試合の朝、集合場所で子どものユニフォーム姿を見て「あれ、この下に着てる長袖、色これでよかったっけ?」と急に不安になる——。手首には友だちとおそろいのミサンガ、耳には先週開けたばかりのピアス。「注意されたらどうしよう」と、駐車場でこっそりスマホ検索したことのある親は、けっこう多いはずです。少年サッカーの身につけるものには、おしゃれの問題ではなくケガを防ぐためのルールがあります。この記事を読み終えるころには、アンダーシャツの色・アクセサリー・眼鏡・すね当て・防寒具まで、当日あわてない判断基準が全部そろいます。
覚えることは2つだけ。①身につける「かたいもの」は全部外す(ピアス・時計・指輪・ヘアピン・かたい髪留め)。②アンダーシャツの色はチーム内でそろえるのが基本で、ソックスの中にすね当てを必ず入れる。この2つを守れば、まず注意されません。細かい規定は大会ごとに違うので、要項とチームの連絡を最優先に。背番号まわりは → 背番号の決まりと意味を知る
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。毎年、春の大会シーズンになると、1日に2〜3人は必ず「外してきて」と声をかけるのがアクセサリーの話です。試合前の整列で審判が一人ずつ手首と耳を見ていく、あの時間。ミサンガを切りたくなくて泣きそうな顔をした3年生も、ピアスが外れなくてベンチスタートになった高学年もいました。どの子も悪気はまったくないんです。ただ、知らなかっただけ。親が事前に知っていれば、その子はふつうに試合に出られた。だから最初に一度だけ、家で共有しておく価値があります。
01大前提:ルールの目的は「ケガをさせないこと」
まず、いちばん大事な前提から。サッカーで身につけるもののルールは、見た目をそろえるためではなく、自分と相手をケガさせないためにあります。ここが分かっていると、細かい決まりを丸暗記しなくても、だいたい正しく判断できます。
サッカーの競技規則には、選手の用具について「危険なものを身につけてはいけない」という考え方が置かれています。判断するのはその試合の審判。だから同じミサンガでも、この大会は見逃されて、次の大会では外すよう言われる、ということが実際に起きます。「前は大丈夫だったのに」とモヤっとする気持ちは分かりますが、審判が危ないと判断したら外す——これがルールです。
ピアスやミサンガにテープを巻いてごまかす方法をネットで見かけますが、少年サッカーの大会では認められないケースがほとんどです。テープの下でピアスが皮膚に押し込まれる事故もあるため、むしろ危険。外して家に置いてくるのがいちばん確実です。外せない事情がある場合は、当日の朝ではなく事前にコーチへ相談してください。
02アンダーシャツ|色はそろえるのが基本
寒い日や日焼け対策で、ユニフォームの下に着るアンダーシャツ(インナー)。袖から見えるインナーの色は、チーム内でそろえるのが基本です。理由は、遠くから見たときに味方と相手を見分けやすくするため。11人制の公式戦では「アンダーシャツはユニフォームの袖の主たる色と同じ色」といった規定が置かれることが多く、少年の大会でもこれに準じた運用がよく見られます。
とはいえ、少年サッカーの練習や小さな大会では、そこまで厳密に見られないことも多いのが実情です。判断に迷ったらチームで一度決めた色(黒か白が多い)を買っておくのが安全。うちの子だけ真っ赤な長袖、という状況を避けられます。ちなみにズボン下(アンダースパッツ)も、パンツの色に合わせるのが同じ考え方です。
- 上のインナー:チームで指定がなければ黒か白を1枚ずつ
- 下のスパッツ:パンツと同系色(黒パンツなら黒)
- 夏用(吸汗速乾)と冬用(起毛)で分けると1年使える
- 大会前は必ず要項とチーム連絡を確認
インナー選びそのものは インナーウェアの選び方 にくわしくまとめています。
03アクセサリー|ピアス・ミサンガ・時計は原則NG
ここが一番トラブルになるところです。結論から言うと、身につけるアクセサリー類は原則すべて外す。これが少年サッカーの現場の答えです。
- ピアス・イヤリング → NG(引っかかると耳が裂ける事故がある)
- ミサンガ・ブレスレット・リストバンド型の飾り → NG
- 指輪・ネックレス → NG
- 腕時計・活動量計 → NG(かたい・当たると危ない)
- かたいヘアピン、金属のついた髪留め → NG
- 髪をまとめるゴム(布・シリコン) → OK
- 眼鏡 → 条件つきでOK(次の章へ)
「ミサンガはお守りだから」「ピアスは開けたばかりで塞がる」——どちらも親としては切実です。でも、相手の子の目や口に当たったらと考えると、答えは決まってきます。ピアスは、サッカーを続ける前提なら穴を開ける時期を家族で相談するのが現実的です。ミサンガは、バッグのファスナーに結びつけておく子がいました。試合中は外れていて、応援するときには一緒にある。あれは良い落としどころだと思います。
親が毎回チェックすると、子どもはいつまでも自分で気づきません。低学年のうちから「耳・手首・指、なにか付いてない?」と自分で口に出して確認するクセをつけてあげてください。3年生くらいになると、自分から友だちに「それ外しな」と言えるようになります。これはサッカー以外でも効く力です。
04眼鏡でプレーしていい?スポーツ用の選択肢
「眼鏡の子はサッカーできますか」という質問は、毎年必ず出ます。答えはできます。ただし、ふだんの眼鏡をそのまま使うのはおすすめしません。
理由は3つ。ボールが当たったときにレンズやフレームが割れて危ないこと。走ると簡単にずれて、視界がぶれること。そして、ヘディングや接触のたびに子どもが顔をかばう動きをおぼえてしまうことです。スポーツ用の眼鏡(スポーツグラス)は、割れにくいレンズと、頭の後ろで留めるバンドが付いていて、この3つをまとめて解決してくれます。
大会によっては「顔面を保護するもの以外の眼鏡は不可」といった記載があることもあるので、要項の用具の項目は必ず目を通してください。実際の選び方は 眼鏡っ子のサッカー事情 にまとめてあります。コンタクトへの切り替えは学年と本人の扱いやすさ次第なので、眼科で相談するのが確実です(目のことは個人差が大きい領域なので、痛みや見えにくさが続くときは自己判断せず受診を)。
05すね当てとソックス|「中に入れる」が絶対
すね当て(シンガード)は、少年サッカーで唯一「必ず着けなければいけない」用具です。そしてもう一つ、着け方にはっきりした決まりがあります。すね当ては、必ずソックスの中に完全に入れる。上からはみ出したり、ソックスの外に着けたりしてはいけません。
これは競技規則で決まっていることで、審判が試合前に見るポイントでもあります。「ソックスの外に着けてるほうがカッコいいと思ってた」という子は、毎年必ずいます。ここを知らずに整列で注意されると、低学年はけっこう凹むんです。家で一度、着け方を一緒に確認しておいてあげてください。
すね当てを固定したくてソックスを切ったり、上から色の違うテープをぐるぐる巻いたりするのは、大会によって認められないことがあります。テープを使う場合はソックスと同じ色にするのが原則。少年サッカーではそこまでする必要はほとんどないので、サイズの合ったすね当てとずれ止めのインナーソックスで十分です。
すね当ての形やサイズについては すね当ての選び方、ソックスは サッカーソックスの選び方 をどうぞ。
足元まわりでいちばん相談が多いのが、実はシューズです。ソックスとすね当てが決まったら、次は足に合った1足を。
△ここだけ注意:土のグラウンドが中心のチーム向けです。天然芝や人工芝がメインなら、別のソール(靴底)を検討してください。上位モデルは1万円を超えますが、これは約半額。最初の1足として無理のない価格です。
06寒い日のインナー・手袋・ネックウォーマー
冬の朝の試合、これも毎年の質問です。答えを先に言うと、手袋はOK、ネックウォーマーは大会によってNG、長袖インナーは色をそろえればOKが基本線です。
手袋は、フィールドプレーヤーが着けても問題ないとされるのが一般的。かじかんだ手より、暖かいほうが動きは良くなります。ネックウォーマーは、引っ張られると首が絞まる危険があるため、不可としている大会が多いのが実情です。同じ理由で、フードつきの上着を着たままプレーするのもやめてください。タイツ・スパッツは前述のとおり、パンツと同系色で。帽子・ニット帽も大会によって扱いが分かれます。
① ユニフォームと同系色の長袖インナー(起毛タイプ)
② パンツと同色のスパッツ
③ 薄手の手袋(プレー用・分厚いスキー手袋は不可)
④ ベンチで羽織るベンチコートと、地面に敷くレジャーシート
迷ったら「着ていくもの」と「プレーで身につけるもの」を分けて考えるとすっきりします。詳しくは 冬の防寒対策 へ。
07名前・番号の規定と、大会要項の読み方
ユニフォームの背番号は、公式戦では必須です。少年の大会では「1〜25番」など範囲が決められていたり、選手証(登録証)の番号と一致していることが求められたりします。名前(ネーム)の表示は任意としている大会が多く、必須ではありません。個人情報の観点から、あえて入れないチームもあります。
そして最後に、この記事でいちばん覚えて帰ってほしいこと。細かいルールは大会ごとに違います。だから、当日あわてないための正解は一つ。大会要項の「参加資格」「用具」の項目を、前の週に一度読む。これだけです。要項はチームのLINEやメールで配られていることがほとんど。読むのは3分で済みます。
「整列でピアスを指摘されて、外れなくて。結局その試合は出られませんでした。前の日に見ておけばよかった」
「インナーの色が子どもだけ違って、遠目にすごく目立ってた。チームで黒に統一と聞いて即買い直しました」
「すね当てをソックスの外に着けるのがカッコいいと思ってたみたいで。家で教えたらすぐ直りました」
「冬の試合、ネックウォーマーが使えないと知らずに持って行って。手袋はOKだったので助かりました」
こうして並べてみると、どれも知っていれば避けられたことばかりです。ルールを厳しく感じる必要はありません。全部、子どもの体を守るための決まりなんです。
よくある質問
アンダーシャツの色は本当にそろえないといけませんか?
公式戦では「ユニフォームの袖の主たる色と同じ色」といった規定が置かれることが多く、そろえるのが基本です。少年の練習や小規模な大会では厳密に見られないこともありますが、判断に迷うならチームで決めた色(黒か白が多い)を用意しておくのが安全です。大会前は必ず要項とチームの連絡を確認してください。
ミサンガはテープを巻けば着けたままプレーできますか?
少年サッカーの大会では認められないことがほとんどです。テープの下で皮膚が圧迫されるなど、かえって危険な場合もあります。試合の日は外して家に置いてくるのが確実。どうしても外したくないなら、バッグのファスナーに結んで持っていく方法をとっている子もいます。
眼鏡をかけたままサッカーをしても大丈夫ですか?
プレー自体は可能ですが、ふだんの眼鏡をそのまま使うのはおすすめしません。割れる危険とずれる問題があるためです。割れにくいレンズとバンドが付いたスポーツ用眼鏡が安心。大会によっては規定があるので要項の確認を。見え方の相談は眼科で行ってください。
すね当てはソックスの外に着けてもいいですか?
いけません。すね当ては必ずソックスの中に完全に収める決まりです。上からはみ出しているのも指摘の対象になります。ソックスを切ったり色の違うテープで留めたりするのも大会によっては不可。サイズの合ったすね当てと、ずれ止めのインナーソックスで対応してください。
冬の試合で手袋やネックウォーマーは使えますか?
手袋はフィールドの選手が着けても問題ないとされるのが一般的です。一方ネックウォーマーは、引っ張られると首を絞める危険があるため不可としている大会が多くあります。フードつきの上着を着たままプレーするのも同じ理由で避けてください。最終的な判断は大会要項と審判によります。
用具のルールを一度おさえてしまえば、あとは試合に集中するだけ。最後に残るのは、たいてい足元の問題です。サイズの合わないシューズは、ルール違反にはならなくても、確実にプレーとケガに響きます → 比較ランキングで学年・足型からピッタリのシューズを選ぶ 背番号のことは 背番号の決まり にまとめています。
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。
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