土曜の朝5時。まだ暗いキッチンで、冷凍庫を開けたまま固まる——。「試合の日って、何を持たせればいいの?」。から揚げ?サンドイッチ? 昼をまたぐ日程表を見ながら、量も時間も分からないまま、とりあえずいつものお弁当を詰めてしまう。そんな朝を過ごしたことのある人は、きっと多いはずです。試合の日のお弁当は、味やおかずの豪華さより「いつ・どれだけ食べられるか」で決まります。この記事を読み終えるころには、弁当箱の中身の組み立て方と、朝から夕方までの当日の運用が、そのまま真似できる形で分かります。
試合の日の弁当は、おにぎり中心・揚げ物は少なめ・一口サイズ。この3つで、まず外しません。試合と試合の間は「おなかいっぱい」ではなく腹七分で止めるのがコツです。試合前の食事そのものの考え方は → 試合前の食事は何時間前に何を食べるか
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。毎年、夏の大会で必ず見る光景があります。1試合目のあと、弁当をぺろりと平らげた子が、2試合目の開始10分で足が止まる。逆に、おにぎり2個だけ食べて残りをあとに回した子は、最後まで走れている。監修コーチのチームでも、1日3試合の日は「1回で全部食べさせない」を保護者にお願いするようになってから、午後の失速がはっきり減りました。感覚的な話ではなく、弁当箱を2〜3回に分けて開ける前提で詰めるかどうか。ここだけで、その子の1日はまるで変わります。
01結論:おにぎり中心・揚げ物少なめ・一口サイズ
試合の日の弁当で覚えることは、たった3つです。主食はおにぎり中心にする。揚げ物は入れても1〜2個まで。全部を一口で入る大きさにする。これだけです。
理由はどれも同じで、「短い時間で・立ったままでも・少しずつ食べられるか」だから。試合の日の子どもは、テーブルに座ってゆっくり食べません。ベンチの端、テントの下、コーチの話が終わった数分の合間。そこで箸を使って大きなおかずを切り分けるのは、現実的じゃないんです。
① 主食は小さめのおにぎりを複数個(大きい1個より、小さい3〜4個)
② おかずは汁気が少なく・一口で入るものを数種類
③ 弁当箱は2〜3回に分けて開ける前提で詰める
この3つで、午後まで動ける弁当になります。
「おにぎりだけじゃ栄養が足りないのでは」と心配になるかもしれませんが、試合当日は「その日動くための食事」と割り切って大丈夫です。体づくりのための食事は、試合の日ではなく普段の食卓で積み上げるもの。日々の食事の考え方は毎日の食事で意識したいことにまとめています(体格や体質には個人差があるので、食事制限や体重の増減が気になる場合はかかりつけ医に相談してください)。
02弁当箱の中身|主食7割・おかず3割で組む
詰め方の目安は主食7割・おかず3割。普段の弁当より、ごはんの割合をぐっと増やすイメージです。おかずは「彩り」より「食べやすさ」で選びます。
- 小さめのおにぎり3〜5個(塩・鮭・梅・おかかなど、シンプルな具)
- ゆで卵、卵焼き(甘さ控えめ)
- ウインナー、ハム、焼いた鶏肉を小さく切ったもの
- ブロッコリー、ミニトマト(水気はよく拭く)
- 果物は別容器で(オレンジ、パイナップル、バナナなど)
おにぎりはラップで1個ずつ包むのが正解です。1個ずつ包んであると、食べたい分だけ取って、残りはそのままバッグに戻せる。弁当箱ごと全部開けてしまうと、子どもは「今食べきらないといけない」と思ってしまうんです。ここは大人が思っている以上に効きます。
おかずが8種類も入った弁当は、試合の日にはむしろ食べにくい。選ぶのに時間がかかり、汁気が混ざり、結局ごはんが残ります。試合の日はおかず3〜4種類までで十分。豪華さは打ち上げの日にとっておきましょう。
味つけは薄すぎないほうがいいです。汗をかいた後は、少し塩気があるほうが子どもは箸が進みます。梅やおかかのおにぎり、塩を少しきかせた卵焼きが、夏場はよく減ります。
03揚げ物を減らす理由|おいしいけど当日は不利
から揚げは子どもの大好物。でも、試合の日の弁当では主役にしないほうがいいというのが現場の実感です。
理由は単純で、油の多い食べ物は胃に残りやすいから。次の試合まで1時間しかない日に、油の多いおかずをたっぷり食べると、走り出したときに気持ち悪くなる子が出ます。実際、監修コーチのチームでも、午後の試合前に「おなかが痛い」と言ってくる子の弁当は、揚げ物が多めというケースが目立ちました。もちろん全員がそうなるわけではなく、平気な子もいます。それでもリスクを下げる詰め方を選ぶ意味は大きいです。
から揚げ5個入りの弁当を渡して、1試合目の直後に全部食べてしまう。これがいちばんよくあるパターンです。好物ほど、子どもは一気に食べます。入れるなら1〜2個、しかも最後の試合が終わったあとのお楽しみとして別容器に分けておくと、当日の失敗が減ります。
やめろ、という話ではありません。量とタイミングをずらすだけです。「がんばったあとのから揚げ」は、子どものモチベーションにもなります。
04試合と試合の間に食べる量とタイミング
ここが当日の運用のいちばんの肝です。試合の間隔によって、食べる量を変えます。
- 次の試合まで2時間以上:弁当の半分〜2/3を食べてOK
- 次の試合まで1〜2時間:おにぎり1〜2個+果物くらい
- 次の試合まで1時間以内:おにぎり1個かゼリー・バナナだけ
合言葉は「腹七分で止める」。おなかいっぱいまで食べると、動き出しが重くなります。逆に何も入れないと、後半にガス欠になる。少しずつ、こまめにが正解です。
弁当を全部食べきるのは、最後の試合が終わってからでかまいません。試合が全部終わった直後の30分〜1時間は、体が回復に向かう大事な時間なので、そこで残りをしっかり食べる。この順番にするだけで、1日の走りが変わります。
「全部食べなさい」ではなく、「今はおにぎり2個だけ。残りは次の試合のあとね」と、量を親が区切ってあげてください。子ども自身に「どれくらい食べるか」を判断させるのは、低学年にはまだ難しいです。区切ってあげるだけで、当日の失速はぐっと減ります。
05夏の傷み対策|前日調理を避ける・保冷を切らさない
夏の屋外は、想像以上に過酷です。テントの下でも昼には弁当箱の中がぬるくなります。食中毒の対策は、当日の最優先事項だと思ってください。
押さえるポイントは3つ。まず前日に作ったおかずをそのまま詰めないこと。作り置きを入れるなら、朝しっかり火を通し直して、完全に冷ましてから詰めます。次に汁気を徹底的に切る。水分は傷みの入り口です。ミニトマトはヘタを取ってよく拭く、煮物は入れない。そして保冷剤と保冷バッグをセットで使う。保冷剤は弁当箱の上に置くのが効果的です(冷気は下に降りるため)。
生野菜のサラダ、マヨネーズであえたもの、半熟卵、煮物、フルーツの切り置き(前日)——このあたりは夏場の屋外では避けたほうが安全です。おにぎりも、素手ではなくラップ越しに握ってください。ゆで卵は殻付きのまま持っていくほうが傷みにくいです。少しでも「におうな」と思ったら、もったいなくても食べさせないでください。
飲み物は別で必ず用意します。水筒の中身と量の考え方は水筒の選び方と中身、夏の暑さ対策全般は夏の練習・試合の暑さ対策にまとめています。
06食欲がない子への打ち手|一口サイズと補食
緊張する子ほど、試合の日は食べられません。「せっかく作ったのに」と言いたくなる気持ちは分かりますが、食べられない日は、無理に押し込まないほうがいいです。責められると、次の試合の日はもっと食べられなくなります。
打ち手は2つ。ひとつは一口サイズにすること。普通サイズのおにぎりは、緊張しているとハードルが高い。ピンポン玉くらいの小さいおにぎりにすると、「これなら1個いけるかも」に変わります。もうひとつが補食。バナナ、ゼリー飲料、カステラ、エネルギーの入ったビスケットなど、噛む力がいらないものを1つバッグに入れておく。弁当が食べられない日でも、これなら口に入ります。
・試合の30分〜1時間前:ゼリー飲料、バナナ半分など軽いもの
・試合直前(15分以内):基本は水分だけ。固形は入れない
・試合直後:おにぎり1個かバナナ1本。ここが回復のゴールデンタイム
食べられる量には個人差があります。まったく食べられない日が続くようなら、緊張だけでなく体調の可能性もあるので、かかりつけ医に相談してください。
試合前の緊張そのものが強いタイプの子には、試合で緊張する子への声かけも合わせてどうぞ。食べられないのは、性格ではなくまだ慣れていないだけのことが多いです。
07現場の声+当日の持ち物運用
監修コーチのチームで、実際に聞こえてくる保護者の声を紹介します。
「おにぎりを1個ずつラップで包むようにしたら、自分で量を調整して食べるようになりました」
「から揚げをやめて卵焼きとウインナーに変えた日は、午後もちゃんと走れてた気がします」
「緊張して食べられない子だったので、ゼリーとバナナを必ず入れてます。弁当は帰りの車で食べる日も」
「保冷バッグを保冷剤2個にしてから、夏でも中身が傷まなくなって安心になりました」
当日の持ち物は、弁当・水筒・補食・保冷バッグ・ゴミ袋の5点セットで考えると抜けません。ゴミ袋は意外と重要で、食べ終わったラップや保冷剤を入れる場所がないと、弁当箱の中がぐちゃぐちゃになります。子ども自身が自分のゴミをまとめて持ち帰るのも、チームで嫌われないための基本です。
朝の出発から片づけまでを含めた1日の流れは試合当日の親の動き方、遠征のときの持ち物は遠征・アウェイの日の準備を参考にしてください。
よくある質問
試合の日のお弁当は、普段の弁当と何を変えればいいですか?
ごはんの割合を増やし、おかずを減らすのがいちばんの違いです。目安は主食7割・おかず3割。おにぎりは小さめを複数個、1個ずつラップで包みます。おかずは汁気が少なく一口で入るものを3〜4種類まで。品数を増やすより、少しずつ何回かに分けて食べられる形にするのが優先です。
から揚げは入れてはいけませんか?
禁止ではありませんが、当日は主役にしないほうが安心です。油の多いものは胃に残りやすく、試合間隔が短い日は動き出しで気持ち悪くなる子がいます。入れるなら1〜2個まで、あるいは全試合が終わったあとのお楽しみとして別容器に分けておくと失敗が減ります。
試合と試合の間はどれくらい食べさせればいいですか?
腹七分が目安です。次の試合まで2時間以上あれば弁当の半分〜2/3、1〜2時間ならおにぎり1〜2個と果物、1時間以内ならおにぎり1個かゼリー・バナナ程度。残りは全試合が終わってから食べさせてください。おなかいっぱいにすると動き出しが重くなります。
夏の傷み対策はどうすればいいですか?
前日に作ったおかずをそのまま詰めないこと、汁気を切ること、保冷剤と保冷バッグを使うことの3点です。保冷剤は弁当箱の上に置くと効果的。生野菜・マヨネーズであえたもの・半熟卵・煮物は夏の屋外では避けます。においが気になったら食べさせないでください。
緊張して食べられない子にはどうすればいいですか?
無理に押し込まず、一口サイズに変えるのが先です。ピンポン玉くらいの小さいおにぎりにすると食べられる子が多くいます。それでも難しい日は、ゼリー飲料やバナナなど噛む力がいらない補食で代替を。食べられない日が続くようなら、体調面もあるのでかかりつけ医に相談してください。
食べ方が整うと、午後の試合の走りが変わります。あとは足元。合わないシューズは、それだけで後半のパフォーマンスを削ります。学年・足型からピッタリの一足を選びたい方は、比較ページをどうぞ → 比較ランキングで学年・足型からピッタリのシューズを選ぶ
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少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
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