
雨で外に行けない日の室内メニューもどうぞ → 雨の日OK!室内サッカー練習5選
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
育成年代の指導3年目、延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断・認知・立ち位置を軸に「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。
用品・ルール・練習の記事は、公開前に監修コーチが内容を確認し、事実に関わる記述は一次情報にあたって整理しています。監修者について →


