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親の関わり方

少年サッカーと父親の関わり方|教えすぎない・相手役になる・熱くなりすぎない|現役U10コーチ監修

PITCH NAVI 編集部|2026.07.20 更新|読了 約9

監修現役 U10・8人制サッカーコーチ指導3年目・延べ50名を指導

日曜の夕方、公園から帰る道。「だからさ、さっきのトラップは体の向きが逆なんだって」——気づけば30分、ずっと自分がしゃべっている。前を歩く子どもの背中は、明らかに小さくなっている。サッカー経験のあるお父さんほど、この場面に心当たりがあるはずです。教えたいのは、うまくなってほしいから。それは間違いなく愛情なんです。ただ、伝わり方が違うだけ。この記事を読み終えるころには、父親にしかできない役割と、力を抜くポイントが、はっきり見えてきます。

\ 時間がない人へ・先に結論 /

父親の役割は「教える人」ではなく「相手役・運び役・見る人」。技術指導はコーチに任せて、家ではボールを蹴る相手になることに振り切ると、子どもは伸びるし、親子関係も壊れません。やりがちな失敗をまとめて知りたい人は → 親がやりがちな失敗と対処法

この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。コーチの立場で毎年見ているのは、経験者のお父さんほど、良かれと思ってブレーキを踏んでしまうという現実です。監修コーチのチームにも、大学までプレーしていたお父さんがいました。息子は入団当初、いちばんボールを持ちたがる子でした。ところが3年生の途中から、ボールが来ると必ず一度、観客席のお父さんを見るようになった。判断が0.5秒遅れる。その0.5秒でボールを失う。原因ははっきりしていて、家での「なんであそこで蹴らないんだ」の積み重ねでした。お父さんに事情を話して、3か月だけ技術の話をやめてもらった。子どもは元に戻りました。教える量が足りなかったのではなく、多すぎたんです。

01経験者の父ほど教えすぎる|その理由

まず、責める話ではないと断っておきます。教えすぎるのは、見えてしまうからです。経験者には、子どものプレーの改善点が10個も20個も見える。見えているのに黙るのは、正直かなりつらい。だから口が出る。当たり前の反応です。

ただ、子ども側の受け取り方は違います。小学生が一度に処理できる指摘は、多くて1つか2つ。3つ以上言われると、脳の中では「全部だめだった」に変換されます。これは能力の問題ではなく、この年齢の情報処理の限界です。10個伝えると、10個とも残らない。1個に絞って伝えると、その1個は残る。効率で考えても、絞ったほうが得なんです。

⚠ NG:試合の帰りの車で振り返りをする

いちばんやってしまうのがこれ。密室で、逃げ場がなく、しかもお互い感情が高い。子どもにとって車の中は「説教の場所」として記憶されます。そうなると、次から車に乗ること自体が憂うつになる。振り返りをするなら、翌日以降・子どもから話し出したときにしてください。帰りの車は「腹減ったな」でいい。それで十分です。

02家の指導がコーチと食い違うと、子どもが固まる

もうひとつ、経験者の父に知っておいてほしいのがこれ。家とチームで違うことを言われると、子どもは動けなくなります

たとえば、チームでは「後ろから丁寧につなごう」と教えている。でも家では「そんなの危ないから前に蹴れ」と言われる。子どもにとってはどちらも絶対的な大人です。どちらかが間違っているのではなく、どちらの言うことも聞けない状態になる。結果、ボールを持った瞬間に固まる。監修コーチが現場で見る「急に判断が遅くなった子」の背景には、これがかなりの割合であります。

親世代と今の指導は、前提もかなり変わっています。昔は正解だったことが、今は逆に教えられていることも多い。GKへのバックパス、無理に前に蹴らずつなぐこと、ドリブルを止めないこと。どれも20〜30年前とは扱いが違います。

だから提案はシンプルです。技術と戦術の話は、家ではしない。どうしても気になるなら、子どもにではなくコーチに「家では何を手伝えばいいですか」と聞く。この一言で、家とチームの方向がそろいます。聞かれて嫌がるコーチは、まずいません。

03父にしかできない4つの役割

では、何をすればいいのか。ここからが本題です。父親にしかできない役割は、はっきりあります

①相手役になる。これがいちばん大きい。子どもがひとりでできない練習は、必ず相手が要ります。パスの受け手、1対1の相手、シュートを止める役。技術を教えなくていい。ただ、相手をするだけ。監修コーチの実感では、週2回・15分の親子ボール遊びを続けている子は、ボールを触る総量が明確に多く、半年で足元の落ち着きが変わります。

②運転する。地味に見えて、これが最大の貢献です。土日の送迎、遠征の車出し。これがないとサッカーは成立しません。誇っていい役割です。

③撮る。試合の動画を撮って残す。子ども本人が自分のプレーを見られるのは、指摘10回よりも効きます。ただし撮った動画を見ながら解説しないこと。黙って一緒に見る。子どもが「あ」と言ったら、それが学習です。

④黙って見る。これがいちばん難しく、いちばん価値がある。うまくいかない日に、何も言わずに隣にいる。「見てたよ」だけ言う。子どもが安心して失敗できる場所は、家しかありません。

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04勝敗に熱くなりすぎる自分の抑え方

正直に言えば、いちばんの敵は自分の感情です。競った試合の終盤、審判の判定、味方のミス。気づいたら立ち上がって声を出している——これも、経験者ほど起こります。

有効な対処は、精神論ではなく物理的に自分を配置し直すことです。

    • タッチライン沿いに立たない。ゴール裏かコーナー寄り、少し遠くから見る
    • 手に何か持つ。カメラを構えている人は、なぜか怒鳴りません
    • 熱くなったら一度歩く。20メートル歩いて戻るだけで、体温が下がります
    • 他の子の良いプレーを1つ探す。視野が広がると、我が子だけを追わなくなります
    • ハーフタイムに我が子と目を合わせない。合図を送りたくなるのを断ちます

そして最後の砦がこれ。試合後の第一声を、あらかじめ決めておく。監修コーチがお父さんたちに勧めているのは「おつかれ。腹減った?」の一択です。内容がなさすぎて、絶対に子どもを傷つけない。決めておけば、感情が高ぶっていても口から出るのはこれになります。

⚠ 審判への不満は、絶対に声に出さない

少年サッカーの審判は、保護者や指導者が持ち回りでやっていることが大半です。声に出した瞬間、その場の空気が変わり、子どもは必ず気づきます。そして「大人は判定のせいにしていい」と学んでしまう。どうしても納得がいかないなら、家に帰ってから配偶者に言ってください。それでちょうどいいです。

05休日をどこまで使うか|家族との配分

少年サッカーは、家族の休日をまるごと持っていきます。土日とも試合、朝6時集合、車出し、当番。親のほうが先に燃え尽きるケースは、決して珍しくありません。

現実的な線の引き方は3つ。①全部を1人で背負わない。②年に何回かは「行かない日」を作る。③きょうだいの時間を先に予定に入れる。とくに③は大事で、下の子が「兄ちゃんのサッカーばっかり」と感じ始めると、家全体がぎくしゃくします。

行かない日を作ることに罪悪感を持たなくていい。むしろ、親が毎回いない試合を経験している子のほうが、自立が早いことが多いです。見られていない場所で自分でやる経験は、確実に力になります。

06母親側との役割分担|得意なほうがやる

分担の考え方は、性別ではなく得意なほうがやるで決めるのがいちばんうまくいきます。父が運転と相手役、母が連絡と道具管理、というのは一例にすぎません。逆でもまったく問題ない。

ただ、決めておいたほうがいいことが2つあります。①道具と洗濯の管理者を1人に決める。②子どもへの声かけの方針を、夫婦でそろえる

②が特に重要です。父が厳しく、母がフォローするという分担は、一見バランスが良さそうで、実は子どもを混乱させます。「どっちの言うことを信じればいいのか」が分からなくなるからです。そろえるべきは基準ひとつだけ。「結果ではなく、やったことを見る」。これだけ夫婦で合意しておけば、細かい声かけがずれても、子どもの受け取りは安定します。

親子練習の具体的なメニューは、親子でできるパス練習にまとめてあります。何をすればいいか迷ったら、まずここからで大丈夫です。

07続けた父が最後に得るもの

最後に、これは監修コーチが何年も見てきた実感です。教えなかった父の子ほど、高学年でお父さんとサッカーの話をします

理由ははっきりしています。評価されない相手にしか、人は本音を話さないから。うまくいかなかった日、ミスした日に「どう思う?」と聞ける相手が、家に1人いる。それが父親の最終的な役割です。技術はコーチが教えてくれます。でも、安心して落ち込める場所を用意できるのは、家族だけなんです。

💬 現場で聞いた保護者の声

口を出すのをやめて相手役に徹したら、息子から質問してくるようになりました

4年生のお子さんの父

帰りの車で反省会をやめた。それだけで会話が増えて驚いています

3年生のお子さんの父

撮影係に回ってから、試合中に叫ばなくなりました。カメラ持ってると冷静でいられる

5年生のお子さんの父

妻と『結果じゃなくやったことを見る』で統一しました。子どもの表情が変わった気がします

低学年のお子さんの父
※ 監修コーチが少年サッカーの現場で実際に聞いた声です(個人が特定されない形で掲載しています)。感じ方には個人差があります。

よくある質問

Q

サッカー経験があるので、家で技術を教えたいのですが問題ありますか?

A

チームで教えている内容と食い違うと、子どもが判断できなくなって固まります。家では技術・戦術の話は避け、相手役に徹するのがおすすめです。どうしても関わりたいなら、子どもにではなくコーチに『家では何を手伝えばいいですか』と聞いてください。方向がそろって効果が出ます。

Q

試合の帰りに振り返りをするのは良くないですか?

A

おすすめしません。車の中は逃げ場がなく、お互い感情が高いままです。繰り返すと子どもは車を説教の場所として記憶します。振り返るなら翌日以降、子どもが自分から話し出したときに。帰りの第一声は『おつかれ。腹減った?』くらいがちょうどいいです。

Q

試合中につい大声が出てしまいます。どうすれば抑えられますか?

A

気持ちで抑えるより、立ち位置を変えるのが効きます。タッチライン沿いを離れてゴール裏や少し遠くから見る、カメラを持つ、熱くなったら20メートル歩く。手が塞がっていると声も出にくくなります。審判への不満だけは絶対に声に出さないでください。子どもに必ず伝わります。

Q

親子練習はどれくらいやればいいですか?

A

週2回・15分程度で十分です。長くやるより、短く続けるほうがボールに触る総量は増えます。教えようとせず、パスの相手・シュートを止める役に徹してください。子どもが飽きたらその日は終わり、というくらいの気楽さのほうが長続きします。

Q

毎週の送迎や当番がしんどいです。休んでも大丈夫でしょうか?

A

大丈夫です。むしろ年に何回かは行かない日を作ったほうがいいです。親が見ていない試合を経験している子のほうが自立が早い傾向があります。きょうだいの時間を先に予定へ入れておくのも大事で、家全体のバランスが崩れると結局続きません。

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この記事の監修
監修現役 U10・8人制サッカーコーチ

サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる

少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。

現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。

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