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キーパーをやりたがらない・怖がる子|GKの楽しさを知る入り口メニュー

PITCH NAVI 編集部|2026.07.18 更新|読了 約9

監修現役 U10・8人制サッカーコーチ指導3年目・延べ50名を指導

大きなグローブで楽しそうにボールをキャッチする少年とコーチ

「今日、キーパー誰がやる?」——コーチのこの一言で、グラウンドがシーンとなる。全員が下を向く。うちの子も目をそらしている。帰りの車で聞いてみると、「キーパーはやだ。怖いし、点を取られたら自分のせいになるもん」。責める気にはなれません。だって、その通りの経験をどこかでしているんですから。この記事では、GKを怖がる・やりたがらない子の気持ちの正体と、「守らせる」のではなく「GKって楽しいかも」と思わせる入り口メニューを紹介します。キャッチングの技術指導は目的ではありません。入り口の話です。

\ 時間がない人へ・先に結論 /

GKを嫌がる理由は①ボールが怖い ②失点=自分のせいになるのが怖い ③地味でつまらなそう、の3つ。処方せんは、シュートを受けさせることではなく、「怖くないボール」からのキャッチ遊び+止めたら大げさに実況+GKが勝てるルールのゲームの3点セットです。「上手にやらせる」より先に「気持ちよくさせる」。順番を間違えなければ、GKは人気ポジションになります。
グラウンドで踏ん張れる一足はこちら

この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。うちのチームは在籍17名で、以前はGK希望者がゼロでした。ジャンケンで負けた子がしぶしぶやる状態。そこで練習の最初の10分を「全員GKゲーム」(ゆるいボールを止めたらコーチが実況でほめる遊び)に変え、練習の最後に「今日のセーブ王」を発表するようにしたんです。3週間後、「今日キーパーやりたい人」に4人の手が挙がりました。子どもが嫌っていたのはGKそのものではなく、「怖くて、報われないGK」だったんです。

01子どもがGKを嫌がる3つの理由

まず、敵の正体をはっきりさせましょう。子どもがGKを避ける理由は、だいたいこの3つに集約されます。

    • ボールが怖い:速いボールが自分に向かって飛んでくる。顔に当たったら痛い。体が勝手によけてしまう。
    • 失点が自分のせいになる:フィールドのミスは流れの中に消えるのに、GKのミスだけは全員に見える。「あの1点は自分のせい」という記憶は、大人が思うよりずっと重い。
    • 地味に見える:味方が攻めている間はやることがなく、ゴールを決める快感もない。ヒーローになれるイメージが湧かない。

逆に言えば、この3つを1つずつ外していけば、GKは「痛くなくて、責められなくて、ヒーローになれる」ポジションに変わります。実際、プロの世界ではGKはチームでいちばん頼られる存在。子どもの中のイメージが実態とズレているだけなんです。

02親とコーチがやりがちなNG

⚠ この2つの声かけが、GK嫌いを完成させる

① 失点のあとの「今のは止めなきゃ」——本人がいちばん分かっています。この一言で「二度とやらない」が確定します。
「誰もやらないなら、おまえやれ」——罰としてのGK。ポジションのイメージが「罰ゲーム」で固定されます。

失点の後にかける言葉は1つだけ。「次、頼んだ」。信頼だけを渡してください。

もうひとつ、見落としがちなNGが「いきなり本物のシュートを受けさせる」こと。怖さが残っている段階で速いボールを浴びせると、ボールへの恐怖が上書きされて逆効果です。入り口は、拍子抜けするくらいやさしくていい。ここからのメニューは、その「やさしい入り口」を3段階で作ります。

03風船キャッチ

03DRILL

風船またはビーチボールを使って、親がふわっと投げたものを両手でキャッチ。慣れたら「落ちる前に2回手をたたいてからキャッチ」「ジャンプしてキャッチ」と遊びを足していく。ゴールも守備も一切なし。

目安:5分(遊びとして)
ポイント:「こんなの簡単すぎる」と思うくらいでちょうどいいです。目的は技術ではなく『飛んでくるものを正面で受けても痛くない』という体験の上書き。ボールを怖がる子ほど、この段階を飛ばさないでください。笑いながらできていれば大成功です。

04ナイスキー製造機

04DRILL

やわらかいボールか4号球を、親がゆるーく転がしてシュート。子どもが体で止めたら、親は実況アナウンサーになりきって「ナイスセーブ!とんでもないキーパーだ!」と大げさに叫ぶ。10本中8〜9本は止められる強さで転がすのがルール。

目安:10本×2セット
ポイント:親が照れたら効果半減です。恥ずかしさは捨てて全力で実況してください。つまずきポイントは、つい大人が本気で蹴って止められなくしてしまうこと。この練習の目的は『止める快感を貯金する』ことなので、成功率が9割を切ったら弱くします。

05GKが勝てる5本勝負

05DRILL

ゴール(カバン2個で幅を狭めに作る)を使い、親がシュート5本、子がGK。3本止めたらGKの勝ち。ゴール幅・シュートの強さは「GKが勝ったり負けたりする」バランスに調整する。勝敗がつくので、子どもは急に本気になる。

目安:5本×2〜3回
ポイント:ここで初めて『勝負』を入れます。大事なのはゴール幅の調整で、広すぎると絶対に勝てず、心が折れます。迷ったら狭く。それから、止め方の細かい指導はまだしないこと。フォームの話は、本人が『もっと止めたい』と言い出してからで間に合います。

06GKの「かっこよさ」を見せる

メニューと同じくらい効くのが、かっこいいGKを見せることです。プロの試合のスーパーセーブ集を親子で見て、「この人、チームで一番頼られてるんだよ」と一言添える。GKが週間ベストセーブでヒーロー扱いされている映像は、子どもの中の「地味」のイメージを静かに塗り替えます。

そしてチームや親子ゲームでは、セーブしたら得点と同じテンションで喜ぶこと。ゴールには「ナイッシュー!」があるのに、セーブには何もない——この非対称が、GKを割に合わないポジションにしています。「ナイスキー!」の声が飛ぶチームでは、GKは自然に人気が出ます。

気持ちの入り口が開いて、本人が「もっと止められるようになりたい」と言い始めたら、そこからが技術の出番です。構え方やキャッチングの基礎練習は GK練習の基本メニュー に、GK特有のルール(手を使える範囲など)は キーパーのルール解説 にまとめています。

07よくある質問

Q

チームでGKをやらされそうで、本人が憂うつそうです。

A

まず家で「怖くない成功体験」を貯金してあげてください。風船キャッチ→ゆるいボールのキャッチ遊び→止めたら大げさにほめる、の順で、「止めるのは気持ちいい」という記憶を作ってから送り出すと、同じGK当番でも受け取り方が変わります。あわせて「失点は全員の責任で、GKだけのせいじゃない」と繰り返し伝えてあげてください。

Q

ボール自体を怖がって、よけてしまいます。

A

速いボールを受けさせるのはまだ早い段階です。風船やビーチボール、やわらかいボールから始めて「正面で受けても痛くない」体験を積み重ねてください。恐怖が残ったまま本物のシュートを受けると逆効果になります。ボール恐怖への段階的な慣らし方は、ボールを怖がる子向けの記事も参考になります。

Q

失点のあと、ひどく落ち込みます。なんと声をかければ?

A

原因の解説やダメ出しは禁物です。本人が一番分かっています。おすすめは「次、頼んだ」の一言だけ。信頼を渡す言葉です。あわせて、止めたプレーを試合後に1つ挙げて「あのセーブがなかったらもっと取られてた」と、防いだ側の貢献を言葉にしてあげると、失点の記憶と釣り合いが取れます。

Q

何歳ごろからGK練習を始めるべきですか?

A

ジュニア年代のうちは「GK専門」に固定する必要はありません。低〜中学年では全員が順番にGKを経験するのがおすすめで、フィールドの子も「GKの気持ち」が分かって視野が広がります。専門的な技術練習は、本人が興味を持ってからで十分間に合います。まずはこの記事のような遊びの入り口から。

Q

GK用のグローブは買ったほうがいいですか?

A

入り口の段階では必須ではありません。素手のほうがボールの感覚をつかみやすい面もあります。ただ、寒い時期や人工芝での擦り傷対策、そして「自分の道具がある」というモチベーションの面では効果的です。本人がGKを楽しみ始めたタイミングで、ごほうびとして一緒に選ぶのがおすすめです。

今夜の一手は、100円ショップで風船を1袋買っておくこと。それだけで、明日の夜には最初のドリルが始められます。「守らせる」前に「気持ちよくさせる」——順番さえ守れば、GKはやりたがるポジションに変わります。

技術の段階に進んだら GK練習の基本 へ。そして、GKの横っ飛びや素早い一歩は、足元がすべると怖さが倍になります。グラウンドで踏ん張れる一足を探すなら → 学年・足型から選ぶ比較ランキング をどうぞ。

この記事の監修
監修現役 U10・8人制サッカーコーチ

サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる

少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。

現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。

当サイトの用品・ルール・練習の記事は、公開前に監修コーチが内容を確認しています。事実に関わる記述は一次情報・公式情報にあたって整理しています。

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