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狙ったところに蹴れない子の練習|キックの正確性は距離より「面」から

PITCH NAVI 編集部|2026.07.18 更新|読了 約9

監修現役 U10・8人制サッカーコーチ指導3年目・延べ50名を指導

壁とコーンの的をねらってボールを蹴る少年と教える父

パス練習を見ていると、お子さんの蹴ったボールが味方の2m横へコロコロ……。本人も「あれ?」という顔をしている。ねらって蹴っているのに、ねらったところに行かない。「もっと強く蹴れば届くのに」「回数をこなせばそのうち」と思いたくなりますが、実はキックの正確性は、強さでも回数でもなく「面(めん)」——足のどこにボールを当てるか——で決まります。この記事では、狙ったところに蹴れない子の原因の見つけ方と、面から直す的当て練習を順番に紹介します。

\ 時間がない人へ・先に結論 /

ねらったところに蹴れない原因は、ほぼ3つ。①足のどこに当たるかが毎回バラバラ(面の問題) ②軸足のつま先がねらいと違う方向を向いている距離が遠すぎて力んでいる。直す順番は「面→軸足→距離」。まずは3mの近距離で、的に当てる練習から始めてください。距離を伸ばすのは最後です。
蹴り足を支える一足の選び方はこちら

この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。以前、蹴るたびにボールの行き先が違う子がいました。強いキックは蹴れるのに、どこへ飛ぶかは本人にも分からない。そこで壁にガムテープで30cm四方の的を貼り、「強く蹴らなくていい、10本中何本当たるかだけ数えよう」と伝えたんです。初日は10本中2本。ところが的を意識した途端、あれほど毎回違っていた足の当てどころが勝手にそろい始めて、2週間後には10本中8本。フォームを一度も直していないのに、です。的がフォームを直してくれる——この順番を知っているかどうかで、キック練習の効率はまるで変わります。

01正確性は「距離」より「面」

面とは、ボールに当てる足の場所のことです。インサイドキック(足の内側で蹴るキック)なら、土踏まずの少し前あたりの平らな部分。ここは面が広くて平らなので、多少ずれてもまっすぐ飛びます。

ところが、ねらったところに蹴れない子の足元をよく見ると、当たる場所が毎回違う。つま先寄りに当たったり、かかと寄りだったり。当てる場所が毎回違えば、飛ぶ方向も毎回違う。当たり前の話なのですが、ここを飛ばして「もっとねらって!」と声をかけても、子どもはどうしていいか分かりません。

⚠ 遠くから蹴らせるのは逆効果

「試合と同じ距離で」と、最初から10m、15mの距離でパス練習をさせるのはNGです。遠いと子どもは力み、力むとフォームが崩れ、面がますますバラバラになります。正確性の練習は、力まなくても届く近距離(3m)から。物足りなく見えるくらいでちょうどいいんです。

02軸足のつま先は「矢印」

面の次にチェックするのが軸足です。ボールの横に置く、蹴らないほうの足。実は、ボールはだいたい軸足のつま先が向いた方向に飛びます。軸足はいわば矢印。つま先が的からずれていれば、どんなにいい面で当てても、ボールはずれた方向へ行きます。

ですから、お子さんのキックがそれる方向に規則性があるなら——いつも右にそれる、いつも左——原因は高い確率で軸足です。蹴った瞬間に足元の写真を撮ってあげると、本人も一発で納得します。

では、練習に入りましょう。用意するのはボールと、的になるもの(ペットボトル・カバン・壁のガムテープ)だけです。

033mの的当て

03DRILL

ペットボトルを立てて、3m離れたところからインサイドキックで当てる。強さは「転がして届く」程度でOK。当たった本数を数える。10本中7本当たるようになったら次のドリルへ。

目安:10本×2セット
ポイント:つまずきの典型は、当てたい気持ちで顔が早く上がって、面がずれること。『当たる瞬間だけボールを見る』と伝えてください。それでも散らばる子は、蹴る前に足の内側の「当てる場所」を手でさわらせると、意識がそこに集まって急にそろい始めます。

04軸足矢印キック

04DRILL

ボールの横、こぶし1個半くらいの位置に、テープや小枝で「的へ向かう矢印」を作る。軸足のつま先をその矢印にぴったり合わせて踏み込んでから蹴る。ねらいは的当てと同じでOK。

目安:左右8本ずつ
ポイント:軸足を意識すると、今度は蹴り足がおろそかになってボテボテになります。一時的に下手に見えますが、これは上達の途中経過なので心配いりません。『軸足を置く→止まる→蹴る』と一度区切ってからやると整理しやすく、慣れたら流れの中でできるようになります。

05壁の的・10本勝負

05DRILL

壁に30cm四方の的(ガムテープや見立てでOK)を作り、4〜5mから10本蹴って何本当たるか記録する。毎回同じ距離・同じ的で、昨日の自分と勝負する形式にする。

目安:10本×3セット(記録する)
ポイント:回数を重ねると集中が切れて、後半に外れが増えます。それも記録のうち。『最後の3本だけ集中』などテーマを決めると、試合終盤の一本に効く集中力も一緒に育ちます。跳ね返りを止めれば、そのままトラップ練習にもなって一石二鳥です。

壁を使った練習の広げ方は 壁当て練習の記事 に場所の探し方まで含めてまとめています。そして、的当てをやり込むなら、ボールはいつも同じものを使うのがおすすめです。日によってボールの大きさや空気圧が違うと、せっかくそろい始めた面の感覚がリセットされてしまうからです。小学生なら試合と同じ4号球を1つ、練習用に決めてしまいましょう。

モルテン ヴァンタッジオ3000 4号球(小学生用・検定球)
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△ここだけ注意:4号球は小学生用のサイズです。上のきょうだいの5号球で代用すると、重さで面の感覚が変わってしまうので、そこだけ気をつけてください。

061歩ずつ昇格テスト

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3mの的当てで10本中7本当たるようになったら、1歩(約70cm〜1m)だけ下がって同じテスト。7本当たったらまた1歩。クリアできなければ1歩戻る。ゲームのレベル上げのように距離を伸ばしていく。

目安:各距離で10本中7本
ポイント:一気に距離を伸ばすと必ず力みが戻ります。『昇格は1歩ずつ』が鉄則。距離が伸びてキックが弱くて届かなくなってきたら、それは正確性ではなくキック力の段階です。振りの大きさは、面と軸足が安定してから足しましょう。

07よくある質問

Q

何メートルから練習を始めればいいですか?

A

3mからで十分です。正確性の練習は「力まなくても届く距離」で行うのが鉄則で、遠いと力んでフォームが崩れ、面の感覚が育ちません。10本中7本的に当たるようになったら1歩ずつ距離を伸ばす「昇格テスト」方式にすると、力みを持ち込まずに距離を伸ばせます。

Q

いつも同じ方向にボールがそれます。原因は?

A

それる方向に規則性がある場合、原因は軸足の向きであることが多いです。ボールはおおむね軸足のつま先が向いた方向に飛びます。蹴る瞬間の足元をスマホで撮って、つま先が的を向いているか親子で確認してみてください。地面に矢印を作って軸足を合わせる練習が効きます。

Q

強いキックと正確なキック、どちらを先に練習すべき?

A

正確性(面と軸足)が先です。面が毎回バラバラなまま強く蹴る練習をすると、「速いけれどどこへ飛ぶか分からないキック」が身についてしまいます。的に当てられるフォームを近距離で固めてから振りを大きくすると、強さと正確さが両立します。キック力の伸ばし方は別記事で解説しています。

Q

的に当たったり外れたりで、なかなか安定しません。

A

本数を記録して「昨日の自分」と比べる形式にしてみてください。10本中の当たり数を毎回メモするだけで、子どもは自分で面の微調整を始めます。また、蹴る前に足の内側の当てる場所を手でさわる、当たる瞬間だけボールを見る、の2つを合言葉にすると散らばりが減ります。

Q

インステップ(足の甲)のキックも同じ練習でいいですか?

A

考え方は同じです(面を決める→軸足→距離)。ただし足の甲は面が小さく、インサイドより難易度が高いので、まずインサイドの的当てで「面をそろえる感覚」を作ってからがおすすめです。甲のキックは靴ひもの結び目あたりに当てる意識で、同じく近距離の的当てから始めてください。

今夜の一手は、ペットボトルを1本立てて「3mの的当てを10本、当たった数だけ数える」。これだけです。フォームの説明は何もいりません。的が、フォームを直してくれます。

蹴りの基本形から確認したい方は インサイドキックの蹴り方 を、面が安定してきて飛距離を伸ばしたい方は キック力を伸ばす練習 をどうぞ。そして、軸足の踏み込みがすべると面もずれます。足に合った一足を選びたい方は → 学年・足型から選ぶ比較ランキング へ。

この記事の監修
監修現役 U10・8人制サッカーコーチ

サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる

少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。

現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。

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