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親の関わり方

サッカーで子どものやる気にごほうびは効果ある?釣るのはあり【現役U10コーチ監修】

PITCH NAVI 編集部|2026.07.20 更新|読了 約9

監修現役 U10・8人制サッカーコーチ指導3年目・延べ50名を指導

「今日3点取ったら、帰りにアイス買ってあげる」。車のシートベルトを締めながら、つい口から出た一言。悪気はないんです。少しでも張り切ってほしいだけ。でも試合が終わってみると、なぜか前より消極的で、ボールが来ても他の子に譲ってばかり——。ご褒美で釣るのって、本当に効果があるんだろうか。そう迷ったことがあるなら、この記事を読み終えるころには、ご褒美を「使っていい場面」と「火を消す場面」の見分け方が分かります。

\ 時間がない人へ・先に結論 /

ご褒美は「あり」。ただし使いどころを間違えると逆効果になります。結果(ゴール数・勝敗)にご褒美をぶら下げると、子どもは失敗を怖がって消極的になります。褒めるなら挑戦したこと・過程。渡すならモノより言葉、使うなら短期・小さく。これが現場で見てきた答えです。 → 学年・足型で選べる比較ランキングを見る(30秒)

この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。正直に打ち明けると、私自身、ご褒美を否定する立場ではありません。うまく使えば、練習の入り口をつくる立派な道具になります。ただ、現場で何人もの子を見てきて、はっきり分かったことがある。先日も、シュートを決めた数でお小遣いをもらう約束をしていた低学年の子がいました。その子は試合中、決定的な場面でもパスを選ばず、確率の低い遠いシュートばかり狙うようになった。半年ほどで、味方に信頼される回数が明らかに減りました。ご褒美の「かけ方」ひとつで、プレーの中身がここまで変わる。まずはそこから見ていきます。

01そもそも「ご褒美で釣る」は悪いことなのか

結論から言うと、悪いことではありません。「ご褒美=甘やかし」というイメージがあるかもしれませんが、そんなに単純な話ではないんです。

心理学では、ご褒美のような外からの刺激で行動を促すことを外発的動機づけと呼びます。難しく聞こえますが、要するに「ごほうびや叱られるのを避けたいから動く」という状態のこと。反対に、「サッカーが楽しいから、うまくなりたいから、自分でやる」のが内発的動機づけです。

大事なのは、この2つは敵同士ではない、ということ。外発的動機は、内発的動機の入り口になれる。最初は「ごほうびが欲しいから練習に行く」でも、通っているうちに「サッカーって楽しいな」に変わっていく子は、現場にたくさんいます。問題は「使うか・使わないか」ではなく、「何に対して、どう使うか」なんです。

02結果にご褒美をぶら下げると起きること

いちばん気をつけてほしいのが、これです。「ゴールを決めたら」「試合に勝ったら」と、結果にご褒美をぶら下げるやり方。

⚠ 結果ごほうびが子どもを縮こまらせる

「◯点取ったらごほうび」と約束すると、子どもの頭は「点を取ること」でいっぱいになります。すると——
・パスを出すべき場面で、自分でシュートを打ちたがる
・失敗が怖くて、難しいチャレンジ(ドリブル突破や競り合い)を避ける
・点が取れないと、味方や審判のせいにし始める
点は、相手の状況・味方の動き・運まで絡む「自分だけではコントロールできないもの」。それを条件にすると、子どもはコントロールできない結果に振り回されてしまうんです。

冒頭で紹介した、シュート数でお小遣いをもらっていた子がまさにこれでした。本人は真面目にがんばっているのに、がんばる方向が「チームの勝ち」ではなく「自分の点数」に向いてしまう。サッカーは11人(8人制なら8人)でやるスポーツなのに、一人だけ別のゲームをしている状態になるんです。

もう一つ厄介なのが、ご褒美がないと動かなくなること。「今日はごほうびナシ」と言った途端に手を抜く。これは、サッカーそのものの楽しさより、ごほうびのほうに気持ちが移ってしまったサインです。せっかくの「楽しいから走る」が、「ごほうびのために走る」に上書きされてしまった。

03挑戦と過程を褒めた子に起きた変化

では逆に、結果ではなく「挑戦したこと・過程」を認めたらどうなるか。ここに、ご褒美をうまく使うヒントが全部詰まっています。

以前、なかなか1対1を仕掛けられない、慎重な性格の子がいました。取られるのが怖くて、ボールが来るとすぐ後ろに戻してしまう。その子の親御さんに、お願いを一つしました。「点や勝ち負けの話は一切しないでください。代わりに『今日は何回、前に仕掛けた?』とだけ聞いてあげてください」と。

すると、面白いことが起きました。子どもは「仕掛けた回数」を数えるようになった。抜けても抜けなくても関係ない。「挑戦した数」がそのまま誇らしい報告になる。取られることが減点ではなくなったから、失敗が怖くなくなったんです。3か月ほどで、その子は自分から前を向いて仕掛ける回数が、試合1本で1〜2回から5〜6回へ増えました。抜ける成功率が上がったのは、その後です。

ここで効いているのは、ご褒美の対象を「結果」から「自分でコントロールできること」に変えたという一点。仕掛ける回数は、相手や運に左右されません。自分の勇気だけで決められる。だから、認められた瞬間に「またやろう」につながる。モノを一切渡していなくても、これは立派なご褒美——「認められた」という報酬です。

04モノより言葉が効く理由

ここまで読むと、「じゃあ言葉で褒めればいいのか」と思われたかもしれません。その通りです。そして、それには理由があります。

モノのご褒美は、だんだん効かなくなるという性質があります。最初はアイス一つで大喜びだった子も、慣れてくると「アイスじゃ物足りない」「ゲームの時間じゃなきゃ嫌」とエスカレートしていく。ご褒美のハードルは、上げるのは簡単でも、下げるのはとても難しい。青天井なんです。

一方で、言葉のご褒美は減りません。しかも、渡し方に工夫の余地がある。「すごいね」で終わらせず、具体的に、何が良かったかを言葉にするのがコツです。

    • 「今日のあのドリブル、取られても2回続けて仕掛けたの、勇気あったね」
    • 「点は入らなかったけど、最後まで走って戻ってたの、お父さん見てたよ」
    • 「負けたのは悔しいけど、味方が転んだときすぐ助けに行ったの、かっこよかった」

こういう言葉は、子どもに「見てもらえている」という安心を渡します。これがモノより深いところに効く。うちのチームでも、試合後に親御さんから結果ではなくプレーの中身を褒められた子は、次の練習の表情が明らかに違います。ちなみに、道具を新しくするのも「言葉に近いご褒美」として意外と効きます。サイズアウトしたスパイクをそろそろ買い替える、といったタイミングなら、それ自体が「次もがんばろう」の後押しになります → 学年・足型で選べる比較ランキング

05使うなら「短期・小さく」のルール

とはいえ、「どうしても最初のきっかけが欲しい」場面はあります。練習に行き渋る、新しいことに挑戦させたい——そんなとき、ご褒美を「呼び水」として使うのはアリです。ただし、守ってほしいルールがあります。

① 短期で区切る。 「今シーズンずっと」ではなく「今週だけ」。長く続けるほど、ご褒美なしでは動けない体になっていきます。あくまで一時的な起爆剤として使い、火がついたら静かに手を引く。

② 小さくする。 ご褒美は小さいほど良い。大きいご褒美は一度きりのイベントになりますが、「練習後にお父さんと5分だけ好きなゲームをする」くらいの小さなものは、日常に溶け込んで悪影響が出にくい。

③ 結果ではなく行動に紐づける。 ここが最重要です。「勝ったら」ではなく「最後まで走りきったら」。「点を取ったら」ではなく「1回でも前に仕掛けたら」。ご褒美の対象を、子どもが自分で決められる行動にする。これだけで、ご褒美の毒はほとんど抜けます。

\ 約束する前に、一度だけ確認 /

ご褒美を約束する前に、心の中でこう問い直してみてください。「この条件、点や勝ち負けみたいに“自分だけでは決められないこと”になっていないか?」もしそうなら、条件を「行動」に置き換える。「勝ったらアイス」を「最後まで諦めずに走ったらアイス」に。たったこれだけで、子どもを縮こませるご褒美が、背中を押すご褒美に変わります。

06ご褒美を卒業させる出口の作り方

ご褒美の話で、意外と語られないのが「やめ方」です。始めたはいいけれど、どうやって卒業させるのか。ここでつまずく家庭が本当に多い。

コツは、ご褒美を渡すたびに、言葉のご褒美をセットで添えること。アイスを渡しながら「今日、最後まで走ってたのがかっこよかったよ」と言う。これを続けると、子どもの中で「うれしい」の中心が、だんだんモノから言葉へ移っていきます。そのうち、アイスがなくても「見てもらえた」だけで満たされるようになる。そうなったら、しれっとモノを減らしていけばいい。

もう一つの出口は、子ども自身に目標を決めさせること。親が決めたご褒美は外発的ですが、「次の試合までに、これができるようになりたい」と本人が言い出したら、それはもう内発的動機の芽です。親の役割は、その芽を「いいね、応援してるよ」と認めること。ご褒美を渡す側から、隣で見守る側へ、静かに立ち位置を変えていく。

現場で断言できるのは、最後にサッカーを続けさせるのは、ご褒美ではなく「楽しい」と「認められた」の記憶だということ。ご褒美は、その記憶にたどり着くまでの橋にすぎません。橋は渡り終えたら、そっと手放して大丈夫です。

💬 現場で聞いた保護者の声

「勝ったらゲーム時間」って約束してたら、負けた日にすごく荒れるようになって。勝ち負けと機嫌を結びつけちゃったのは失敗でした

2年生の保護者

点を褒めるのをやめて「今日どんな挑戦した?」に変えたら、帰りの車での会話が増えました。本人も話したそうなんですよね

3年生の保護者

アイスで釣ってた時期もありましたが、今は「見てたよ」の一言でニコニコしてます。モノより効くって本当だったんだと

4年生の保護者

うちは行き渋りがひどくて、最初だけご褒美で背中を押しました。慣れたら自然に要らなくなったので、きっかけとしてはアリだったかなと

1年生の保護者
※ 監修コーチが少年サッカーの現場で実際に聞いた声です(個人が特定されない形で掲載しています)。感じ方には個人差があります。

よくある質問

Q

ご褒美で釣るのは、結局あり?なし?

A

ありです。ただし「何に対して渡すか」が全てです。ゴール数や勝敗など“自分だけではコントロールできない結果”に紐づけると、子どもは失敗を怖がって消極的になります。一方、「最後まで走った」「前に1回仕掛けた」など“自分で決められる行動”に紐づければ、ご褒美は挑戦の後押しになります。使うなら短期・小さく・行動に対して、が鉄則です。

Q

「点を取ったらお小遣い」はなぜダメなんですか?

A

点は相手の守備・味方の動き・運まで絡む、本人がコントロールしきれない結果だからです。それを条件にすると、子どもは点を取ることばかり考え、パスすべき場面で無理なシュートを打ったり、失敗が怖くて難しいチャレンジを避けたりします。チームのためのプレーより、自分の点数のためのプレーになってしまうのが一番の問題です。

Q

モノのご褒美と言葉、どちらがいいですか?

A

長い目で見れば言葉です。モノのご褒美は慣れると効かなくなり、要求がエスカレートしがちで、ハードルを下げるのが難しくなります。言葉のご褒美は減らず、「見てもらえている」という安心につながります。渡すときは「すごいね」で終わらせず、何が良かったかを具体的に言葉にすると、ぐっと効果が上がります。

Q

すでにご褒美で釣るクセがついてしまいました。どうすれば?

A

手遅れではありません。ご褒美を渡すたびに「今日のあのプレー、かっこよかったよ」と言葉のご褒美をセットで添えてください。続けるうちに、子どものうれしさの中心がモノから言葉へ移っていきます。そうなったら、モノを少しずつ減らしていけば大丈夫。急にゼロにするのではなく、言葉に置き換えながら卒業させるのがコツです。

Q

行き渋りがひどい子に、ご褒美でやる気を出させてもいい?

A

きっかけとしてなら問題ありません。「今週だけ、練習に行けたら帰りに好きなおやつ」くらいの小さく短いご褒美は、止まった足を動かす呼び水になります。大事なのは、行き始めて楽しさを思い出したら、静かにご褒美を引いていくこと。ご褒美はスタートを押す道具で、ゴールまで引っぱる道具ではない、と考えてください。

最後に、今日からできる一手を一つだけ。次の試合の帰り、点や勝ち負けの話は横に置いて、「今日、どんな挑戦した?」とだけ聞いてみてください。子どもが自分の口で「ドリブル仕掛けた」「怖かったけど競り合った」と話せたら、それがいちばんのご褒美になります。

ご褒美を上手に使いたいなら、まずは「行動を認める言葉」から。そのうえで、道具の力も借りたいときは、学年と足型に合ったスパイクが挑戦を支えてくれます → 比較ランキングで学年・足型からピッタリを選ぶ

そして、ご褒美の奥にある「そもそものやる気」が気になってきた方は、こちらもどうぞ → 子どものやる気が続く関わり方

この記事の監修
監修現役 U10・8人制サッカーコーチ

サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる

少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。

現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。

当サイトの用品・ルール・練習の記事は、公開前に監修コーチが内容を確認しています。事実に関わる記述は一次情報・公式情報にあたって整理しています。

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