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親の関わり方

チームに馴染めない・友達ができない子|親ができるサポート【現役コーチ解説】

PITCH NAVI 編集部|2026.07.18 更新|読了 約8

監修現役 U10・8人制サッカーコーチ指導3年目・延べ50名を指導

ベンチに一人で座り、仲間の輪をそっと見る少年

練習が終わったあと、グラウンドの隅で始まる鬼ごっこ。歓声の輪から少し離れた場所で、我が子はひとり、しゃがんで靴ひもを結び直している。車に乗ってから、ぽつり。「今日、誰ともしゃべってない」——。サッカーは好きみたいなのに、チームに友達がいない。休み時間の話を聞くたび、胸のあたりがぎゅっとなる。うまくなる・ならない以前の、この悩み。実は、コーチのところにも一番よく届く相談のひとつです。

\ 先に結論 /

親がやるべきは、友達づくりの後押しではなく「安全基地」でいることです。輪に入るスピードには数か月単位の個人差があり、急かすほど遅くなります。具体的に動くなら3つだけ。①「友達できた?」と聞くのをやめる ②接点を「あいさつ1人」まで小さくする ③コーチに一言だけ様子を共有する。特に③は、親が思っている10倍効きます。チーム分けやペア組みは、コーチ側で調整できるからです。

書いているのは現役のU10・8人制コーチです。指導3年目、在籍17名のチームを預かっています。この17名の中に、去年、3か月間ひとことも自分から声を出さなかった子がいました。年度の途中、一番最後に入団してきた子です。ミニゲームでパスをもらっても無言。私が話しかけても、頷くだけ。正直、最初の1か月は「合わなかったかな」と内心焦りました。でもその子は、3か月後のある土曜日、ミニゲーム中に初めて自分から「こっち空いてる!」と叫んだんです。ベンチでそれを聞いた瞬間のことは、今でもはっきり覚えています。この記事は、その3か月間に私と保護者の方が「やったこと」と「やらなかったこと」の記録でもあります。

01馴染めないのは、性格の欠点ではない

まず、前提をひとつ整えさせてください。チームに馴染むスピードは、足の速さと同じで、ただの個人差です。初日から輪の中心にいる子もいれば、半年かけてゆっくり根を張る子もいる。早いほうが優秀ということはありません。

しかも少年サッカーの「輪」は、大人が思うより流動的です。学校のクラスと違って、練習のペアもミニゲームのチームも毎回シャッフルされる。今日ポツンとしていた子が、来月には別の子と笑っている。私は3年間で延べ50名ほどの子を見てきましたが、輪の固定メンバーが1年間変わらなかったことは一度もありません。つまり、入り口は何度でも開きます。今のポツンは、永遠のポツンではない。ここは安心してもらって大丈夫です。

02「友達できた?」が一番の逆効果になる理由

心配なとき、親の口から一番出やすいのがこの質問です。でも、想像してみてください。できていない子にとって「友達できた?」は、毎週の進捗確認です。できていない自分を、毎回報告させられる。すると子どもは「友達がいない自分は、親を心配させるダメな自分だ」と学習して、チームでの時間そのものが嫌いになっていきます。

例の子の保護者の方が偉かったのは、ここでした。3か月間、一度も「友達できた?」と聞かなかったそうです。代わりに聞いていたのは、プレーのこと。

今日からの言い換え

NG:「友達できた?」「誰かと話した?」
OK:「今日の練習で、一番うまくいったプレーどれ?」

友達の話は、子どもが自分から話すまで待つ。友達ゼロでも楽しめている時間を認めてもらえると、子どもはチームに居場所を感じ始めます。人間関係は、居場所の後からついてきます。

03接点は「あいさつ1人」まで小さくする

とはいえ、何もしないのも落ち着かないと思います。動くなら、目標をうんと小さくしてください。「友達を作る」は大きすぎます。おすすめは「1人にあいさつする」だけ。それも「みんなにあいさつしよう」ではなく、相手を1人に固定するのがコツです。毎週同じ子に「おはよう」と言う。それだけ。人見知りの子にとって、不特定多数は恐怖ですが、決まった1人は攻略できる課題になります。

相手選びには、実はコーチ視点のセオリーがあります。狙い目は、チームの中心にいる目立つ子ではなく、おだやかで、誰にでも同じ態度の子。どのチームにも必ず1〜2人います。参観のときに探してみてください。あとは、待ち合わせでも帰り道でも、接点が自然に生まれる物理的な近さを、親がさりげなく作れると理想です。ここまでやったら、あとは引く。橋を架けるのは親、渡るかどうかは本人です。

04コーチへの一言共有が、10倍効く理由

そして、一番おすすめしたいのがこれです。コーチに、一言だけ様子を伝えてください。「うちの子、まだチームに馴染めていないみたいで。練習ではどうですか?」——これだけでいい。

なぜ効くのか。コーチはペアもグループも毎回自由に組めるからです。私も例の子のとき、保護者からの一言をきっかけに、ミニゲームで必ずおだやかな子と同じチームに入れるようにしました。2人組の練習では、聞き上手な子とペアに。介入はそれだけです。友達になれと言ったことは一度もありません。場を整えただけで、3か月後に「こっち空いてる!」が出ました。声が出た日、真っ先に反応したのは、ずっとペアを組んでいたあの子でした。コーチ側から言わせてもらうと、この種の相談は迷惑どころか、言ってもらえないと気づけないことがあるのが本音です。遠慮はいりません。

053か月待っても変わらないとき

目安として、環境を整えて3か月。それでも行きしぶりが強くなる、チーム内に意地悪やからかいがある、サッカー自体を嫌いになりかけている——そんなサインが出ているなら、チームを替えることをためらわないでください。馴染めない理由が本人ではなく、チームの空気との相性にあるケースは、実際にあります。同じ子が、別のチームでは初月から笑っていることも珍しくありません。移籍は敗北ではなく、土の入れ替えです。合う土に植え替えれば、同じ種でも咲き方が変わります。

正直に言うと、どこまで待って、どこで動くか。この線引きに、私もいつも迷います。ただ1つ確かなのは、「サッカーが好き」という気持ちが残っているうちに動いたほうがいい、ということです。そこが枯れてからでは、植え替えても根づきません。

よくある質問

Q

本人は「友達いなくても平気」と言います。放っておいていい?

A

本人が平気で、練習に行きしぶりがなく、プレー中に楽しそうな瞬間があるなら、尊重してあげて大丈夫です。ひとりで黙々とボールを蹴るのが好きな子は一定数いて、それも立派なサッカーとの付き合い方です。無理に社交的にさせる必要はありません。行動が変わったとき(行きたがらない・口数が減る)だけ、気にかけてあげてください。

Q

同じ学校の子がいないチームに入れてしまいました。失敗でしたか?

A

失敗ではありません。むしろ学校と別の人間関係を持てることは、学校で何かあったときの逃げ場になります。ゼロからの関係づくりに時間がかかるのは自然なことなので、記事にある「あいさつ1人」から始めてみてください。学校外の友達は、できたときの結びつきが強い傾向も感じます。

Q

親同士の輪に私が入れていません。子どもに影響しますか?

A

思っているほど影響しません。子どもの輪と親の輪は、別で動きます。親同士は連絡事項のやりとりさえできていれば十分です。無理にランチ会に入る必要はありません。ただ、あいさつだけは丁寧にしておくと、子どもの情報が自然と入ってきやすくなるのでおすすめです。

Q

からかわれている・いじられているようです。様子見でいい?

A

内容によります。本人が笑っていても、特定の子から一方的に続くいじりは、様子見しないでください。この場合はコーチへの共有を「相談」レベルに上げて構いません。「最近◯◯くんとの関係が気になっていて」と具体的に伝えれば、練習中の距離をコーチ側で調整できます。チームには、ふざけていい場面と人を傷つける言葉の線引きを教える責任があります。

Q

引っ込み思案な性格自体を直したほうがいいのでしょうか?

A

直す必要はない、というのが私の考えです。引っ込み思案な子は、観察力が高いことが多い。周りをよく見てからパスを出す、味方の位置を把握している——性格はピッチ上で武器にもなります。性格を変えるより、その性格のままで居場所を持てる環境を用意するほうが、ずっと現実的で、ずっと本人のためになります。

今夜の一手は、これだけです。「今日の練習で、一番うまくいったプレーどれ?」と聞いて、答えたことを一緒に喜ぶ。友達の話は、しない。それができたら十分です。そして最後に。友達がいないことに一番心を痛めているのは、たぶんお子さんではなく、あなたです。その優しさは、必ず届いています。焦らなくて大丈夫。3か月黙っていた子が自分から声を出す瞬間を、私は現場で確かに見ました。

チームに馴染む以前に、試合や練習そのもので緊張してしまうタイプの子には、こちらの記事も参考になります → 試合で緊張する子への声かけと親のサポート

この記事の監修
監修現役 U10・8人制サッカーコーチ

サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる

少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。

現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。

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