練習が終わった瞬間、わが子は水筒の水を一気に飲み干して、そのまま芝生にゴロン。友だちとふざけ合って、5分後には「おなかすいた、帰ろ」。クールダウン?そんなもの、やっている子はほとんどいません。サッカーを自分ではやってこなかったパパ・ママからすると、「終わったあとに何かやることがあるの?」というのが正直なところだと思います。でも、翌朝わが子が「膝が痛い」「足がだるい」と言い出したとき、その差は前の日の"終わり方"に出ていることがあります。この記事を読み終えるころには、練習後に家でやるべき整理運動とケアが、たった10分で・道具なしで分かるようになります。やりすぎないコツも含めて。
練習後にやることは3つだけ。①軽い動的整理運動(歩きながら足を振る・回すを2〜3分。急に止まらない)、②静的ストレッチ(ももの前・裏・ふくらはぎをゆっくり伸ばす)、③水分+補食+早い就寝。ハードにやる必要はありません。むしろ疲れた体をさらに追い込むのは逆効果。膝の下やかかとの痛み(オスグッド等)は、この習慣で軽くなる子がいます。 → 学年・足型で選べる比較ランキングを見る(30秒)
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。ひとつ、忘れられない場面があります。低学年のある子が、練習後にいつも真っ先に走って帰る子で、月曜になると決まって「膝が痛い」と言っていました。お母さんに、寝る前にももの前を30秒だけ伸ばすのを親子でやってみてほしいと伝えたところ、2週間ほどで「痛い」と言う日が減り、1か月後には本人が自分から「今日ストレッチやった?」と親に聞くようになったそうです。何かすごいメニューをやったわけではありません。「終わったあとに、ちょっとだけ整える」を習慣にしただけ。クールダウンは、次の練習でわが子が元気に走るための"仕込み"です。
01結論:練習後の10分でやる3つのこと
むずかしく考える必要はありません。練習や試合が終わったあと、家に帰るまでと帰ってからで、やることはこの3つです。
- 軽い動的整理運動:ヘトヘトの体を急に止めず、歩きながら足を振る・回すを2〜3分。
- 静的ストレッチ:ももの前・ももの裏・ふくらはぎを、ぐーっとゆっくり伸ばす(お風呂上がりや寝る前でOK)。
- 水分・補食・睡眠:失った水分を戻し、軽くおにぎりなどを補い、早めに寝る。
全部やっても、体を動かすのは10分ほど。ポイントは「追い込まない」こと。クールダウンは練習の続きではなく、疲れた体をもとに戻す作業です。ここを勘違いして「もう一頑張り」とダッシュを追加させてしまうと、かえって疲労をためてしまいます。
02急に止まらない:軽い動的整理運動(2〜3分)
まず、いちばん見落とされがちなのがこれ。全力で走ったあと、いきなりピタッと座り込む子がとても多いんです。運動中は心臓が全身に血をたくさん送っていますが、急に止まると足にたまった血が戻りにくくなり、だるさや立ちくらみの原因になると言われています。
やることはシンプル。歩きながら、足を前後にブラーンと振る、足首をぐるぐる回す、軽く肩を回す。これを2〜3分。「動きながら、だんだんゆっくりにしていく」イメージです。難しい専門用語で言うと動的(どうてき=動きながらの)整理運動ですが、要は「急ブレーキじゃなく、ゆっくり減速して停まる」と覚えれば十分です。
先日も、試合後にすぐベンチにへたり込んだ低学年の子が「頭がクラッとする」と言っていました。水分不足もありますが、急に止まったのも一因。歩いてクールダウンさせたら、数分で落ち着きました。
・全力で走ったあと、その場に急に座り込む(血が足にたまってだるさ・立ちくらみのもと)
・終わった直後に、疲れた体で追加のダッシュや筋トレをやらせる
・汗をかいたまま長時間放置して、体を冷やす(とくに冬場)
03疲れを翌日に残さない静的ストレッチ
動的整理運動で体を落ち着かせたら、今度はぐーっと止めて伸ばす静的(せいてき=止まった姿勢での)ストレッチの出番です。これは、その場でやってもいいですし、疲れているならお風呂上がりや寝る前でも構いません。むしろ体が温まっているお風呂上がりのほうが伸びやすい。
伸ばす場所は、サッカーで酷使する下半身の3か所でOK。
- ももの前:立って片足の足首を持ち、かかとをお尻へ。膝の下の痛み予防に大事な場所。
- ももの裏:座って前屈。反動をつけず、痛気持ちいいところで止める。
- ふくらはぎ:アキレス腱伸ばし。かかとの痛み予防につながる場所。
1か所20〜30秒、息を止めずに「ふーっ」と吐きながら。反動をつけてグイグイやるのは禁物です。これは疲れをためないための"ほぐし"であって、体の柔らかさを競うものではありません。テレビを見ながらでも、親子でしゃべりながらでも十分。運動前と運動後でストレッチの種類が変わる話は、ストレッチとウォームアップの記事でもう少しくわしく整理しています。
04水分・補食・睡眠——ケアの本命はここ
正直に言うと、ストレッチ以上に大事なのがこの章です。子どもの疲労回復は、体を伸ばすことより、飲む・食べる・寝ることで決まると言っても言い過ぎではありません。
まず水分。運動で汗として出た水分は、練習後30分以内くらいを目安に、こまめに戻してあげてください。がぶ飲みより、少しずつ。夏場はとくに、麦茶やスポーツドリンクを薄めたものを用意しておくと安心です。
次に補食(ほしょく)。これは「軽い間食」のこと。練習が夕方に終わって、夕食まで時間が空く日は、おにぎり1個やバナナ1本を挟むだけで、体の回復がぐっと違います。空腹のまま長時間過ごすと、成長期の体づくりにも回復にもマイナス。ドカ食いではなく、消化にやさしいものを少し、が正解です。
そして最後、いちばんの回復薬が睡眠です。成長期の子どもの体は、寝ている間に修復され、伸びていきます。試合や練習でしっかり動いた日ほど、早く寝かせる。「ストレッチはサボっても、早寝だけは死守」——現場のコーチとしては、これくらい睡眠を優先していいと考えています。
05オスグッド・シーバー予防としてのクールダウン
ここは、パパ・ママにいちばん知っておいてほしい話です。成長期の子には、大人にはない特有の痛みが出ることがあります。代表的なのが、膝のお皿の下が痛くなる「オスグッド」、かかとが痛くなる「シーバー病」。どちらも、骨がぐんと伸びる時期に、硬くなった筋肉が付け根を引っぱって負担がかかることが関わると言われています。
冒頭で紹介した「月曜になると膝が痛い子」のように、疲労と筋肉の硬さがたまったまま次の練習に入るのが、いちばん体には過酷です。だから、練習後にももの前とふくらはぎをゆるめておくことは、痛みの予防という意味でも理にかなっています。
ただし、大事な注意を。
・走ったりジャンプしたりすると、いつも同じ場所(膝の下・かかと)を痛がる
・押すと痛がる、かばって走り方が変になっている
このサインが出ているときは、ストレッチで無理に伸ばすと悪化することがあります。まず運動を休ませるのが先。数日続く・繰り返す場合は、自己判断せず整形外科(できればスポーツに詳しい先生)へ。クールダウンはあくまで"予防"であって、"治療"ではありません。
サッカーが好きな子ほど、休みたくないから痛みを隠します。「痛いなら休んでいい」と親のほうから言ってあげてください。それが結果的に、いちばん早くグラウンドに戻る道です。
06「やりすぎ」は逆効果——ほどよさの目安
まじめな親ほど陥りやすいのが、「ケアも完璧にやらせなきゃ」という気負いです。でも、疲れきった体に長時間のストレッチや追加トレーニングを課すのは、回復どころか新たな負担になります。
目安はこれくらいで十分。
- 動的整理運動:2〜3分。歩いて息が落ち着けばOK。
- 静的ストレッチ:3か所×20〜30秒。合計5分ほど。
- 補食と水分をとって、その日は早く寝る。
痛みがある日、極端に疲れている日は、ストレッチを飛ばして「水分・補食・睡眠」だけでも構いません。クールダウンは「毎日100点」より「なんとなく毎回やる」ほうがずっと価値があります。完璧主義は、続かない最大の原因です。
07親子で続けるコツ+現場の声
子どもが一人で、練習後に毎回きちんとクールダウンをする——正直、これはほぼ無理です。続いている家庭に共通するのは、親が声をかけている・一緒にやっていること。お風呂上がりに親子で3か所だけ、寝る前の"儀式"にしてしまうのがいちばんの近道です。デスクワークで固まったパパ・ママの体にも、これがなかなか効きます。
「練習後すぐ座り込むクセがあって、よく『だるい』と言ってました。歩いてクールダウンさせるようにしたら、帰りの車で愚図らなくなった気がします」
「ストレッチより、実は補食のおにぎりが効きました。夕食まで待たせてたのをやめたら、夜ぐっすり寝るようになって」
「膝の下を痛がることが多かったんですが、寝る前にももの前を伸ばすのを親子で続けたら、言わなくなってきました」
「全部やろうとすると続かないと分かって、うちは『早寝だけは絶対』にしてます。それだけでも翌日の動きが違う気がする」
① 帰る前に歩きながら足振り・足首回しを2〜3分(急に止まらない)
② お風呂上がりにももの前・裏・ふくらはぎを各20〜30秒、親子で
③ 水分+おにぎり1個の補食、そして早寝を死守
全部そろわなくて大丈夫。疲れた日は①②を飛ばして③だけでもOK。まずは「早寝」から、今夜始めてみてください。
よくある質問
クールダウンは毎回きちんとやらないと意味がないですか?
毎回できれば理想ですが、いちばん大事なのは「水分・補食・睡眠」です。疲れている日はストレッチを飛ばして、飲む・軽く食べる・早く寝るの3つだけでも十分に回復の助けになります。完璧を目指すより、ゆるく続けるほうが価値があります。
練習後、家に着いてからストレッチしても効果はありますか?
あります。むしろ体が温まっているお風呂上がりのほうが筋肉が伸びやすく、おすすめです。グラウンドでは軽く歩いて体を落ち着かせる程度にして、じっくり伸ばすのは帰宅後・寝る前に回して大丈夫です。
膝の下やかかとを痛がります。ストレッチで治りますか?
すでに痛みがある場合、ストレッチで無理に伸ばすと悪化することがあります。まずは運動を休ませてください。同じ場所を繰り返し痛がる・数日続く場合は、自己判断せず整形外科(できればスポーツ整形)を受診しましょう。クールダウンは予防のための習慣で、治療ではありません。
補食は何を食べさせればいいですか?食べすぎになりませんか?
おにぎり1個やバナナ1本など、消化にやさしいものを少しで十分です。ドカ食いさせる必要はありません。練習が夕方に終わって夕食まで時間が空く日に、空腹のまま長く過ごさせないのが目的です。夕食が近い日は水分だけでもかまいません。
低学年でもクールダウンは必要ですか?
低学年は運動量が大人ほど多くないので、厳密なメニューは不要です。ただ『急に座り込まない』『帰ったら水分をとって早く寝る』の習慣づけは、この時期から始める価値があります。楽しく・ゆるく、親子で一緒にやるのがいちばん続きます。
最後にもうひとつ。クールダウンやストレッチでケガを予防しても、足に合わない靴——大きすぎるスパイク、すり減ったソール——は、疲労やひねり、膝・かかとの負担を増やす原因になります。ケアと靴、この両輪がそろって初めて「ケガしにくい体」の土台ができます。今の一足がお子さんの足と成長段階に合っているか、一度見直してみてください → 学年・足型からピッタリの一足を選べる比較ランキングはこちら / あわせて読みたい → 運動前後のストレッチとウォームアップの正解
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。
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