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親の関わり方

少年サッカーに親が疲れた…送迎・当番・週末が消えるしんどさへの本音の処方箋

PITCH NAVI 編集部|2026.07.18 更新|読了 約9

監修現役 U10・8人制サッカーコーチ指導3年目・延べ50名を指導

朝、大きな荷物を抱えて送り出しに向かう母親と支度する息子

金曜の夜、冷蔵庫に貼ったチームの予定表を見て、ため息が出る。土曜は7時起きで弁当、8時集合の練習。日曜は片道1時間の会場へ送迎、お茶当番、帰ってから泥だらけのユニフォームを洗って、気づけば日曜の夜。自分の週末は、どこへ行ったんだろう——。子どもは楽しそうだから、言えない。でも正直、疲れた。もしこの気持ちに心当たりがあるなら、先に言わせてください。それは愛情が足りないのではありません。設計が破綻しているだけです。

\ 先に結論 /

少年サッカーの親の負担は、平均で週10時間前後になることもあります。仕事と家事の上にこれが乗れば、疲れて当たり前。対策は根性ではなく設計です。①「全部の試合に行く」前提を降ろす(行かない日を作る) ②送迎と当番を1人で抱えず、家庭内・保護者間で分担する ③チームへの交渉は「できません」ではなく「ここまでならできます」で伝える。休む親は、手抜きの親ではありません。長く続けるための、まともな親です。

書いているのは、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチです。指導3年目、17名の子どもと、その倍以上の数の保護者と週末を過ごしています。この記事を書こうと決めたのは、去年の冬のある一言がきっかけでした。遠征帰りの解散場所で、荷物を運びながら、ある保護者がぽつりとこぼしたんです。「正直、週末が消えるんですよね」と。笑いながらの一言でしたが、目は笑っていませんでした。共働きで、平日は帰宅が遅く、土日が家族の唯一のまとまった時間。その土日が、丸ごとサッカーに変わっている。——コーチとして、頭を殴られたような気がしました。子どもの成長ばかり見ていて、それを支える人の消耗を見ていなかった。その反省から、うちのチームは集合時間を8時から8時半に遅らせ、遠征の配車を「毎回全員」から「当番制で運転は月1回まで」に変えました。それだけでも、保護者の顔つきは変わりました。

01まず数字で見る——あなたは週何時間working?

疲れの正体は、数えると見えてきます。試しに、ある週の内訳を並べてみます。土曜:弁当と準備1時間、送迎往復1時間、練習の待機3時間。日曜:遠征送迎往復2時間、試合の帯同4時間、当番1時間。帰宅後の洗濯・道具の手入れ1時間。——合計13時間。これはやや多めの週ですが、平均しても週10時間前後は「サッカー労働」に消えている家庭が珍しくありません。月40時間。ほとんどパートがもう1つ増えているのと同じです。

なぜ数えるのを勧めるかというと、疲れを「気の持ちよう」から「工数の問題」に変えるためです。工数なら、削れます。誰かに渡せます。気合いでは削れません。

02「全試合に行く親がいい親」という思い込み

一番重い荷物は、実は時間ではなく、この思い込みです。「他の親はみんな来てるのに」「行かないと子どもがかわいそう」。その結果、熱を出しそうな体で会場に立っている保護者を、私は何人も見てきました。

コーチとして、はっきり言います。全試合に親が帯同する必要はありません。会場での子どもの安全と管理は、チームの仕事です。それに、親が来ない試合で伸び伸びプレーする子がいるのも、現場ではよく見る光景です。親の目がない日のほうが、思い切った勝負をする。ちょっと切ないですが、本当です。

やりがちなNG

「疲れたけど全部行く」を続けて、ある日ぷつんと糸が切れる。限界まで頑張った親ほど、燃え尽きたときに「サッカーやめない?」が口から出てしまいます。子どもにとって一番つらいのは、親が1試合来ないことではなく、疲れ切った顔で隣にいることです。

おすすめは、月の頭に予定表を見て、先に「行かない日」を決めてしまうこと。後から休むと罪悪感が出ますが、先に決めれば「予定」になります。行かなかった日は、帰ってきた子の話を聞く日にする。「今日どうだった?」を、現地で見ていない分だけ新鮮に聞けます。

03送迎・洗濯・弁当を1人で抱えない

家庭の中の話もさせてください。サッカー関連の労働が、父母どちらか片方に9割寄っているケースは、本当に多いです。もう一方は「休日くらいゆっくりしたい」。その気持ちも分かりますが、週10時間労働が片方に乗り続ければ、倒れるのは時間の問題です。

分担のコツは、「手伝って」ではなく役割ごと渡すことです。「送迎は毎週交代」「洗濯と道具の手入れは土曜の担当」「弁当は前夜に一緒に仕込む」。タスク単位で渡せば、頼む側の采配コストも消えます。おじいちゃんおばあちゃんが近くにいるなら、送迎だけ月2回お願いするのも立派な設計です。送迎そのものの負担を軽くする工夫は、別記事に詳しくまとめています → 送迎がしんどい家庭の乗り切り方

04当番と配車は「交渉できる」——コーチ側の本音

そして、多くの人が我慢しているのが当番です。ここでコーチ側の内情を明かすと、チームの当番や配車のルールの多くは、誰かが深く考えて作ったものではありません。何年も前の慣習が、そのまま転がっているだけ。だから、変えられます。うちが集合時間と配車を変えたときも、必要だったのは保護者からの一言だけでした。

伝え方のコツは、「できません」と切るのではなく、「ここまでならできます」と示すことです。「日曜の当番は難しいのですが、土曜の練習準備なら毎週できます」「運転は月1回までなら」。ゼロ回答ではなく交換条件の形にすると、角が立たずに通ります。それでも「全員一律でやってもらわないと」と譲らないチームなら——正直、そのチームの設計のほうが古い。当番制度の実態や相場観はこちらで詳しく → お茶当番はどこまでやる?

05それでも限界なら、立ち止まっていい

設計を変えても、しんどさが消えないこともあります。そのときは、チームを替える・活動頻度の少ないチームを選ぶ・スクール中心に切り替える、という選択肢まで含めて考えていいと私は思います。週4活動の強豪チームから週2のチームに移って、親子とも笑顔が戻った例を知っています。サッカーの続け方は、1種類ではありません。

ただ、ここは正直に書きます。「どこまで親が削って、どこから子どもの機会を優先するか」——この配分に、私はまだ完璧な答えを持っていません。コーチとしては来てほしい、でも一人の大人としては休んでほしい。揺れながら、それでも確信していることが1つだけあります。親が壊れたら、子どものサッカーは続かない。だからあなたの休息は、わがままではなく、チームの継続計画の一部です。

よくある質問

Q

試合に行かないと、子どもはがっかりしませんか?

A

最初は「来ないの?」と言うかもしれません。そのときは「今日は行けないけど、帰ったら一番いいプレーの話を聞かせて」と、聞く約束に変えてください。子どもが本当に必要としているのは、毎回の観戦ではなく、自分のサッカーに関心を持ち続けてくれることです。帰宅後の5分の会話は、スタンドの3時間と同じくらいの価値があります。

Q

「疲れた」と感じること自体に罪悪感があります。

A

週10時間の労働が上乗せされて疲れない人はいません。罪悪感を持つべきことではなく、むしろ疲れを無視して倒れるほうが、家族への影響は大きくなります。「疲れた」は撤退のサインではなく、設計を見直すサインです。この記事の「行かない日を先に決める」から試してみてください。

Q

夫(妻)が全く手伝ってくれません。

A

「手伝って」という頼み方は、采配する側の負担が残るのでうまくいきにくいです。役割を丸ごと渡してみてください。「隔週の送迎はお願い」「道具の手入れは担当ね」のように、考えなくても回る形にするのがコツです。それでも動かない場合は、週の負担時間を数字にして見せると、話が具体的になります。

Q

当番を減らしたいけれど、言い出しっぺになるのが怖いです。

A

1人で提案しようとせず、まず同じように感じている保護者を1人見つけてください。2人以上の声になれば「個人のわがまま」ではなく「検討事項」になります。伝える相手は、コーチより保護者会の代表が先のほうがスムーズなことが多いです。「廃止」でなく「回数を減らす・簡素化する」から提案すると通りやすいです。

Q

疲れて、送り出すだけで精一杯。それでも大丈夫?

A

大丈夫です。毎週送り出して、洗濯をして、弁当を作っている。それはもう、十分すぎるサポートです。観戦も差し入れも当番の花形も、サポートの本体ではありません。本体は、子どもが「また行きたい」と思える日常を回し続けること。あなたはすでにそれをやっています。

今夜の一手は、カレンダーを開いて、来月の「行かない日」を1日だけ決めることです。まだ誰にも宣言しなくていい。自分の中で決めるだけ。それができたら、今夜は十分です。最後にもう一度だけ。週末を差し出して、それでも「疲れた」と検索してここまで読んだあなたは、サボりたい親ではなく、続け方を探している親です。その時点で、もう大丈夫。

時間だけでなくお金の負担も見直したい方は、少年サッカーにかかる費用の全体像をこちらにまとめています → 少年サッカーの費用はいくら?月謝・遠征・道具の実際

この記事の監修
監修現役 U10・8人制サッカーコーチ

サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる

少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。

現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。

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