「うちの子、左利きなんですが、無理にでも右で蹴らせたほうがいいですか?」——左利きの子を持つ保護者から、よく聞かれる質問です。結論から言うと、左利きを右利きに矯正する必要はありません。むしろ少年サッカーでは、左利きであること自体が武器になる場面が多くあります。この記事では、左利きを直すべきかという疑問への答えと、左利きを活かす練習の考え方を整理します。矯正すべきかどうかで悩んでいる家庭は、参考にしてみてください。
左利きは直すより活かすほうが得策です。理由は2つ。①サッカーは右利きの選手が多数派で、左利きは相手にとって単純に読みにくい ②左利きの選手が少ないぶん、左サイドやポジションで重宝されやすい。「利き足を直す」のではなく、「利き足を最大限に活かしつつ、逆足も少し使えるようにする」という考え方が、この年代には合っています。
01「左利きは直すべき?」という質問への答え
まず結論から言うと、左利きを右利きに矯正する必要はありません。利き足は生まれ持った体の使い方の癖であり、無理に矯正しようとすると、かえって本来の得意な感覚が鈍ってしまうことがあります。プロの世界でも、左利きの選手は決して少なくなく、左利きであること自体がプレーの個性・武器として評価されています。「右で蹴れないと将来困るのでは」という心配から矯正を考える保護者は多いですが、まず大事なのは利き足を思い切り使わせることです。逆足は、あとから少しずつ育てていけば十分間に合います。低学年のうちに矯正を急ぐより、まずは利き足でどこまで表現できるかを伸ばしてあげるほうが、本人のプレーの土台が育ちます。
02左利きが武器になりやすい理由
サッカーでは、プレーヤーの大半が右利きです。そのため、相手チームの選手やキーパーは、無意識に「右利きの選手が来たときの対応」に慣れています。左利きの選手が同じ場面に来ると、シュートコースやドリブルの軸足の向きが逆になり、対応が一瞬遅れることがあります。これは経験の浅い年代ほど顕著です。また、左利きの選手はチーム内でも人数が少ないため、「左サイドを任せられる貴重な存在」として重宝されやすいという側面もあります。うまさとは別に、「珍しさ」自体が武器になるのは、少年サッカーならではの特徴です。相手チームの対策が右利き前提で組まれていることが多いぶん、左利きの選手がいるだけでチーム全体の攻め方の幅が広がるという見方もできます。
03左利きが活きるポジションと場面
左利きの選手が特に活きやすいのは、左サイドのポジションです。左サイドバックや左ウイングでは、利き足で外側から中へ切り込む、あるいはライン際でボールを持ち出すプレーがしやすくなります。中央のポジションでも、右足でプレーする相手に対して逆の軸でボールを持てることは、守備側にとって崩しにくい要素になります。ただし、「左利きだから左サイド固定」と決めつける必要はありません。育成年代ではいろいろなポジションを経験させる方針のチームが多いので、まずはいろいろな場所でプレーさせながら、本人が持ち味を発揮しやすい場所を一緒に見つけていく姿勢がおすすめです。低学年のうちに固定してしまうより、経験の幅を広げておくほうが、後々の選択肢も豊かになります。
04逆足(右足)を使えるようにする意味
左利きを直す必要はないとはいえ、右足を「まったく使えない」状態のままにしておくのはもったいないです。理由は、相手からすると「右に行けば止められる」と読まれやすくなり、選択肢の少なさがそのまま弱点になってしまうからです。目指すのは「右利きにする」ことではなく、「止める・軽く運ぶ・合わせる程度は右でもできるようにする」ことです。利き足を武器にしつつ、逆足はあくまで補助として底上げする、という考え方は、右利きの子が左足を鍛えるときと同じです。具体的な逆足の練習方法はサッカーの逆足練習にまとめているので、あわせて参考にしてください。
①利き足の矯正はしない ②左利きは相手にとって読みにくい武器になる ③逆足はゼロから鍛えるのでなく「止める・軽く運ぶ」程度を底上げ ④ポジションは固定せずいろいろな場所を経験させる。
05家でできる左利きを活かす練習
家や公園でできる練習としておすすめなのが、利き足でのフェイントのバリエーションを増やすことです。左利きの選手は、フェイントの軸足の向きも右利きの選手と逆になるため、独自の間合いや型が作りやすくなります。壁当てで、利き足のインサイド・アウトサイドを使い分けながらトラップする練習や、コーンを相手に見立てて緩急をつけて抜く練習などが向いています。フェイントの基本的な種類と教え方はサッカーのフェイントの種類と教え方で解説しているので、左利きならではのアレンジを加えながら取り入れてみてください。
06チームの中での声のかけ方
最後に、家庭やチームでの声かけについて。左利きの子は、「右で蹴ってみて」と言われる機会が多く、知らず知らずのうちに「自分の蹴り方は変なのかな」と感じてしまうことがあります。まずは「左利きは個性であり、武器になる」と伝えてあげることが、本人の自信につながります。そのうえで、右足の練習は「直す」ためではなく「選択肢を増やす」ためだと伝えると、本人も前向きに取り組みやすくなります。練習メニュー全体の組み立て方に迷ったら、おうち練習の始め方 完全ガイドもあわせて確認してみてください。
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
育成年代の指導3年目、延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断・認知・立ち位置を軸に「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。
用品・ルール・練習の記事は、公開前に監修コーチが内容を確認し、事実に関わる記述は一次情報にあたって整理しています。監修者について →

