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ルール入門

少年サッカーの延長戦とPK戦のルール|同点のあと何が起こる?【現役コーチ監修】

PITCH NAVI 編集部|2026.07.18 更新|読了 約7

監修現役 U10・8人制サッカーコーチ指導3年目・延べ50名を指導

PK戦、ゴール前で身構える少年キーパーと見守るチーム

トーナメントの2回戦。同点のまま、審判の笛が長く鳴りました。ベンチがざわつき、子どもたちが円陣を組み始める。隣の保護者に「これ、延長ですか?PKですか?」と聞かれて、答えられない自分がいる——そして気づきます。もしPKになったら、うちの子が蹴るかもしれない。外すかもしれない。胸のざわつきの半分は、ルールが分からない不安。もう半分は、わが子が泣く姿の予感です。

\ 時間がない人へ・先に結論 /

少年サッカー(8人制)のトーナメントでは、延長なしでそのままPK方式に入る大会が多数派です。延長がある場合も前後半5分ずつ程度と短め。PKは3人制で始める大会が多く(大人の5人制より少ない)、決まらなければ1人ずつのサドンデスへ。ただし、これらはすべて「大会要項」で決まるので、正解は当日の要項にあります。この記事では標準的なパターンと、親が本当に備えるべきこと(=PK後の夜)を解説します。

この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。PK戦は、少年サッカーで親子がいちばん泣く場所です。ルールを知らないまま迎えると、混乱と動揺がそのまま子どもに伝わります。逆に、親が仕組みを分かって落ち着いていれば、それだけで子どもの支えになる。試合が決まる前に、読んでおいてください。

01同点のときの3パターン——鍵は「リーグ戦かトーナメントか」

まず全体像から。試合が同点で終わったとき、その後の展開は3つしかありません。①引き分けのまま終了 ②延長戦 ③PK方式。どれになるかを決めるのは、ほぼ一点、その試合が「引き分けを許せる試合か」どうかです。

リーグ戦(予選リーグ含む)は引き分けでも勝ち点で順位がつくので、同点ならそのまま終了が基本。一方トーナメント(決勝トーナメント・カップ戦)は、どちらかを次に進めなければならないので、延長かPK、またはその両方で決着をつけます。

そして少年サッカーの実情を言うと、延長を挟まず直接PK方式に入る大会がかなり多いです。理由は単純で、1日に何試合もこなす過密日程と、子どもの体力への配慮。「同点→即PK」は、少年サッカーではまったく珍しくありません。「延長がないなんて」と驚かなくて大丈夫です。

最終的な正解は「大会要項」にある

延長の有無・時間・PKの人数は、大会ごとに要項(大会規定)で決まります。同じ市内でも大会が違えばルールも違う、が普通です。トーナメントの日は、チームに配られる要項の「同点の場合」の一文を確認しておくと、当日あわてません。

02延長戦のルール——あるなら短い

延長がある大会の場合、8人制の育成年代では前後半5分ずつ程度の短い設定が一般的です(大会により差があります)。本編との間に短いインターバルを挟み、コートを替えて前後半を戦う。延長でも同点なら、PK方式へ進みます。

大人のワールドカップのような15分ハーフの延長は、この年代ではまずありません。また、昔あった「先に点を取ったら即終了(ゴールデンゴール/Vゴール)」方式は現在は標準ではありませんが、ローカル大会で独自採用される可能性はゼロではないので、これも要項次第です。

観戦のポイントとしては、延長に入った時点で子どもたちの足は相当重くなっています。プレーの質が落ちるのは当たり前。ミスが増えても、そこはもう技術ではなく体力の勝負の時間帯です。

03PK方式のルール——3人制が多い

本題のPK方式です。テレビで見る大人の試合は5人制ですが、少年サッカーの大会では3人ずつで始める方式が多く採用されています(これも大会次第で、5人制の大会もあります)。基本の流れはこうです。

  • キッカーは、試合終了時にピッチに立っていた選手から選ぶのが基本。ベンチの子は蹴れない運用が一般的です(ここも要項・大会により差があります)。
  • コイントスなどで先攻・後攻と使うゴールを決め、交互に蹴る。
  • 3人ずつ蹴って多く決めたほうが勝ち。途中で勝敗が決まればそこで終了。
  • 3人で同数なら、1人ずつのサドンデス(片方が決めて片方が外したら終了)へ。
  • GKはPKのときだけ、ピッチにいた選手と交代できる運用の大会もあります。

なお、細かい話ですが、PK方式は正式には「試合の勝敗」ではなく「次に進むチームを決める方法」という扱いです。記録上は引き分け、ということも多い。子どもに「負けた」ではなく「引き分けて、くじの代わりの勝負で進めなかった」と説明できるのは、この仕組みを知っている親だけです。

PKそのもののルール(キックの反則・GKの動ける範囲など)は、フリーキックやコーナーキックと合わせてこちらで図解しています → フリーキック・コーナーキック・PKのルール

04観戦する親が知っておくべきこと

ルールが分かったところで、スタンド側の心得を3つ。

1つ目、キッカー選びに口を出さない。「なんでうちの子を蹴らせないの」「なんで蹴らせたの」——どちらの声も、現場ではたまに聞こえてきます。キッカーは、コーチが練習での成功率や本人の立候補を見て決めています。どちらに転んでも、選考への感想は子どもの耳に入れないでください。

2つ目、外した子の名前を家で出さない。よそのお子さんが外して負けた場合、車の中での「〇〇くんが外しちゃったねえ」は、わが子経由でいつか本人に届きます。PKを外した子は、チームの誰より背負っています。そこに石を積まないのが、スタンドの大人のマナーです。

3つ目、撮った動画をその日に見せない。記録としての動画は良いのですが、負けたPKの映像をその日のうちに再生するのは、傷口の上映会になります。見るなら、本人が「見たい」と言った日で十分です。

💬 現場で聞いた保護者の声

PKになった瞬間、私の心臓のほうがもたないかと思いました。ルールを知らなかったら、たぶん取り乱してた

小4男子のお母さん

息子が外して負けた日、何も言わずに好物のから揚げにしました。数日後「次は決める」と自分から言ってきました

小5男子のお父さん
※ 監修コーチが少年サッカーの現場で実際に聞いた声です(個人が特定されない形で掲載しています)。感じ方には個人差があります。

05PKで負けた日の夜——現場で見た話

最後に、監修コーチの実体験を一つ。あるカップ戦の準々決勝、0-0からの3人制PKを2-3で落とした日のことです。

外したのは2人。ベンチに戻ってきた子どもたちは誰も口を開かず、いつもは騒がしい片付けの時間が、その日は物音だけでした。外した子の一人は、帰りの挨拶のときも顔を上げられなかった。コーチ陣がその場で伝えたのは一つだけ。「PKを外せるのは、蹴る勇気があった選手だけ」。慰めが届いた手応えは、正直その日はありませんでした。

変化があったのは翌週です。練習の始まる前、その外した子が自主的にPK練習を始め、それを見た他の子が次々にゴール前に並びだした。誰も指示していません。負けた悔しさが、1週間で「もう一度あの場面に立ちたい」に変わっていたんです。あの列を見て、PK負けは子どもを壊すものではなく、親と指導者の受け止め方さえ間違えなければ、この年代でいちばん濃い成長のきっかけになると確信しました。

だから、もしお子さんが外して泣く日が来ても、思い出してください。その夜の親の仕事は、原因分析でも励ましのスピーチでもなく、いつも通りの夕食と、いつも通りの「おやすみ」です。悔しさの使い道は、子どもが自分で見つけます。ちなみに、プレッシャーの場面に強くなる関わり方はこちらにまとめています → 試合で緊張する子へのサポート

よくある質問

Q

少年サッカーのPK戦は何人制ですか?

A

3人ずつで始める大会が多いですが、5人制の大会もあり、最終的には大会要項で決まります。同数の場合は1人ずつのサドンデス方式に移行するのが一般的です。テレビで見る大人の5人制とは違うことが多い、と覚えておくと当日あわてません。

Q

延長戦は必ずありますか?

A

ありません。少年サッカーのトーナメントでは、日程と子どもの体力への配慮から、延長なしで直接PK方式に入る大会が多数派です。延長がある場合も前後半5分ずつ程度の短い設定が一般的です。有無と時間は大会要項の「同点の場合」の項目で確認できます。

Q

PKのキッカーはどうやって決まりますか?

A

試合終了時にピッチにいた選手の中から、コーチが決めるのが基本です(本人の立候補を尊重するチームも多いです)。ベンチにいた選手は蹴れない運用が一般的。順番も含めてコーチの采配なので、選ばれても選ばれなくても、家庭では選考の話題にしないのがおすすめです。

Q

うちの子がPKを外して落ち込んでいます。どう声をかければ?

A

その日は原因分析も長い励ましもせず、いつも通りに過ごすのが一番です。触れるなら「蹴る勇気があった」という事実だけ。悔しさは数日かけて「次は決めたい」という練習のエネルギーに変わっていくことが多く、その変化は子ども自身のペースで起こります。親が先回りして解決しようとしないことが、実は最大のサポートです。

Q

PK戦のときにゴールキーパーを交代できますか?

A

大会によります。PK方式に入る際、試合終了時にピッチにいた選手同士でならGKを入れ替えられる運用が見られますが、認めるかどうか、交代の扱いは大会要項次第です。チームのコーチは要項を確認して動いているので、観戦側は「そういう采配もあるんだ」と見ていて大丈夫です。

最後に、今夜できる一手を一つだけ。次のトーナメントの前に、配られた大会要項の「同点の場合」の一文だけ読んでおいてください。 30秒で済みます。当日、隣の保護者に「これはPKですよ、3人制です」と静かに言える親は、ベンチの子どもたちと同じくらい頼もしい存在です。

トーナメントの日は1日3試合、なんてこともザラ。すり減った靴では最後のPKまで足がもちません → 学年・足型から選べるスパイク比較ランキング(30秒)

この記事の監修
監修現役 U10・8人制サッカーコーチ

サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる

少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。

現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。

当サイトの用品・ルール・練習の記事は、公開前に監修コーチが内容を確認しています。事実に関わる記述は一次情報・公式情報にあたって整理しています。

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