ゴール前でファウルの笛。相手ボールでフリーキック。応援席の空気がピリッとするなか、審判が片手をまっすぐ上に挙げたままじっと立っている。「なんで手を挙げっぱなしなんだろう?」。そのままボールが蹴られてゴールに入ったのに、なぜかゴールにならない——。少年サッカーを見ていると、必ず一度は「今の、どういうこと?」となる場面です。じつはこれ、間接フリーキックのサイン。この記事を読み終えるころには、直接と間接の違い・どんな反則でどちらになるか・あの挙手の意味まで、その場で分かるようになります。
フリーキックは2種類だけ。直接=そのまま蹴ってゴールになる/間接=誰かが触らないとゴールにならない。見分け方はかんたんで、審判が腕を上げ続けていたら間接です。相手を蹴る・押す・ハンドといった「接触系」はだいたい直接、キーパーの反則やオフサイドなどは間接。セットプレー全体は → セットプレーのルールをまとめて知る
この記事は、少年サッカーの現場に立つ現役のU10・8人制コーチが監修しています。実際にあった話をひとつ。前の学年で、ゴール前の間接フリーキックから直接シュートを打ってネットを揺らした子がいました。もちろんノーゴールです。本人はガッツポーズをしたあと、審判に「入ってないよ」と言われて固まってしまいました。あとで聞いたら、間接フリーキックという言葉自体を知らなかったそうです。それ以来、シーズン開始のミーティングで必ずこの話をするようにしています。1回教えれば、二度と起きません。逆に教えなければ、毎年どこかで同じことが起こります。
01フリーキックは2種類|直接と間接
反則があると、相手チームのフリーキックで再開します。このフリーキックには2種類あります。
- 直接フリーキック… 蹴った人のシュートがそのままゴールに入れば、得点になる
- 間接フリーキック… 蹴ったボールが他の誰かに触れてからゴールに入らないと、得点にならない
「他の誰か」は、味方でも相手でもOKです。壁に当たってからゴールに入ればゴール。キーパーが弾いたあと入ってもゴール。誰にも触れずに直接入った場合だけ、ノーゴールになります。
その場合はゴールキックで再開です。つまり、間接フリーキックで直接ゴールを狙うのは、完全に無駄なプレーになってしまう、ということ。
① フリーキックは直接と間接の2種類
② 審判が腕を上げ続けていたら間接
③ 間接は誰かが触ってからでないとゴールにならない
この3つを子どもに伝えておくだけで、ゴール前でのムダなシュートがなくなります。
02審判のサインで見分ける|腕を上げ続けたら間接
試合を見ていて、いま直接なのか間接なのかを見分ける方法。審判の腕を見てください。
間接フリーキックのとき、審判は片腕をまっすぐ上に挙げます。そして、ボールが蹴られて誰かに触れるまで、その腕を下ろしません。誰かがボールに触れた瞬間、あるいはプレーが終わった瞬間に腕を下ろします。あの「挙手したまま固まっている」姿は、「これは間接だよ」と全員に知らせている合図なんです。
一方、直接フリーキックのときは、腕を上げません。審判は蹴る方向を手で指し示すだけ。だから、腕が上がっていなければ直接と判断できます。
応援席でいちばんもったいないのが、ゴールに入った瞬間に全員で喜んで、そのあとノーゴールと分かって静まり返るパターン。フリーキックの前に、審判の腕を一度だけ見る。これだけで、喜びのフライングがなくなります。子どもに教えるときも「審判の手を見てごらん」が、いちばん伝わります。ほかのジェスチャーは審判のジェスチャー一覧にまとめています。
03どんな反則で直接になる?
大まかに言うと、相手に対する乱暴・不用意なプレーが直接フリーキックです。代表的なものを挙げます。
| 反則 | どんなプレー | |---|---| | キッキング | 相手を蹴る・蹴ろうとする | | トリッピング | 相手をつまずかせる・足をかける | | プッシング | 相手を押す | | ホールディング | 相手をつかむ・引っぱる | | チャージング | 不用意に体をぶつける | | ジャンピングアット | 相手に飛びかかる | | ストライキング | 相手を打つ・打とうとする | | ハンド | 手や腕でわざとボールを扱う |
覚え方は「相手に触ってしまう反則+ハンド」=直接。少年サッカーで笛が鳴るファウルの大半はこちらです。
そして大事なのが、これらの反則が自分のペナルティエリア内で起きるとPK(ペナルティキック)になるということ。直接フリーキックに相当する反則をエリア内でやってしまうと、PKです。ファウルの基本はファウルの基本、ハンドについてはハンドの基準で詳しく扱っています。
04どんな反則で間接になる?
間接になるのは、相手への接触がない反則が中心です。
- オフサイド(8人制でも大会によって適用されます)
- キーパーが手で扱えないボールを手で触った(味方が足で返したボール、味方のスローインを直接)
- キーパーがボールを手で持ちすぎた(6秒を超えて保持)
- 危険なプレー(相手の顔の高さで足を上げる等・接触がない場合)
- 相手の進行を妨げる(ボールに行かず進路をふさぐ・接触がない場合)
少年サッカーでいちばん多いのが、キーパー関係です。とくに味方が足で返したボールをキーパーが手でキャッチしてしまうケース。詳しくはキーパーのルールにまとめました。
もう一つ、意外と多いのが「危険なプレー」。相手の足元にヘディングに行く、高い位置で足を上げる。接触がなければ間接フリーキックになりますが、接触があれば直接フリーキックに変わります。同じような場面でも判定が変わるのは、そのためです。
05壁の距離|8人制は7m(大会要項の確認を)
フリーキックのとき、守るチームは壁を作ります。このとき、ボールから離れなければいけない距離が決まっています。
8人制の少年サッカーでは、7mが基準です(11人制の大人のサッカーは9.15m)。ピッチが小さいぶん、距離も短くなっています。
ただしここは注意が必要で、大会や年代によって運用が異なることがあります。人数の少ないミニゲーム形式の大会や、独自ルールを設けている大会もあるので、必ず大会要項を確認してください。試合前の審判ミーティングで説明されることも多いです。
早く壁を作りたい気持ちから、規定より近い位置に立ってしまう子がいます。審判が下がるよう指示したのに従わないと、警告(イエローカード)の対象になります。育成年代では審判が丁寧に距離を測ってくれることがほとんどですが、「言われたらすぐ下がる」ことは教えておきたいところ。少年サッカーではカードの代わりにグリーンカードなどの独自運用がある大会もあります(カードのルール参照)。
06少年サッカーでの現実的な狙い方
さて、実際の試合ではどう狙うのがいいのか。現場の感覚をお伝えします。
まず低学年〜中学年。正直、直接ゴールを狙って入る距離はかなり限られます。ゴール前のごく近くでない限り、キック力が届きません。無理に狙って枠を外すより、すばやく味方につないで攻め直すほうが、はるかに得点の可能性が高い。実際、少年サッカーの得点の多くは、フリーキックからの流れの中で生まれています。
だから、こう伝えています。「フリーキックは、相手が並ぶ前に始めるほうが強い」。壁ができる前にすばやく再開できれば、相手は守れていません。ルール上も、審判が「笛を待て」と言っていなければ、すぐに蹴って再開できます。
高学年になると、直接狙える子が出てきます。ただ、狙うのはゴールに近く、角度がある位置のときだけ。遠い位置からのシュートは、キーパーに取られて相手のカウンターになるだけです。「入れば大喝采、外れても誰も責めない」ではなく、入る確率のある位置かどうかで判断させたい。
そして間接のときは、必ず2人でセット。1人が軽く転がして、もう1人が蹴る。これが基本の形です。ゴール前の間接フリーキックは大チャンスなので、練習で一度形を作っておくと確実に生きます。
△ここだけ注意:軽さと引き換えにアッパーが薄いため、足幅が広い子・甲が高い子には窮屈に感じることがあります。幅広の子は別モデルを。フリーキックを直接狙う場面が出てくる高学年の一足として。
07現場の声+親ができる声かけ
監修コーチのチームで実際に聞こえてくる、保護者の声です。
「審判が手を挙げっぱなしにしてる意味が、ずっと分からなかった。間接のサインだったんですね」
「うちの子が間接から直接シュートしてノーゴールに。かわいそうでしたが、いい勉強になったみたいです」
「8人制の壁は7mと聞いて驚きました。大人と同じだと思っていました」
「『相手が並ぶ前に早く始める』を教わってから、フリーキックからの得点が増えました」
親ができる声かけとしては、「審判の手を見て」のひと言がいちばん役に立ちます。試合中に「直接だよ」「間接だよ」と教えるより、自分で見分けられる目を持たせるほうが長く生きます。
よくある質問
直接フリーキックと間接フリーキックの違いは何ですか?
直接は蹴ったボールがそのままゴールに入れば得点になります。間接は、蹴ったボールが他の誰か(味方でも相手でも可)に触れてからでないと得点になりません。誰にも触れずに直接入った場合はノーゴールで、ゴールキックから再開になります。
試合中にどちらか見分ける方法はありますか?
審判の腕を見てください。間接フリーキックのときは、審判が片腕をまっすぐ上に挙げ、ボールが誰かに触れるまで下ろしません。直接のときは腕を上げず、蹴る方向を示すだけです。フリーキックの前に一度審判を見る習慣をつけると、判定がその場で分かります。
どんな反則が直接フリーキックになりますか?
相手を蹴る・つまずかせる・押す・つかむ・体をぶつける・飛びかかるといった接触系の反則と、手や腕でわざとボールを扱うハンドです。これらの反則を自分のペナルティエリア内でしてしまうと、PK(ペナルティキック)になります。
8人制の壁は何メートル離れればいいですか?
8人制の少年サッカーでは7mが基準です(11人制は9.15m)。ピッチが小さいぶん距離も短くなっています。ただし大会や年代によって運用が異なることがあるため、必ず大会要項を確認してください。試合前の審判ミーティングで説明されることも多いです。
少年サッカーでフリーキックは直接狙わせるべきですか?
低学年から中学年では、直接狙って入る距離はかなり限られます。無理に狙うより、相手が壁を作る前にすばやく再開して味方につなぐほうが得点の可能性は高いです。高学年でゴールに近く角度のある位置なら直接狙う価値があります。間接のときは、1人が軽く転がしてもう1人が蹴る形を練習しておくと確実です。
フリーキックはキックの正確さが直接ものを言う場面。足に合った一足に変えるだけで、蹴り方が安定する子は本当に多いです → 比較ランキングで学年・足型からピッタリのシューズを選ぶ セットプレー全体はセットプレーのルール、判定の見方は審判のジェスチャー一覧でどうぞ。
「サッカーが上手い選手より、サッカーを通じて“かっこいい大人”を育てる」
少年サッカーの育成年代を指導して3年目、これまで延べ50名ほどの子どもたちと向き合ってきた現役コーチ。判断力・認知・立ち位置・パススピード・切り替え、GKからのビルドアップを軸に、「個の前進力」と「戦術理解」の両立を追求しています。毎月、練習設計と自己内省をレポートにまとめてPDCAを回す、分析型の指導者です。
現場でサッカー未経験の保護者の声を大切にしてきました。専門用語をゼロに噛み砕き、「親が今日からできること」に翻訳してお届けします。
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